NVIDIA GeForce RTX 5090D v2 が正式発表。対中輸出規制強化でさらにナーフ
NVIDIAのフラッグシップGPU「GeForce RTX 5090」は、米国の対中半導体輸出規制により中国市場への出荷ができず、中国向けにはAI性能を制限した「RTX 5090D」が投入されていました。しかし、その後の規制強化によりRTX 5090Dも対象となり、NVIDIAはさらにスペックを抑えた「GeForce RTX 5090D v2」を2025年8月13日に正式発表しました。
スペック | GeForce RTX 5090 / 5090D | GeForce RTX 5090D V2 |
---|---|---|
VRAM容量 | 32GB GDDR7 | 24GB GDDR7 (-25%) |
メモリバス幅 | 512-bit | 384-bit (-25%) |
メモリ帯域幅 | 1,792 GB/s | 1,344 GB/s (-25%) |
AI性能 (TOPS) | 2,375 | 2,375 |
CUDAコア数 | 21,760 | 21,760 |
TBP (消費電力) | 575 W | 575 W |
MSRP (中国) | $2,299 | $2,299 (据え置き) |
RTX 5090D v2は従来モデルと同じGB202 GPUを搭載し、CUDAコア数は据え置きですが、VRAM容量は32GBから24GBに減少。メモリバス幅も512-bitから384-bitへ縮小され、帯域幅は約1.8TB/sから1.34TB/sへ25%低下しています。
これは新たに追加された「メモリ帯域幅を1.4TB/s以下に抑える」という輸出規制に対応するためで、バス幅を物理的に384-bitに制限することで要件を満たしています。
ゲーミング性能は同等レベル
NVIDIAによれば、今回のメモリ帯域幅低下は主にAIワークロードに影響を与えるもので、ゲームにおいては体感できるほどの差はほとんど出ないと説明しています。これは、最新ゲームタイトルの多くがVRAM帯域幅よりもGPUコア性能やシェーダー処理能力に依存する傾向が強く、512-bitから384-bitへの縮小がボトルネックになりにくい設計となっているためです。

実際に、experviewが『Cyberpunk 2077』を含む4つのAAAタイトルを用いて行ったベンチマークでは、RTX 5090D v2はRTX 5090Dと比較して最大3.5%程度の性能低下にとどまりました。平均的には1〜2%の差しかなく、解像度4K・最高設定でもフレームレートはほぼ同等を維持しています。
このため、AIや機械学習など帯域幅依存度の高い用途では明確な差が出る可能性がある一方で、ゲーミング用途では実質的に同レベルのパフォーマンスを提供すると考えられます。
RTX 5090D v2の価格設定はRTX 5090Dから据え置き
RTX 5090D v2は、主な用途であるゲーミング性能が従来のRTX 5090Dとほぼ同等であることから、正式発表時のメーカー希望小売価格(定価)は据え置きとなりました。しかし、VRAM容量が32GBから24GBへと減少し、メモリバス幅や帯域幅も縮小されているため、明確なスペックダウンを伴う中での据え置き価格は割高感が否めません。中国の消費者にとっては、こうした仕様変更にもかかわらず値下げが行われないことが不満材料となる可能性があります。
もっとも、現状の中国市場ではRTX 5090D v2に匹敵する競合製品が存在せず、最高性能のゲーミングPCを構築する場合、このカード以外に選択肢がありません。さらに、RTX 5090D v2は極めてニッチなハイエンド層向け製品であることから、NVIDIAは強気な価格設定を維持する方針を崩さないようです。
RTX 5090D v2発売に伴い日本のRTX 5090の価格にも影響を与える可能性も
RTX 5090Dの出荷停止以降、日本を含む世界市場ではRTX 5090の供給が増加したと見られ、これも一因で価格が定価を下回る水準まで下落していました。しかし、RTX 5090D v2の販売が本格化すれば、中国市場への供給が再開されるため、RTX 5090の出荷量が一時的に減少する可能性があります。加えて、発売初期の数週間はRTX 5090D v2の生産が優先されると見られることから、日本国内での価格も短期的に上昇するリスクも考えられます。
そのため現在、日本ではRTX 5090が約38万円で購入可能ですが、値下がりを期待して待っている間に価格が上昇する可能性もあります。ですので購入を考えている人は早めに購入を決断した方が財布にも精神的にも安全かもしれません。
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