Minisforum Elitemini AI370の基本的な仕様について
Minisfourm EliteMini AI370は主にミニPCを製造、販売するMinisfourmの最新鋭ミニPCで、CPUにはAMDのZen5とRDNA3.5を組み合わせたAPU、Ryzen AI 9 HX370を搭載したモデルになっています。
価格は32GBのRAM、1TBストレージを搭載したモデルが定価224,900円で販売されていますが、現在はセール中で159,980円で購入することが可能になっています。
CPU | Ryzen AI 9 HX 370 (TDP 28W) |
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グラフィックス | Radeon 890M (16CU) |
メモリー | LPDDR5x 7500 GT/s = 32GB |
ストレージ | PCIe Gen 4 NVMe SSD 1TB (PCIe Gen 4 2280スロットが2つ) |
OS | Windows 11 Pro |
インターフェイス | フロント側 – USB4 x1 – USB3.2 Gen2 Type-A x2 – 3.5mm ステレオジャック リア側 – USB3.2 Gen 2 Type-A x 2 – 2.5Gbps イーサーネットポート x2 – Display Port 2.0 x 1 – HDMI 2.1 x 1 |
ワイアレス機能 | Wi-Fi 6E / Bluetooth 5.3 |
サイズ | 幅130 x 奥行き127 x 高さ46.9mm |
電源 | 19V ACアダプター |
価格 | 税込み224,980円(セール中 159,980円) |
パッケージ内容と同梱物
箱はシンプルで搭載されているRyzen AI 9 HX 370や内蔵GPUのRadeon 890Mをアピールしたものになっているほか、箱の側面にはインターフェースが分かるデザインになっています。
同梱されている付属品はACアダプターの他に、長さ100cmのHDMIケーブル、モニターの裏面に本体を設置するためのマウントが入っています。
ACアダプターは最大120W出力に対応していますが、比較的小型なのが良いのですが、同封されているプラグ部分が日本では一般的ではない3ピンであるため、変換プラグを用意する必要があります。
Minisforum Elitemini AI370のデザインと品質、拡張性について
ここではMinisforum Elitemini AI370のデザインや品質そしてミニPCではあるものの気になる拡張性について解説します。
デザインと品質:すべてプラスチック製
外観は一般的なミニPCでよくある正方形デザインになっています。筐体の材質は20万円近くするミニPCではありますが、すべてプラスチックになっています。
筐体自体はプラスチックですが、サンドブラスト加工したような塗装が施されているため見た目上の質感は良いのですが、持ち上げたり触るとかなり軽く少々チープに感じる部分があります。ただ、このPCに搭載されているRyzen AI 9 HX 370は非常に高いチップセットであると言われているため、コストダウンのため仕方がない妥協点と言えそうです。
筐体とインターフェース類との隙間などは一定で品質は良いと言えます。前面はUSB4とUSB3.2 Gen2 Type-Aを2口、3.5mmジャックと電源ボタンがあります。
後面インターフェイスは、USB Gen3.2に対応するType-Aポートが2つとDisplay Port 2.0とHDMI 2.1をそれぞれ1ポート、2.5Gbps対応のイーサネットを2ポート搭載しています。
Minisforum Elitemini AI370の各種パフォーマンスについて
内蔵のRyzen AI 9 370HX
Minisforum Elitemini AI370に内蔵されているCPUはRyzen AI 9 HX 370と呼ばれる最新鋭APUを備えており、CPUは4コアが性能重視のZen5コア、8コアが効率重視Zen5cコアの合計12コアで構成されたハイブリットアーキテクチャーを採用しています。
動作クロックはZen5/Zen5c共にベースが2.0 GHzで、スペック上のブーストクロックはZen5が最大5.1 GHz、Zen5cが最大3.3 GHzに設定されています。ただ、放熱関係の問題から最大クロックで動作する事は稀で、ベンチマーク中は4.6 GHzぐらいで動作しています。
GPU側にはRDNA 3.5アーキテクチャーで構成されるCompute Unitを合計16コア備えたRadeon 890Mを内蔵し、動作クロックは最大2.9 GHz動作になっています。このRadeon 890MはCPU内蔵GPUとしてはSteam Deckはもちろんのこと、Ryzen Z1 Extremeを搭載するASUS ROG Allyも大きく上回るスペックを盛ったものになっており、Ryzen AI 9 HX 370が持つ最大の特徴とも言えます。
また、このRyzen AI 9 370HXには最大50 TOPsを発揮するNPUも搭載しているため、Copilot+にも対応しています。
Minisforum Elitemini AI370のCPUパフォーマンス
CPU性能はZen 5系と言うことでシングルコア、マルチコア共に非常に高く、デスクトップ向けのRyzen 7 9700Xから大きく劣らない性能を発揮しています。また、先代のRyzen 9 8945HSに対しても20%を超える性能を発揮しており、CPUを酷使するレンダリングやエンコードなどの作業も快適に実行することが可能と言えます。
PCMark 10のスコア:4Kの動画編集も可能なレベル
PCMark10においては合計7342ポイント記録されています。
ウェブブラウジングなど日常用途での性能を図るEssentials、Wordやエクセルなどオフィス用途での性能を図るProductivityは10,000ポイント程度と非常に高いスコアを記録しているため、これら用途で不満に思うことは無いと言えます。
また、RAW画像や動画編集、3Dのレンダリングなどを評価するDigital Content Creationにおいては10,910ポイントと高いスコアを記録しているため、動画編集や3Dモデリングなど一般的に言うと重い作業も快適に作業ができる水準に達しています。
Minisforum Elitemini AI370のゲーミング性能
3DMark TimeSpyにおいてはGraphics Scoreが3561ポイントを記録しており、デスクトップ向けのGeForce GTX 1650並みの性能を発揮しています。また、ノートPC向けグラフィックカードで言うとGeForce RTX 2050などにも迫っており、CPU内蔵GPUとしては非常に高い性能と言えます。
Apex Legendsでのフレームレート推移
Apex Legendsでは解像度1080p、最高画質設定でチームデスマッチをプレイした結果、フレームレートはほとんどの場面で60fpsを超え、平均80fpsを記録しています。また、基本的に65fps近辺で動作しているため、設定を中画質以下にすれば120fpsでのプレイも実現できると言えそうです。
その他ゲームでのパフォーマンス
ゲームタイトル | 画質設定 | 平均FPS | Low 1% |
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Cyberpunk 2077 | 1080p High | 31.1 FPS | 22.3 FPS |
F1 2024 | 1080p High | 62.2 FPS | 42.3 FPS |
GTA V | 1080p High | 74.2 FPS | 45.2 FPS |
Call of Duty BO6 | 1080p Low | 63.4 FPS | 41.2 FPS |
FSRなどなしで1080p解像度の高画質設定で各種ゲームを30分程度、プレイした際のフレームレートは上記のようになっています。Cyberpunk 2077は非常に重いゲームであるため30fps程度ですが、画質設定を下げれば40~50fps程度までフレームレートを伸ばすことが可能と言えそうです。
他のゲームでは画質設定を調整すれば60FPS程度を平均で叩き出せているため、メジャーなタイトルからインディーズタイトルまで幅広いゲームを楽しむことが出来るグラフィックス性能を有しています。
Minisforum Elitemini AI370の消費電力と長時間の負荷を与えた際の動き
Minisforum Elitemini AI370に内蔵されるRyzen 9 HX 370はベースは28Wですが、最大54Wでそのあとは45W程度の消費電力で動作する設定になっています。また、ベンチマーク中は動作クロックはZen 5が3.8 GHz程度での動作を持続し、Zen 5c側は2.9 GHzで動作しています。
なお、グラフを見ると動作クロックや消費電力は大きく変動はしていないもののCPUの温度は徐々に右肩上がりになっており、350秒以降は90℃で張り付いています。そのため、90℃到達後はZen 5とZen 5cコアの動作クロックが僅かながら下がっていますが、差としては0.1 GHz程度で長時間負荷をかけ続けると極端に性能が落ちるということはありません。
内蔵されているSSDの性能
内蔵されているSSDはCrucial P3 Plus CT1000P3PSSD8と呼ばれるPCIe Gen 4対応の1TB NVMe SSDを搭載しています。このSSDは公称値が読み取り5000 MB/s、書き込み3600 MB/sとなっていますが、ベンチマークでは読み取りが5167 MB/s、書き込みが3536 MB/sを記録しているため公称値通りの性能であり、速度としても高速であるためゲームのローディングも高速です。
Minisforum Elitemini AI370の日常での使い心地と使い勝手
PCではパフォーマンスなどが重要でもありますが、毎日使うという点で気になる使い勝手や使い心地について取り上げて行きます。
ミニPCで気になるライセンス問題は問題なし
ミニPCで気になるWindowsライセンスについて、Minisforum Elitemini AI370はRETAIL_Channelと記載されているライセンスであるため、正規ライセンスが使われている事が確認できます。
なお、このライセンスは一般的なミニPCやノートPCに付与されるOEMライセンスではなく、Retailライセンスであるため、Minisforum Elitemini AI370購入者にWindows 11 Proのライセンスが付与されることになります。そのため、将来的にこのミニPCを処分する際などにはこのライセンスを使って他のPCにWindowsのインストールをすることが可能になります。
BIOSでTDP設定の変更可能
Minisforum Elitemini AI370ではデフォルト状態ではRyzen AI 9 HX 370のTDPは定格が28W、ブースト時が最大54Wで動作する設定になっています。ただ、BIOS設定からCPUパフォーマンスのプリセット変更が可能になっており、Performanceモードに変更するとブースト時は最大60Wで動作することが可能になります。ただし、この設定をPerformanceに変更すると当然のことながら発熱も大きくなるため、ファンノイズはうるさくなります。
Minisforum Elitemini AI370の最終評価:このサイズでは最強のミニPC?
- ゲーミングも余裕のRyzen AI 9 HX 370搭載
- メモリーが32GBデフォルトで選択可能
- PCIe Gen 4対応NVMe SSDを追加可能
- Copilot+に対応できるNPU搭載
- Performanceモードでは性能のさらなる向上が可能
- 20万円以上する製品だが全面プラスチック製筐体
- USB-Cポートが1つのみ
Minisforum Elitemini AI370は標準的なミニPCとしては最新鋭のRyzen AI 9 HX 370を搭載することでCPU性能はもちろんのこと、グラフィックス性能の大幅な向上が図られており、ミニPCの中では現時点で最も高い性能を持つ機種と言っても過言ではないと言えます。
特にグラフィックス性能が活きるゲーミングではApex LegendsやCall of Duty Black Ops 6など人気のPCゲームも快適に動くほか、Cyberpunk 2077など重いと言われているゲームも画質設定を中程度にすれば30~45fps程度で動作するなどゲーミング重視で購入しても期待を裏切らない性能になっています。
PCとしての性能もCPUに12コアのZen 5アーキテクチャーを採用しているため非常に高く、画像や動画編集など負荷がかかる作業も快適に行うことができるためこのミニPCが1台あればデスクトップPCで行っている作業も楽に行うことが出来ると言えそうです。
ただ、少々残念な点としては定価で20万円以上するミニPCでありながら筐体は全面プラスチック製であるほか、USB-Cポートが1ポートのみと拡張性が少ないのが気になるところです。ただ、USB4であるためUSBハブを用いてポート数を増やすことは容易であるため、もし多くのUSBが必要な場合はUSBハブも合わせて購入するといいかもしれません。
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MinisではモバイルRyzenにデスクトップ4060組み合わせたコンパクトPCを18万ちょっとで売ってるから、
ゲーミング用途を売りにしちゃうと案件としても微妙ですな