サーバー向けCPUにおいてIntelはAlder Lake-Sで採用されているGolden Coveアーキテクチャーを搭載したSapphire Rapids-Xの発売を2022年中に予定していますが、2022年から2025年までのサーバー向けCPUのロードマップが出現しました。
2025年までに発売されるIntelのサーバー向けCPUロードマップが出現
Intelでは2022年中にサーバー向けCPUとしてSapphire Rapidsと呼ばれるAlder Lake-Sに採用されているGolden Coveアーキテクチャーを最大56コア搭載したCPUを投入予定としていますが、TheNextPlatformと呼ばれるサーバーなどエンタープライズ向け製品の情報を扱うサイトにIntelが2025年までに投入を予定しているサーバー向け製品に関して公式発表された情報やリークを基に作成されたロードマップが出現しました。
2022年 | Sapphire Rapids
Sapphire Rapidsについては2021年中の投入が予定されていましたが、2022年夏頃の投入に延期がされています。
CPUのアーキテクチャーはAlder Lake-Sで採用されているGolden Coveが搭載されており、IPCはSunny Coveアーキテクチャが採用されているIce Lakeに比べて大幅向上15~20%ほど向上すると見られています。
コア数に関してはIce Lakeでは最大40コア80スレッドだった所が56コア112スレッドに増え、TDPについても最大350Wに増えると見られています。
投入される種類としては、通常のCPUの他に、HBMを内蔵したモデルも登場予定で、HBM内蔵モデルでは最大64GBまで搭載されると見られています。
動作クロックに関しては、Sapphire Rapidsでは最大2.3 GHzとなり、インターフェイス面では 最大4TBのDDR5メモリーを搭載できると見られています。
ただ、2022年にはAMDは最大96コアのZen4アーキテクチャを搭載するEPYC Genoaをリリース予定でコア数の他にHBMを搭載していても3D V-Cacheを生かした巨大なL3キャッシュ容量やPCIeのレーン数、DDR5のメモリーチャンネル数や最大容量などの面でSapphire Rapidsは苦戦が強いられると見られています。
2023年|Emerald Rapids
Emerald RapidsはSapphire Rapidsと同じくIntel 7 (10nm)プロセスで製造が行われるCPUとなっており、Raptor Lake-Sに採用予定のRaptor Coveアーキテクチャが搭載される予定となっています。そのため、IPCはSapphire Rapidsに比べて5~10%増に留まる予定です。
コア数に関しては56コアから最大64コアに微増し、スレッド数も128スレッドになります。
動作ロックに関しては最大2.6 GHzになると見られており、120MBのL3キャッシュとDDR5-5600メモリーに対応するとみられています。
コア数や動作クロックが増える事でTDPについては375Wになり、CPU全体のパフォーマンスとしてはSapphire Rapids比で39.5%向上すると見られています。
なお、2023年にはAMDは最大128コア、256スレットまで対応するEPYC Bergamoを投入予定で、Emerald Rapidsの64コアでは太刀打ちできる見込みは薄くなっています。
2024年|Granite Rapids
Sapphire Rapids、Emerald Rapids共にAMDのサーバー向けCPUに対して劣る点が存在していましたが、2024年に登場するGranite Rapidsから挽回を図るようです。
製造プロセスはIntel 4 (7nm EUV)が採用される見通しとなっており、CPUアーキテクチャーにはRedwood Coveが採用される見込みです。このRedwood Coveはコンシューマー向けではMeteor Lakeとして登場予定で、こちらはIntel初のMCMが採用される見込みとなっていますが、サーバー向けでも採用されると見られています。
IntelがAcceleratedと呼ばれる発表会で公開したGranite RapidsのイメージCGではCPUダイが2つ搭載されており、1ダイあたり最大60コア、2ダイで120コア、240スレッドに対応すると見られています。
この時点でもAMDが2023年に投入したEPYC Bergamoの128コア、256スレッドには追いついていませんが、プロセス微細化が行われる事でIPCはEmerald Rapidsに比べて35%、全体的な性能としては143%向上する可能性があるようです。
なお、Granite RapidsよりIntelは新しい命令セットであるAVX-1024/FMA3を投入予定で、様々なワークロードでの性能向上を目論んでいるとのことです。
2025年|Diamond Rapids
Diamond Rapidsに関しては、2017年以来AMDに性能面で取られていたリードを取り戻す事を念頭に開発を行なっているようです。
ただ、AMDは2025年までにZen 5アーキテクチャを搭載したEPYC Turinを投入すると見られているため、どうなるかは不明です。
Diamond Rapidsに搭載されるCPUはIntel 3 (5nm)を採用する予定で最大144コア、288スレッドまで対応すると見られています。動作クロックについても2.5~2.7 GHzに高まり、最大288MBのL3キャッシュを搭載すると見られています。
プロセス微細化によってGranite Rapidsに対してDiamond RapidsはIPCは39%向上すると見られています。また、全体の性能としては80%ほど向上すると見られています。
インターフェイス面では128レーンのPCIe Gen 6.0となり、メモリーもDDR6に進化し、DDR6-7200まで対応すると見られています。
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Intelのサーバー向けCPUについては当初の計画より遅延している模様で、Sapphire Rapidsの投入も2022年Q2からQ3に延期される噂も出ているようで、今回出現したロードマップ情報はリークなどが基にされているとはいえ、Intelが考えるハッピープランと言う風に捉える必要がありそうです。
サーバー向けCPUは収益性が高く、売上高としても非常に大きくIntel、AMDともに収益の柱と言える分野ですが、2024年までIntelがAMDにサーバー向けCPUで逆転できる勝ち筋があまり見出せないように思えるのですが、Intelとして何か策を用意しているのか気になるところです。
これが無いとAMDはどんどんノウハウや顧客を獲得し、勢力を拡大していき、Intelは不利な立場に追い込まれるためどんな事をするのか今後の動きに注目です。