NVIDIA A100ベースのマイニングGPU『CMP 170HX』が出現

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2021年3月頃にNVIDIAがデータセンター向けに販売しているGPUであるNVIDIA A100をベースとしたCMPシリーズ(マイニングGPU)が登場すると言われていましたが、その筐体写真や仕様情報などが出現しました。

目次

CMP HXシリーズの概要

NVIDIA CMP 170HX cryptomining card spotted, passive design offering 164 MH/s hash rate – VideoCardz.com

CMPシリーズはNVIDIAがリリースしているマイニング専用GPUで、下からCMP 30HX、CMP 40HX、CMP 50HX、CMP 90HXの4モデルがラインアップされています。この末尾のHXの前に付く数字はハッシュレートを示しておりCMP 50HXであれば50MH/s前後のマイニング性能を持つ事になります。

そんな、CMPシリーズですが現在公式に登場している最上位モデルであるCMP 90HXであり、このモデルはGeForce RTX 3080に搭載されているGA102 GPUベースとしたモデルとなっていましたが、更に上位モデルであるNVIDIA A100をベースとしたCMP 170HXが出現しました。

CMP 170HXのベースはデータセンター向けGPUであるNVIDIA A100

NVIDIAがデータセンター向けのNVIDIA A100をベースとしたCMPシリーズを用意しているという話は2021年3月頃にkopite7kimi氏が指摘していましたが、どうやらその話は事実だったようです。
既に一部のマイナーの手に渡り始めているようで、中国のSNS、知乎に筐体写真やマイニング時の性能などが掲載されています。

NVIDIAがAmpere A100ベースのCMP HXマイニングGPUを準備中?

CMP 170HXの仕様はGPUにはTSMC 7nmで製造されているGA100を採用し、4480基のCUDAコア、VRAMにはHBM2を8GB搭載しています。バス幅は4096bitとなっており、帯域幅は1.5TB/sに及ぶモンスタースペックとなっています。

ただ、オリジナルのNVIDIA A100に比べると大幅に性能が落とされており、CUDAコアはGA100に搭載されている内の54%程しか有効化されておらず、HBM2の容量も2割程度になっています。ただ、元々の用途がNVIDIA A100に搭載できないGA100を有効活用するために作られている事やマイニング用途であることを考えると必要十分な仕様となっています。

なお、CMP 170HXの筐体にはファンは搭載されておらず、強力なファンが備え付けられたサーバーラックに搭載する事が想定された冷却フィンの構造となっています。また、電源にはPCI 8pin電源では無く、CPU用8pin電源が必要となっており、PCI 8pin x 2本をCPU用8Pinに変換するケーブルが付属されるようです。

筐体のデザインはNVIDIA A100と似たエッジの効いた長方形デザインとなっていますが、A100に対して色が金からシルバーになっている事と側面部のルーバー加工が無くアルマイト処理されたようなデザインになっています。

マイニング性能は160MH/s前後。価格は50万円以内だが、マイニング以外では使えない仕様

CMP 170HXですが、マイニング性能はデフォルト状態で250Wを消費する一方で160MH/sのマイニング性能を発揮しています。この性能はマイニングに最適設定されたGeForce RTX 3090で発揮できる120MH/sを約30%上回っています。

効率面では1W辺り約0.64MH/sという事で、消費電力に対してマイニング効率が高いと言われていたRadeon RX 6600 XTを越える性能を発揮しています。

AMD Radeon RX 6600 XTのマイニング効率は高い模様。55Wで32MH/s

なお、最適化を施すと更にこの効率は上がるようで、マイニング性能は160MH/sを少し下回る程度に落ちますが、消費電力も190Wに下がり、1W辺り約0.83MH/sと言う驚異的な効率でマイニングが可能になるとの事です。

日本での販売価格は最大50万円ほど?

NVIDIA A100は1枚で約150万円する高額なGPUとなっていますが、CMP 170HXではCUDAコアがほぼ半分に減らされ、高価なHBM2メモリーは2割と大幅に減らされている事から$2000~$3000程度で販売されるのではと噂されています。この価格は日本での代理店手数料などを考慮すると約30~50万円程度になるのではないかと見られています。

このCMP 170HXですが、マイニング性能のみならず、そもそもCUDAコアを4480基、HBM2を8GB搭載しているため小規模なデータセンターやワークステーションでの導入も出来そうな性能となっていますが、NVIDIAとしてはNVIDIA A100を買う顧客がCMP 170HXをデータセンター用途で買う事を防ぐためにインターフェイスはPCIe Gen1 x4に物理的に制限し、マイニング用途以外では使わせないようにしているようです。

 

仮想通貨については、Bitcoinが8月初旬には400万円を切るギリギリのところを推移していましたが、8月下旬から500万円を超え、CMP HXなどGPUでマイニングができるEthereum価格も同じく25万円から9月3日時点では40万円を超える所にまで値上がりしています。これによりまたマイニングがまた勢いづく可能性があり、NVIDIAとしてCMP 170HXの投入はマイナーがまた大量のGeForce GPUを買う事を防ぐという意味では効果があると見られます。

価格がもし30~50万円程度で手に入るとなれば個人ても買いたいという人は居そうですが、気になるのが160MH/sで190W程度の消費電力かつEthereum価格が40万円程度を維持するとしても、損益分岐点に到達するには最低でも10か月近く必要になる事です。2022年頃からEthereumはマイニングが不可能なEthereum 2.0へ完全移行がされると計画されているので個人で買おうとしている人は十分損益について調査して買わないと大損を喰らう可能性があります。

また、通常のGPUであればゲームをしたり、中古として売ったりと汎用性は高いのですが、このようなマイニング専用GPUはマイニングが出来なくなった際にはただのガラクタにしかなりませんのでその点も注意が必要です。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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