NVIDIAが2nm系でサムスンやRapidus採用を検討。価格高騰で脱TSMCへ
NVIDIAのグラフィックカードは2020年に発売されたGeForce RTX 3000シリーズではサムスンファウンドリーを使用していたものの、それ以降に発売されたGeForce RTX 4000や5000シリーズではTSMCで製造が行われています。この理由としては、TSMCの方がプロセスの性能や歩留まりの面で優れていることなどが挙げられていますが、TSMCはサムスンに比べて製造コストが高く特に3nm以降の先端プロセスではその傾向が顕著に現れていると言われています。
そのため、NVIDIAは将来的に投入される2nm系プロセスを用いた製品では品質面で優れているTSMCに対して、コスト低減を狙ってサムスンやRapidusなどTSMC以外のファウンドリーと交渉を進めている可能性が出てきているようです。
台湾メディアの工商時報や韓国メディアによるとNVIDIA含む複数の企業がTSMC2nmの価格が高すぎることを問題視しており、同じく2nmの量産化を進めているサムスンやRapidusと交渉を進めており、サムスンに対してはテストチップ製造を行うところまで合意した可能性があるようです。
サムスンの2nmに関してはPreferred Networks (PFN)が採用を決定したと言われていますが、規模は小さく継続して大量の収益が得られるNVIDIAなどの大口受注は喉から手が出るほど欲しい案件となります。一方でNVIDIA側からするとサムスン側の事情は調達コスト低減に向けた交渉材料ともなり、有利な価格で契約を結ぶことを目論んでいる可能性があります。
また、Rapidusに関しても現状、Tenstorrentなどが顧客として付いていますがこちらも規模は大きいとは言えず、NVIDIAなど大口顧客を獲得できれば政府補助金に頼らない運営の1歩となります。また、同社が顧客を求める新興ファウンドリーであることを加味するとNVIDIA側に有利な契約を結ぶチャンスがあると言える状況です。
TSMCの2nmはウェハーあたりの製造コストは$30,000に達する見込みで、これは3nmの$18,500から1.6倍、GeForce RTX 4000や5000シリーズに採用されている5nm系 (N4/N5)の$15,000に対しては2倍のコストになることが予測されています。一方で、2nmの生産能力はコストが高い割に非常に低く、月産能力は2025年終わりでも最大10,000枚程度に留まります。(TSMC 3nmは量産開始後は60,000枚程度)そのため、NVIDIAのみならずAppleやQualcommもTSMCに依存することに懸念を持っているようです。
ただ、サムスンファウンドリーやRapidusも採用に向けた懸念がある状態です。サムスンに関しては歩留まりの低さが度々問題視されているほか、4nmプロセスでは発熱が大きく性能が出せないと言ったトラブルがありました。Rapidusに関してはそもそもファウンドリとして実績がないなど、いずれのファウンドリを採用する場合も想定された供給量を確保できないリスク内在します。そのため、仮にサムスンやRapidusを採用する場合は全面的に採用せず、信頼性が高いTSMC 2nmをバックアップに備えたデュアル・ソーシングと言うアプローチが取られる可能性もありそうです。
実際にNVIDIAはGeForce RTX 3000シリーズ世代ではサーバー・データセンター向けのAmpere A100はTSMC 7nmで製造する一方で、コンシューマー向けはサムスン8nmで製造するアプローチが取られていました。
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