Nintendo Switch 2 で話題の MicroSD Express について性能や仕様を解説
2025年6月5日に発売予定のNintendo Switch 2では外部ストレージデバイスとして新たにMicroSD Expressと呼ばれる新しい規格が採用されていることが明らかになり、発表当初はMicroSD Expressカードを転売ヤーが買い上げるなど混乱が見られていましたが、今回このMicroSD Expressについて性能や仕様などを解説していきます。
MicroSD Expressの性能と仕様
慣れ親しんだMicroSDカードに対して、Nintendo Switch 2から採用されるMicroSD Expressは見た目こそほとんど同じですが、抜本的に採用されているインターフェース技術に大きな違いがあります。
MicroSDとMicroSD Expressの見た目と識別ポイント
MicroSD ExpressはMicroSDと言う名前の通り、慣れ親しんだMicroSDカードと形や大きさは全く同じです。しかし、表面にはExpressを示す『EX』と言うロゴが追加されているほか、通信用ピンがレイアウトされている裏面には一般的なMicroSDカードに比べて、追加で9つのピンがレイアウトされるなど見た目も異なっています。


特に裏面の違いはMicroSDとMicroSD Expressの大きな違いとなっており、この違いが後述する採用インターフェース技術の大きな違い、そして大幅な性能向上に繋がっています。
通信規格の刷新:PCI Express採用で速度が大幅向上
従来までのMicroSDでは独自規格の通信技術が使われており、2000年に登場した技術をベースに、SD Express登場までは通信速度の向上が行われており、Nintendo Switchが対応していたUHS-I対応MicroSDカードでは最大104 MB/sの転送速度に対応しています。
しかし、この速度は2025年現在ではかなり遅いため、MicroSD Expressは独自規格から標準的なPCI Express Gen 3 x1レーンとNVMeインターフェースを使用する形に変更され、理論上の最大転送速度は985 MB/sにまで向上しています。
規格 | MicroSD UHS-I (Nintendo Switch) | MicroSD Express (Nintendo Switch 2) | 参考:NVMe SSD (PlayStation 5など) |
---|---|---|---|
インターフェース | SD UHS-I | PCIe Gen 3 x1 (NVMe) | PCIe Gen 4 x4 (NVMe) |
最大転送速度 (理論値) | 104 MB/s | 985 MB/s | 7000 MB/s |
最大容量 | 2TB | 2TB | 8TB |
この転送速度は従来のMicroSDに比べて9倍程度に達するため、Nintendo Switch 2では高解像度なテクスチャーを多用したゲームや、テクスチャーのストリーミングなどを行うようなオープンワールド系のゲームも動作可能となります。
規格 | 最大転送速度(理論値) | インターフェース |
---|---|---|
MicroSD Express (SD 7.1) (Nintendo Switch 2) | 985 MB/s | PCIe Gen 3 x1 (NVMe) |
MicroSD Express (SD 8.0) | 1970 MB/s | PCIe Gen 4 x1 (NVMe) |
なお、MicroSD Expressでは現時点でSD 7.1と言うバージョンのほかに、最新鋭のSD 8.0と言うバージョンがありますが、Nintendo Switch 2が対応するのはSD 7.1と見られています。ただ、SD 8.0とSD 7.1の間には互換性もあるため、将来的に登場するかもしれないリフレッシュモデル(有機ELモデルなど)ではSD 8.0に対応するなどしてより高速なゲームのローディングなどを実現するかもしれません。
従来までのMicroSDカードとの互換性について
従来までのMicroSDカードとMicroSD Expressカードは形が同じであるため通信規格が異なっていても一定の互換性を持つ設計となっています。そのため、MicroSD Express対応デバイスにMicroSDを入れても読み書きは可能で、その逆も同様です。

ただ、上述の転送速度に大きな違いがあるため、MicroSD Express対応デバイス(Nintendo Switch 2)にMicroSDカードを入れても最大転送速度は104 MB/sと遅いままとなります。そのため、デバイス側で制限が掛けられるようになっており、任天堂によるとNintendo Switch 2にMicroSDカードを入れた場合、画像や動画の読み込みは可能なものの、ゲームをダウンロードすることはできないことが明らかにされています。一方で、MicroSD ExpressをNintendo Switchに使った場合はゲームのダウンロードなど制約なしに利用できます。
MicroSD Expressカードの容量と価格帯について
現状、MicroSD Expressは新しい規格である上に、大衆向けの対応デバイスがNintendo Switch 2だけと言うこともあり品ぞろえは豊富とは言えません。そのため、AmazonやMy Nintendo Storeなどで販売されているMicroSD Expressのほとんどは256GBと大容量とは言い難いレベルの一方で価格は7000円からと、同容量のMicroSDに比べると2倍以上の価格になっています。

Nintendo Switch 2に関しては本体ストレージが256GBと従来より大容量化が図られているため、購入後すぐに容量が無くなると言う心配は減っています。また、任天堂が開発するファーストパーティー製タイトルはマリオカートワールドでも25GB程度を比較的容量が抑えられていると言われています。
しかし、Nintendo Switch 2では本体の性能向上に伴いPlayStation 5やPCなどのタイトルを移植することも可能になっており、Cyberpunk 2077ではNintendo Switch 2のゲームカードの最大容量である64GBを使い切ったとも明らかにしています。ですので、サードパーティー製タイトルを多く購入する予定の人は本体ストレージだけでは足りないほか、追加のMicroSD Expressも256GBでは使用状況によってはより大容量なMicroSD Expressカードの購入が必要になると考えられます。
ただ、注意点として上述の通りまだ対応デバイスがNintendo Switch 2だけであり、発売もされていないことから256GB以外の容量で現実的な価格帯で販売されているものはありません。実際により大容量な512GBのMicroSD Expressは2万円、1TBモデルは4万円に迫るため不便でも最初は本体ストレージで耐え忍んだ方がいいかもしれません。ただ、2025年終わりぐらいになればMicroSD Expressの価格も下がり始めると考えられるためそれまでMicroSD Expressの購入は待った方がいいかもしれません。