2021年にAppleがMacPro向けに追加発売したAMDのRadeon W6800X Duoは、Navi 21 GPUを2基搭載するグラフィックカードです。以前はApple製品でしか使えないインターフェースを採用していたため、性能については謎に包まれていました。しかし、海外のYoutuberがWindowsで動作させ、NVIDIAやAMDのグラフィックスカードとの性能比較結果が明らかになりました。
MacPro搭載のRadeon W6800X DuoにはRTX 4080並みの性能がある事が判明。逆にRTX 4080やRX 7900 XTXにはNavi 21を2基分の性能もあるとも・・・
AppleのMacProでは搭載できるグラフィックカードにはRDNA1を搭載するRadeon Pro 5000系GPUの他に2021年には追加でRDNA 2アーキテクチャを採用するRadeon Pro 6000系GPUも追加されています。この中で最上位モデルのRadeon Pro W6800X DuoではRDNA 2を採用するNavi 21を2基搭載し、この2基のGPU間をInfinity Fabricを通して動作するグラフィックカードになっています。
仕様としては各Navi 21には60基のCompute Unitと256-bitのバス幅で接続された16Gbps動作のGDDR6を32GB、Infinity Cacheを128MB搭載し、グラフィックカード合計では120基のCompute Unit、64GBのGDDR6、Infinity Cacheは256MB搭載し、消費電力は約400Wにも達すると見られています。
このグラフィックカードについてはApple独自規格であるMPX(Mac Pro eXpansion)を採用し、マザーボードとグラフィックカードの接続にはPCIe x16コネクターに加えて電源供給用にPCIe x16コネクターに似た形状の特殊コネクターが採用されており、一般的なマザーボードでは使用する事が出来ません。
しかし、ドイツのオーバークロッカーのDer8auer氏がこのRadeon Pro W6800X Duoに改造を施し、Windowsで動作させ3DMarkベンチマーク結果を明らかにしました。
This Insane AMD Dual GPU from 2021 is Faster than a RX 7900 XTX – YouTube
Der8auer氏はCore i9-13900Kと32GB(2x16GB)のDDR5-6000 C30メモリを搭載した最新のZ790プラットフォームでRadeon Pro W6800X Duoを搭載しベンチマークを行いました。
まず、動作についてはRadeon向けのAdrenalinドライバーでは動作が行えなかったため、Apple Boot Camp用ドライバーを用いてWindowsでの動作に成功しています。
グラフィックカード | Time Spy Extreme Graphicsスコア |
---|---|
GeForce RTX 4090 FE | 123.49 |
Radeon Pro W6800X Duo | 97.21 |
Asus Strix GeForce RTX 4080 | 93.28 |
Radeon RX 7900 XTX (MBA) | 89.78 |
Gigabyte Eagle GeForce RTX 4070 Ti | 69.78 |
3DMarkベンチマークにはTimeSpy Extremeが用いられ、グラフィックカード性能を測るGraphicsスコアはGeForce RTX 4090が123.49FPS、GeForce RTX 4080が93.28FPS、Radeon RX 7900 XTXが89.78FPSを記録する中で、Radeon Pro W6800X Duoは97.21FPSを記録しています。
この性能はGeForce RTX 4080を4%上回っており、Radeon RX 7900 XTXを8%を上回る性能になっています。しかもこのパフォーマンスはゲームに最適化されていないBoot Camp用ドライバーを用いての性能であるためAdrenalinドライバーなどで動作していれば更に高いスコアを記録できたと考えられます。
なお、このRadeon Pro W6800X Duoはアップル公式サイトから購入は出来ますが、価格はプロ用GPUという事で70万円となっています。
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