Lunar Lakeでハイパースレッディング(HT)をするのは効率のため。Arrow LakeはHT対応に戻る可能性も

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Lunar Lakeでハイパースレッディング(HT)が廃止された理由は効率。Arrow LakeではHT対応にまた戻る可能性も

IntelがComputex 2024で発表したLunar LakeではP-CoreであるLion CoveとE-CoreのSkymontなどの新アーキテクチャーが発表されました。この新アーキテクチャーについてはE-CoreのSkymontは先代のCrestmontやRaptor Lakeまで搭載されていたGracemontに比べて大幅な性能向上し注目を集めていました。一方で、P-Core側のLion Coveについては性能向上よりハイパースレッディング(HT)が廃止されたことが注目を集めているのですが、今回なぜIntelがLion Coveから長年使っていたHTを廃止するのか、Overclock3DがIntelのエンジニアから解説をしてもらっています。

ハイパースレッディングはPentium 4時代からありましたが、一時的に廃止され、再び2006年に投入されたCore iシリーズ(Nehelem)で再び投入されました。そこから約18年に渡りHTは当たり前の機能として搭載され続け、途中Alder Lakeから投入されたハイブリッドアーキテクチャーではE-Core側はHT非対応となりましたが、P-Core側は引き続きHTに対応し続けていました。しかし、冒頭の通りLunar Lake搭載のLion CoveからはHTには非対応となりました。

Lion Coveの目標は効率の最大化

IntelがLion Coveを開発する際に単一スレッド性能やワットあたりの性能、面積あたりの性能を最大化することを目標に置いて開発を進めてきたとのこと。そのため、ある機能が多くの電力や面積を占有しつつ、十分な性能を発揮していない場合は廃止を検討することになるのですが、これに当てはまるのがLion Coveのハイパースレッディングです。

ハイパースレッディングはIntel製CPUに長年組み込まれていた機能で、その理由は1コアで2スレッド実行することで電力効率を高めることが可能だったからです。

しかし、Alder Lake以降投入されたE-Coreを含むハイブリッドアーキテクチャー化からはスレッドのスケジューリングはパフォーマンスを重視する場合はP-Coreに作業を配置し、次にE-Core、最後にP-Coreのハイパースレッディングに割り当て、効率を重視する場合はE-Coreで作業を配置し、次にP-Core、最後にP-Coreのハイパースレッディングなど、性能、効率どちらをとってもハイパースレッディングは最後に利用される事からLunar Lake搭載のLion Coveの設計する際にはハイパースレッディングは廃止する判断になりました。

また、ハイパースレッディングを無効化したP-Coreとハイパースレッディングを持たないP-Coreの2つで効率の比較も検証していたようで、その結果、ハイパースレッディングを持たないP-Coreでは電力効率が高まることが明らかになっているとのことです。これはハイパースレッディングに限らず、CPUでは使わない機能も電力を消費してしまうためです。

ただし、ハイパースレッディングは悪いと言う訳では無く、ハイパースレッディングを有効化すると電力効率は上がるとのことです。ただ、面積あたりの性能は低下するため、Lunar Lakeのようにダイ面積が限られている用途では総合的に考えると、ハイパースレッディングを廃止したP-Coreが最も効率的に動作するという結論に至ったとのことです。

今後はハイパースレッディングは用途で使い分ける?

Lunar Lake搭載のLion Coveアーキテクチャーでハイパースレッディングが廃止されるため、今後のIntel CPUからはハイパースレッディングが無くなると考える人もいますが、答えは『NO』とのことです。Lunar Lakeに搭載されるLion CoveはArm系アーキテクチャーに対抗するために、効率バランスが最も高める機能に厳選した設計が行われています。

一方で、電力効率を重視しピーク性能を高め、面積当たりの性能はあまり気にしなくても良いデスクトップ向けCPUやサーバー・データセンター向けCPUなどでは引き続きハイパースレッディングは有効な手段でもあるため、2024年10月に登場するArrow Lakeをはじめ、IntelはCPUの用途に応じてハイパースレッディング含む各機能の維持や廃止を検討するものと見られています。

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IntelのLunar Lake搭載のLion Coveではハイパースレッディングが廃止される事はかなり注目を浴びていましたが、ハイブリッドアーキテクチャー化に加え、E-Coreの性能が大きく上がっていることからノートPCで重要視される電力効率や面積効率の観点で言えばハイパースレッディングはあまり有効ではない様です。ただ、ハイパースレッディングはもう役に立たないというより、電力効率を上げるには使えることも明らかになっているので、ピークパフォーマンスが重視されるデスクトップ向けCPUやGranite Ridgeなどサーバー・データセンター向けCPUにおいてはハイパースレッディングは有効化のまま据え置かれる可能性は高そうです。

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ソース

Why are Intel ditching Hyperthreading with Lion Cove and Lunar Lake? | Overclock3d

https://overclock3d.net/news/cpu_mainboard/why-are-intel-ditching-hyperthreading-with-lion-cove-and-lunar-lake

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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