IntelもMCMを採用したGPUを開発している可能性。特許情報より判明

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AMDでは2022年に発売予定のRadeon RX 7000シリーズで複数のGPUダイを繋いで1つのGPUとして動作させるMCM GPUを投入する予定ですが、IntelのディスクリートGPU向けの特許情報にてAMDと同じくMCM技術を採用する事が明らかになっています。

目次

MCMをArc GPUにも採用か?

Next-Gen Intel Arc Gaming GPUs To Utilize Multi-Chiplet Design As Hinted Within Patent (wccftech.com)

Intelでは2022年前半までに独自のディスクリートGPUであるArc、その第一世代製品にあたる『Alchemist』を投入する予定ですが、ライバルであるNVIDIAやAMDでは毎年GPUの性能向上を果たしている事からIntelも何かしらの飛び道具を用意しないと性能面でアドバンテージが得られないと見られています。

POSITION-BASED RENDERING APPARATUS AND METHOD FOR MULTI-DIE/GPU GRAPHICS PROCESSING (freepatentsonline.com)

そんな、Intelですが2021年5月頃にGPUにMCM(Multi Chip Module)を採用に関する特許がアメリカで出願されており将来的なArc GPUに採用される可能性があるかもしれません。

複数のGPUがエリアを分割してレンダリング。DX12のSplit Frame Rendering的な方法?

IntelのMCMに関する特許は2021年5月に申請が行われており、特許内容としては複数のGPUを利用してフレームレンダリング範囲を分割する方法や割り当て方法、レンダリング方法などが述べられています。

仕組みとしては、GPUへレンダリング指示は搭載されている複数のGPUへ伝達され、一つ目のGPUは指示されたフレームの大まかなシーンを描きます。ここで行う作業としては、本番のレンダリングを行うに当たって、レンダリングする範囲、つまり隠れている物体など見えないものは何かを判断するようです。この作業の際には同時にGPUに掛かる負荷を考慮してフレームを細かなタイルに分割します。

この後に、GPUドライバーが残りのGPUに対して正確なレンダリングを指示するのですが、その時には各GPUが自分の担当する範囲のみをレンダリングするため複数のGPUを利用してレンダリングの高速化が可能になるとの事です。この一連の作業は1秒間に60~500回ほど行われるとの事です。

このような方法でレンダリングする事で、IntelとしてはGPUダイの追加に対して性能がリニアに向上させる事を目論んでいるようです。

ちなみに、このようにGPUが各エリアをレンダリングする機能は昔から存在しており、NVIDIAのSLIやAMD Cross Fireに存在していたSplit Frame Rendering機能があります。今でもDirect X12からSplit Frame Rendering機能は実装されていますが、GPUを2枚付けたから性能2倍という状況には遠く及ばないレベルとなっています。

特許の中にはNVIDIAのSLIやAMD Cross Fireを利用した際の性能向上代についても記載されており、SLIやCross Fireに比べてIntelのやり方でレンダリングするとGPUダイの数だけ性能向上が実現できる事が謳われています。(資料にはSLIやCross Fireは載せられているものの、どれだけ改善したかなど具体的な数字は記載されていませんでした。)

IntelもMCM採用へ。理由はコストパフォーマンスと消費電力

IntelなどがGPUダイを製造するのに委託しているTSMCの最先端製造プロセスは3nmと言われており、近い将来2nmにまで微細化を行っていく計画を立てていますが、このような研究開発には膨大は投資が必要となっています。TSMCでは2021年には3.3兆円規模の投資を行っており、来年や再来年にはプロセス微細化に向けて更なる投資を行うと見られていますが、そのコストを払うのはIntel、そして最終的には消費者です。

そのため、Intelなど各メーカーでは性能を上げるためにダイサイズを闇雲に大きくする事は今後はより困難になるため、1枚のウェハーから取れるダイの数を増やす為にダイサイズの大きさを小さくし、可能な限り高い歩留りを実現、性能向上については小さなダイを複数搭載する事で調整と言うMCMに舵を切っていく事が主流となりそうです。この流れをいち早く取り入れていたのがIntelのライバル、AMDでRyzen CPUでは成功を納めており2022年発売のRadeon RX 7000シリーズではGPUにもMCMを展開しようとしています。

IntelはMCM CPUを2023年頃に発売されるMeteor Lakeで採用すると見られていますが、GPUについてもMeteor Lake登場から近い内にMCM化される可能性はありそうです。

AMD Athlon Gold PRO 4150GEのベンチマーク出現。Core i7-6700並みの性能に

特許が申請されたからと言って、製品に100%直結する訳では無く、アイディアを取られないように申請だけしておくというパターンが多いので今回のMCMが本当にIntelのArc GPUで採用されるかは未知数な所があります。ただ、Intelではまだ掲載されていないもののMCMに関連した特許を2021年頃から多数出願しているようですので、実用化に向けた研究開発は確実に進んでいると言えそうです。特に、Intelのデータセンター向けXe GPUであるPonte Vecchioでは既にMCMを採用済みですので、ノウハウは確実に持っています。

2022年は恐らくAMDがMCM GPUを初めてリリースすると見られていますが、2023年にはもしかしたらIntel、そして2024年にはNVIDIAとGPUもMCMが標準となる時代がもうすぐ来るかもしれませんね。

 

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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