動作速度や信頼性、スペースの観点からHDDからNVMeSSDへ乗り換える個人・法人は増えてきていますが、マザーボードに搭載できるNVMe SSDには限りがある事です。しかし、そんな問題を解決してくれる最大21枚のNVMe SSDを搭載できる拡張カードが発表されました。
最大21枚のNVMe SSDを搭載できる拡張カードが登場。PCIeスイッチ利用でPCIe100レーン相当に拡張可能、リード性能は最大31GB/s発揮。
HDDでは1つのパッケージで最大22TBの容量を格納できますが、NVMe SSDに対して筐体サイズが大きく、動作速度も遅いです。一方で、NVMe SSDでは1枚辺り8TBが限度で、NVMe SSDを搭載できるスロットは多くのマザーボードでは4枚~5枚程度と大容量ファイルを扱う場合には問題となってしまいますが、この問題を解決してくれる製品をストレージ市場に最近登場したApex Storage社が最大21枚のNVMe SSDを搭載できる拡張カード『Apex Storage X21』を発表しました。
Apex Storageは、本社をアメリカのユタ州に置き、製品は拡張カードに特化しています。このApex Storageは元々、KickStarterで16台のM.2 SATAドライブを収容するStorage Scaler拡張カードを2021年に立ち上げたMike Spicer氏が関わっており、今回登場したApex Storage X21はStorage Scalerのアップグレード版と見られています。
Apex Storage X21では幅は一般的なPCIカード、高さはシングルスロットとなっていますが、長さは27.4cmと比較的大きなグラフィックカード並みの大きさになっています。ただ、基板自体に21枚ものNVMe SSDを載せるためメインボードとサブボードの2枚構成になっています。メインボード側にはPCIe Gen 4 x16スロットを搭載し、PCIeスイッチングコントローラーやサブボードと接続される端子が用意されています。また、NVMe SSDは両面合わせて9枚搭載できます。サブボードではメインボードに繋げるための端子が用意されていますが、多くの面積はNVMe SSDに割り当てられており両面合わせて12枚搭載が可能になっています。
また、大量のNVMe SSDを搭載している事や、PCIeスイッチングコントローラーを動作させるためにメインボードとサブボードそれぞれにPCIe6ピン電源コネクターが搭載されており、消費電力は合計225Wにも及ぶと見られています。この拡張カードはファンレス構造にはなっていますが、最低でも400 LFMの空気流量を要求するなどサーバーラックでの運用が想定されています。
性能面では読み取り性能は最大30.5GB/s、書き込みは26.5GB/sでランダムパフォーマンスは、750万IOPSの読み取りと620万IOPSの書き込みが可能になっています。また、このX21を2枚組み合わせた構成では読み込みは最大107 GB/s、書き込みは70 GB/sを発揮できるとの事です。
対応するNVMe SSDについては特に指定は無くCorsair MP400やSabrent Rocket Qなどの8TB SSDを使用する場合は最大168TBを供給できます。また、将来登場する大容量NVMe SSDもサポートしており、16TBのNVMe SSDが登場すれば、X21では最大336TBのストレージを持つことができます。
機能面ではWindowsおよびLinux環境でのRAID構成をサポートし、NVMe 2.0や高度なEEC、データ保護およびエラー回復機能を備えるなどエンタープライズ向け機能も充実した内容になっています。
なお、Apex StorageではこのX21の販売価格と販売時期については明らかにしていませんが、KickStarterで販売されていた前期モデルの再安値が$415であったことを考えると、恐らく安くても$800、高いと$1000近い価格での販売になると考えられています。
21枚の8TB NVMe SSDを搭載するとなるとそれだけで210万円近く必要となりますので、拡張カード自体の価格はあまり気にする必要は無いかもしれません。
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