NVIDIAのデータセンター向けGPUシェア独走は2024年も継続。AMDもシェアが3倍程度に増える見込み。一方で、今年もゲーミングGPUの優先度低めに?
NVIDIAでは2022年末から2023年ごろから急速に知名度を増した生成AIに必要不可欠な強力なGPUを持っていることから同社の株価は2023年には1兆ドルを超えるなどAI特需で一番恩恵を受けた企業と言えます。そんなNVIDIAですが、2023年の収益は非常に優れたパフォーマンスを発揮していましたが、Wells Fargo Equity Researchの推定によると、2024年に入っても同様の傾向が続き、NVIDIAのデータセンターセグメントからの収益と市場シェアが安定していくことが予測されているようです。
NVIDIAは生成AIなどを筆頭とするデータセンター向けGPUにおいて90%以上の市場シェアを獲得しており、2023年に登場したHopper H100 GPUは高い性能を武器にMetaやMicrosoftなどの大手企業が大量に購入していると言われています。そんなNVIDIAですが、2024年にはさらに性能を向上させたHopper H200のほかに新アーキテクチャーを採用するBlackwell B100 GPUの投入も行われる見込みで、2024年も引き続き90%を超えるシェアを獲得するなどAIの収益を支える大黒柱として活躍することが予測されています。
この予測ではNVIDIAが圧倒的なシェアを持っているため、IntelやAMDの動きはあまり注目されませんがよく見てみるとAMDのシェアが2023年の1.2%から2024年には4.2%と大きく伸びる予測が出ています。これはAMDがNVIDIAに対抗するためにデータセンター向けにInstinct MI300Xを投入することが理由です。
このAMDの伸びはNVIDIAに比べると僅かなですが、AMDに乗り換えるとなるとCUDAなど今までのソフトウェアが使えないことを考慮すると1.2%から4.2%に伸びるというのはある意味驚異的と言えます。AMDはサーバー・データセンター向けCPUにおいては95%以上のシェアを握っていたIntelからたった5年で20%を以上のシェアを奪うなどの実績があるため、この成功体験をデータセンター向けGPUでも再現できるのか注目が集まります。
なお、このNVIDIAがデータセンター向けで絶好調であることは、相対的に今まで収益の柱であったゲーミング向けGPUの重要性は減ることになります。実際にNVIDIAはGeForce RTX 4000 SUPERシリーズなどハイエンドなラインアップは出していますが、売れ筋のミドルレンジ向けモデルについては新モデルを長らく出していません。また、ハイエンドモデルも2024年はBlackwell B100を優先するために、GeForce RTX 5000シリーズが出るか怪しい状況であるためゲーマーにとってはNVIDIAがここまでAIで成功してしまうのは素直に喜べる状況ではないと言えそうです。
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