禁輸されているNVIDIA Ampere A100がAI需要により中国の闇市で大人気に。取引価格は通常の倍の300万円台
NVIDIAやAMDが製造する高性能なグラフィックカードについてはOpenAIなどの生成AIには欠かせない存在となっていますが、アメリカではこれらの高性能グラフィックカードが中国やロシアなどによって軍事的に利用される事を防ぐためにこれらの国家へ輸0.出する事は禁止する法律が施行されました。これにより、中国やロシアなど赤サイドの国に対してはNVIDIAではAmpere A100やHopper H100、AMDではInstinct MI250Xなど高性能グラフィックカードの輸出は禁止されています。
一方で、NVIDIAやAMDでは中国でもビジネスは行っている関係から性能を落として禁輸には当てはまらないモデルも開発し輸出しており、NVIDIAではAmpere A100をベースに帯域幅などを落としたAmpere A800、AMDでは旧世代のMI100などを中国向けに輸出しています。
しかし、OpenAIやMidJourneyなど生成AIが世界各国で人気になると同時に中国でもこれらのAI開発がブームとなっているようですが、このブームの影響により中国では高性能なAmpere A100が闇市などで需要が高騰しているとのことです。
Inside China’s underground market for high-end Nvidia AI chips | Reuters
ロイター通信によると、これらのAmpere A100については秋葉原のような電子関連の店舗が並ぶ華強北のデパートなどで販売がされており、記者が華強北に訪れると数個のAmpere A100を1個あたり$20,000(約285万円)で供給する事が可能であることを2人の密売人から打診されたとのことです。
Ampere A100についてはGA100 GPUを搭載し、合計6912基のCUDAコアと432基のTensorコアを備えるGPUとなっており、上記のようなAI用途で高い性能を発揮するために5120-bitのバス幅を持つHBM2eを40または80GB搭載し、帯域幅は2 TB/sにも及びます。
ロイター通信の記者が打診されたA100についてはHBM2eを40GB搭載したモデルなのか、80GB搭載したモデルなのかは明らかにされていませんが、40GB版であれば通常は$7000~10,000(約100~約145万円)、80GB版が$15,000(約210万円)である事から恐らく闇市で販売されているのは40GB版と見られています。
そのため、闇市での販売価格は通常の2倍程度で取引がされている状態になっています。
この闇市で販売されているAmpere A100については密輸された製品であるため製品保証の他にサポートも全くないのですが、このAmpere A100については需要が高いようで、スタートアップ企業から中国の政府関係者なども購入に訪れる事もあるようです。
なお、Ampere A100がどのようにして禁輸を潜り抜け闇市で販売されているかは不明ですが、つい先日のニュースで日本の半導体が禁輸されているはずのロシアに流入している事が明らかにされています。半導体についてはサイズが比較的小さい事から密輸が可能な上、関税逃れ以外は問題となるケースが少ないためハンドキャリーなどで持ち込まれている可能性はありそうです。また、中国ではCPUを全身に貼り付けて関税逃れをしようとした例や、妊婦を装ってCPUを大量に密輸を試みる例なども存在しており、中国の闇市で販売されているAmpere A100についてはこのようにして流入したものであると見られています。
ちなみに、Ampere A100が闇市で販売されている一方で、より高性能なHopper H100が出ていない事についてはロイターの記事では言及がありませんが、そもそも需要が高く入手が困難な上にアメリカで購入しても$40000(約568万円)することから密輸するリスクが高い上、購入する側もサポートが一切受けられないため売られていないと見られています。
コメント
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40GB版が3M円で売れるものなら売りたいわ、ってAliで探したら確かに3M円だったなー