Minisforum AI X1 Proの実機レビュー。電源内蔵のAIやゲーミング対応のミニPC

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目次

Minisforum AI X1 Proの基本的な仕様について

Minisfourm AI X1 Proは主にミニPCを製造、販売するMinisfourmの最新鋭ミニPCでCPUにはAMDのZen5とRDNA3.5を組み合わせたAPU、Ryzen AI 9 HX370を搭載したモデルになっています。

価格は32GBのRAM、1TBストレージを搭載したモデルが定価186,990円で販売されており、ほかに64GBのRAMと1TBのSSDを搭載したモデルのほか、96GBのRAMと2TB SSDを搭載したモデルもあります。

CPURyzen AI 9 HX 370 (TDP 28W)
グラフィックスRadeon 890M (16CU)
メモリーSO-DIMM DDR5 5600 MT/s = 64GB
ストレージPCIe Gen 4 NVMe SSD 1TB
(PCIe Gen 4 2280スロットが3つ)
OSWindows 11 Pro
インターフェイスフロント側
– USB4 x1
– USB3.2 Gen2 Type-A x1
– 3.5mm ステレオジャック
リア側
– USB3.2 Gen 2 Type-A x 1
– USB4 x 1
– OCuLink x1 (PCIe Gen 4 x4)
– 2.5Gbps イーサーネットポート x2
– Display Port 2.0 x 1
– HDMI 2.1 x 1
側面
– SDカードリーダー
ワイアレス機能Wi-Fi 7 / Bluetooth 5.4
サイズ幅195 x 奥行き195 x 高さ47.5mm
電源電源内蔵(2ピン)
価格32GB RAM + 1TB SSD : 186,990円(セール中 149,590円)
64GB RAM + 1TB SSD : 207,990円(セール中 166,390円)
64GB RAM + 2TB SSD : 232,990円(セール中 186,390円)

今回のレビューはMinisforumからMinisforum AI X1 Proの提供を受けています。

パッケージ内容と同梱物

箱は非常にシンプルで本体上面にAI X1 Proの筐体画像、そして側面にA1 Proと書かれただけになっています。

同梱されている付属品は簡単な説明書のほかに、HDMIケーブル、モニターの裏面に本体を設置するためのマウント、縦置き用のスタンドと電源ケーブルで構成されています。

ミニPCとしてAI X1 ProはACアダプターを本体に内蔵するタイプになっているため、一般的なミニPCに同梱されているACアダプターは存在せず、2ピン電源ケーブルを本体に接続するだけで電源供給が出来ます。

Minisforum AI X1 Proのデザインと品質、拡張性について

ここではMinisforum AI X1 Proのデザインや品質そしてミニPCではあるものの気になる拡張性について解説します。

デザインと品質:本体のほとんどは金属製。電波透過のため底面はプラスチック

外観は一般的なミニPCで見られる正方形デザインですが、サイズが縦横で20cm近くあるなどかなり大きめになっています。ただ、その分、電源ユニットを内蔵したり、SSDを最大3本搭載できる拡張性を持たせてあります。

筐体はほとんどが金属製で、サンドブラスト加工したような塗装が施されているため質感は良いです。また、本体下部はWi-Fiなどの電波を通すためにプラスチックで構成されていますが、プラスチックもマットカラーになっているため質感が非常に良く仕上がっています。

筐体とインターフェース類との隙間などは一定で品質は良いと言えます。前面はUSB4を1つとUSB3.2 Gen2 Type-Aを2口、3.5mmジャックと電源ボタンに加え、Copilotボタンがあります。

後面インターフェイスは、USB Gen3.2に対応するType-Aポートが1つとDisplay Port 2.0とHDMI 2.1をそれぞれ1ポート、2.5Gbps対応のイーサネットを2ポート搭載しています。また、USB4やOCulinkポートも搭載しています。これにより外付けグラフィクスカードを搭載することも可能になります。

Minisforum AI X1 Proの各種パフォーマンスについて

内蔵のRyzen AI 9 370HX

Minisforum AI X1 Proに内蔵されているCPUはRyzen AI 9 HX 370と呼ばれる最新鋭APUを備えており、CPUは4コアが性能重視のZen5コア、8コアが効率重視Zen5cコアの合計12コアで構成されたハイブリットアーキテクチャーを採用しています。

動作クロックはZen5/Zen5c共にベースが2.0 GHzで、スペック上のブーストクロックはZen5が最大5.1 GHz、Zen5cが最大3.3 GHzに設定されています。ただ、放熱関係の問題から最大クロックで動作する事は稀で、ベンチマーク中はZen 5が4.1 GHz、Zen 5cが3.2 GHzぐらいで動作しています。

GPU側にはRDNA 3.5アーキテクチャーで構成されるCompute Unitを合計16コア備えたRadeon 890Mを内蔵し、動作クロックは最大2.9 GHz動作になっています。このRadeon 890MはCPU内蔵GPUとしてはSteam Deckはもちろんのこと、Ryzen Z1 Extremeを搭載するASUS ROG Allyも大きく上回るスペックになっています。ただ、注意点としてメモリがDDR5-5600 MT/sと少々遅めのものになっているため、後述のグラフィクス性能で出ますが、LPDDR5x-7500 MT/sを搭載する機種に対して性能が低下しています。

なお、AI性能に関しては最大50 TOPsを発揮するNPUも搭載しているため、Copilot+にも対応しています。

Minisforum AI X1 ProのCPUパフォーマンス

CPU性能はZen 5系と言うことでシングルコア、マルチコア共に非常に高く、デスクトップ向けのRyzen 7 9700Xから大きく劣らない性能を発揮しています。そのため、CPUを酷使するレンダリングやエンコードなどの作業も快適に実行することが可能と言えます。

なお、同じRyzen AI 9 HX 370を搭載するMinisforumのミニPCのAI 370に対して、AI X1 Proは本体サイズが大きく放熱性能も上がっているためCinebench R23では10%以上性能が上がっており、Ryzen 7 9700Xとの差も3%劣るレベルにまで迫っています。

PCMark 10のスコア:4Kの動画編集も可能なレベル

PCMark10においては合計7275ポイント記録されています。

ウェブブラウジングなど日常用途での性能を図るEssentials、Wordやエクセルなどオフィス用途での性能を図るProductivity、そしてRAW画像や動画編集、3Dのレンダリングなどを評価するDigital Content Creationでも10,000ポイント程度と非常に高いスコアを記録しているため、これら用途で不満に思うことは無いと言えます。

Minisforum AI X1 Proのゲーミング性能

3DMark TimeSpyにおいてはGraphics Scoreが3002ポイントを記録しており、デスクトップ向けのGeForce GTX 1650に近い性能を発揮しています。ただ、同じくMinisforumが発売するミニPCのAI370ではGraphics Scoreが3561ポイントを記録していたため、20%ほど性能が落ちています。この主な原因はメモリ速度の違いでAI370はより高速なLPDDR5x-7500 MT/sを採用していましたが、AI X1 ProではSO-DIMM対応化に伴いDDR5-5600 MT/sに変更されています。そのため、このメモリ速度がグラフィックス性能に直接影響したと言えます。

その他ゲームでのパフォーマンス

ゲームタイトル画質設定平均FPSLow 1%
Apex Legends1080p High51.3 FPS31.1 FPS
Cyberpunk 20771080p High25.1 FPS15.3 FPS
F1 20241080p High50.9 FPS35.1 FPS
GTA V1080p High63.4 FPS41.8 FPS
Call of Duty BO61080p Low53.6 FPS36.9 FPS

FSRなどなしで1080p解像度の高画質設定で各種ゲームを30分程度、プレイした際のフレームレートは上記のようになっています。Cyberpunk 2077は非常に重いゲームであるため30fpsを切っていますが、画質設定を下げれば40~50fps程度までフレームレートを伸ばすことが可能と言えそうですが、ゲーミングで使うには少々物足りないグラフィックス性能と言えそうです。ただし、このAI X1 ProではOculinkを搭載しているため、もしゲーミング性能を向上させたい場合、Oculink対応の外付けグラフィクスを搭載するという方法もあります。

Minisforum AI X1 Proの消費電力と長時間の負荷を与えた際の動き

Minisforum AI X1 Proに内蔵されるRyzen 9 HX 370の消費電力はベースが28Wに設定されていますが、ベンチマークなどCPUをフル活用する際にはブーストがかかり、その際には最大70Wでの動作が確認されています。ただし、70Wでの動作は限定的で、そのあとは60Wで動作しますがそれでもかなり高い電力設定で動きます。また、ベンチマーク中は動作クロックはZen 5が4.1 GHz程度での動作を持続し、Zen 5c側は3.1 GHzで動作しています。

なお、テストではCinebench R23を10分間動作させますが、その間の消費電力や動作クロックは安定しているほか、CPUの温度も最初の5分間は上昇していますがそのあとは75℃以上に温度が上がっておらずCPUの発熱に対して適切な冷却性能を持っていることを確認できます。

内蔵されているSSDの性能

内蔵されているSSDはKingstone製OM8PGP41024Q-A0と呼ばれるPCIe Gen 4対応の1TB NVMe SSDを搭載しています。このSSDは公称値が読み取り3700 MB/s、書き込み2600 MB/sとなっていますが、ベンチマークでは読み取りが4800 MB/s、書き込みが3900 MB/sを記録しているため公称値超えの性能を実現しています。なお、この速度であれば日常的な作業はもちろんのこと、ゲーム時にも十分使える性能が期待できます。

Minisforum AI X1 Proの日常での使い心地と使い勝手

PCではパフォーマンスなどが重要でもありますが、毎日使うという点で気になる使い勝手や使い心地について取り上げて行きます。

ミニPCで気になるライセンス問題は問題なし

ミニPCで気になるWindowsライセンスについて、Minisforum AI X1 ProはOEM_Channelと記載されているライセンスであるため、正規ライセンスが使われている事が確認できます。

電源ユニットを内蔵

Minisforum AI X1 ProはミニPCでは外付けのACアダプターで賄うことが一般的な電源ユニットを本体に内蔵しています。そのため、例えばモニター裏面に設置した際もACアダプターの置き場所に困ることが無いなど机上を整理することが容易になります。

指紋認証を本体上面に搭載

AI X1 Proには本体天板に指紋認証用のセンサを搭載しており、Windows Helloを利用してログインやパスワードが必要なサービスへのログインなどを本体に指を読み込ませるだけで出来ます。ただ、注意点がこの指紋認証は本体天板に付けられているため、机上に置いている場合は問題ありませんが、VESAマウントでモニター裏などに搭載した際には使えなくなります。

SSDを3枚搭載可能

AI X1 Proの本体内部にはPCIe Gen 4対応のNVMe SSDスロットが3つ用意されており、そのうち1つは既にNVMe SSDが装着された状態で出荷されます。ただ、残り2つのスロットは空けられているため必要なストレージに応じて追加することが出来るなど拡張性が確保されています。

Minisforum AI X1 Proの最終評価:このサイズでは最強のミニPC?

  • 電源内蔵かつUSB-PDでの動作も可能
  • グラフィックス性能はそこそこ高め
  • SO-DIMMでメモリの追加が可能
  • PCIe Gen 4対応NVMe SSDを追加可能
  • Copilot+に対応できるNPU搭載
  • SO-DIMMのためLPDDR5x搭載のAI370に比べてゲーミング性能が低め
  • ミニPCとしては大きめのサイズ(電源内蔵の背反)

Minisforum AI X1 Proは標準的なミニPCとしては最新鋭のRyzen AI 9 HX 370を搭載することでCPU性能はもちろんのこと、グラフィックス性能も高いため多少のゲームはもちろんのこと、動画編集やレンダリングなど重めの作業も楽に熟すことが出来ます。

ゲームでは同じくRyzen AI 9 HX 370を搭載するMinisfourumのAI370に比べるとメモリ面の制約で性能が低くなっていますが、それでもApex LegendsやCall of Duty Black Ops 6、Valorantなど比較的有名なFPSゲームなども中画質程度であれば快適に動きます。

PCとしての性能はCPUに12コアのZen 5アーキテクチャーを採用しているため非常に高く、画像や動画編集など負荷がかかる作業も快適に行うことができるためことから、デスクトップPCで行っている作業もAI X1 Proだけで行うことが出来ると言えます。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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