世界的にグラフィックスカードが不足すると同時に、物流コストの上昇などによってグラフィックスカードやマザーボードの値上げなどをMSIは行っていましたが、更に追加で値上げを実施する見込みとの事です。
2021年も需要は総じて高い見込み
Digitimesによると、MSI会長であるJoseph Hsu氏による決算および通期予測が発表されました。その中で、MSIでは今後もマザーボードやグラフィックスカード、ゲーミングラップトップの需要は2桁台の増加を見込み、2020年では2019年に比べて30~50%に及ぶ売上高の増加が見られたとの事です。また、利益に関しては2020年通期では過去最高を記録したものの、第4四半期だけで見ると利益は予測を下回ったとの事です。
コスト上昇だけじゃない値上げの原因
MSIでは2021年も引き続き、マザーボードやグラフィックスカード、ゲーミングラップトップの需要は高くなると見込んでいますが、NVIDIAやAMDの供給量は需要を満たすには遠く及んでいません。また、半導体不足の深刻化や輸送、製造にかかるコストの上昇に吊られてグラフィックスカードが追加で値上げされる可能性があるとの事です。ただし、3月以降は新型コロナウイルス拡大に伴う輸送コストの高騰も落ち着きを見せ始めており、今後も下落傾向が見られるため、コストが原因となる値上げ幅は小さくなる可能性は十分あるとの事です。ただし、今回計画されている値上げはコスト面ではなく、供給不足が主因となるようです。
値上げで供給不足による利益目標未達を回避
MSIでは利益の内50%はグラフィックスカードによって稼ぎ出されていますが、NVIDIAやAMDから供給されるGPUの数が少ないとMSIの利益に大きな影響を与えます。実際に、2020年の第4四半期だけで見ると利益が予測を下回ったと冒頭に書かれていますが、これはNVIDIAやAMDからGPUが供給されず、販売台数に影響が出てしまい利益目標が未達となりました。MSIではこのようなGPUの供給不足は2021年末まで続くと予測している事から、少ない販売台数でも利益目標を達成する必要に迫られています。そのため、MSIではメーカー希望小売価格の値上げを行い、より少ない販売台数でも、利益目標を達成する事を考えているとの事です。そして、この理由こそ、更なる値上げの原因とも見られています。
利益目標を達成するための値上げと聞くと「感じが悪い」と思う人も居るかもしれませんが、MSIもあくまで営利企業なのでこのような措置は仕方ないと言えます。同時期に行われたASUSの決算発表の場でも、依然としてグラフィックスカードの供給状況については良いニュースは出ていませんので、まだまだグラフィックスカードを買い求める人たちにとっては苦難が続きそうです。
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