IntelがP-Coreを廃止しE-Coreベースに再編へ。名作CPUを作ってきたイスラエル開発チームも解散危機?
Intelは2020年に発売したAlder Lakeから従来まで同じCPUコアのみを搭載する構成から、異なる命令セットとアーキテクチャーであるP-CoreとE-Coreを備えたヘテロジニアスマルチコア構成となり、これ以降2024年に発売されたArrow Lakeから2027年以降に登場が噂されるRazer LakeまでP-CoreとE-Coreを混合したコア構成がIntelの主力製品としてラインアップされる予定になっています。
しかし、Intelは2028年以降に登場するCPUアーキテクチャーからはE-Coreを開発するチームをベースに開発チームを再編し、それ以降に登場するCPUに関してはE-Coreをベースに再び1つのCPUアーキテクチャーで構成される可能性がリークされています。
度重なる開発失敗でイスラエルの開発チームは解散寸前。Royal Coreは成果を出せず2024年末に解散。
中国の知平にリークされた情報によると、Intelには2023年末時点では3つのCPU開発チームが存在していたとのことです。
P-Core開発を手掛けるイスラエルチーム
Intel Core 2シリーズやAlder Lake以降のP-Coreを開発するイスラエル開発チーム。Golden Coveなど非常に優れた性能を持つCPUを数多く開発すると共に、年長幹部が多く、社内政治にも長けていたことからIntelを担う高性能コアの開発を任され、それらに必要なリソースも多く握っていたとのことです。
Atom開発から派生したE-Core開発チーム
GracemontやSkymontなど『mont』が付くE-Coreを開発するチームで、Intelの中で最も若く活力があると言われているチームです。また、その設計能力はかなり高いようで、IntelのCPU開発チームの中でチップ面積の縮小(高密度化)と消費電力の削減を最優先に設計された基本回路設計が行える唯一のチームとのことです。
Royal Coreチーム
Royal CoreはAMD Zenなどを開発したジム・ケラー氏が取り組んでいたと言われるプロジェクトでシングルコアで4スレッドを実行するなど野心的なプロジェクトでした。しかし、消費電力や性能、ダイサイズなどすべての面で性能が極めて悪く、開発状況も非常に遅かったことからリソースがあまり割り当てられていなかったとのことです。
この3つのチームでCPUを開発していたIntelですが、2024年からIntelの財務状況が悪化し、さらにIDM 2.0など野心的な取り組みをするものの投資が嵩むことからIntelはチームの再編を行い、その際に真っ先にRoyal Coreチームが解散させられたとのことです。
ただ、残る2チームの中で長年IntelのCPU開発で実権を握っていたイスラエルの開発チームも解散の危機に陥っているようです。その原因としては度重なる開発失敗が挙げられており、2023年に発売したMeteor Lakeに搭載される計画で進められていたP-CoreのRedwood Coveは先代のRaptor CoveよりIPCがかえって低下してしまうなど優れたものではなく、デスクトップ向けの投入がキャンセルされました。そして、そのあと起死回生をかけて2024年に投入したLion CoveもArrow Lakeの販売状況の通り、期待外れと言える性能となってしまいました。また、さらに悪いことにこのイスラエルチームが開発するP-Coreはサーバー・データセンター向け製品のXeon(Diamond Rapidsなど)の性能を左右するコアでもあったため、このP-Coreの開発失敗はIntel幹部に衝撃を与える結果となったようです。
ただ、その一方でE-CoreはMeteor Lakeで搭載されたCrestmont、そしてArrow Lakeで投入されたSkymontで性能の大幅向上が行われるなど成果を挙げられているほか、その設計力にも定評があったことからIntelはPat氏が在任中の2024年第3四半期からイスラエル開発チームは人員削減が行われ、優秀な社員にはE-Core開発チームへ異動させたとのことです。また、この動きは新CEOのLip-Bu Tan氏に代わってからはさらに加速しているとのことで、2027年以降はイスラエルチームは解散となる可能性が高まっているようです。
E-Core開発チームが今後のIntel CPUを率いる?
E-Core開発チームに関してはSkymont、DarkmontなどE-Coreを引き続き開発しますが、2026年に登場するNova Lakeに搭載されるE-Coreは『Arctic Wolf』と言う今までにないコードネームに変更されていることから命令セットや役割が今までのE-Coreから大きく変わると見られています。また、同時にP-Core開発の失敗の結果、Intelは将来を担うCPUに関してはこのE-Core開発チームが担うことになったとのことです。
そのため、IntelのP-CoreやE-Coreを組み合わせて使うCPUは2027年に登場が噂されるRazer Lakeが最後になると見られており、2028年以降に登場するCPUではAlder Lake以前で用いられていた1つのアーキテクチャーでCPUコアが構成される見通しです。また、開発はE-Core開発チームが行う他、設計思想はE-Coreをベースに機能を追加するアプローチが取られるとのことで、Intelの将来を左右するCPUコアはE-Coreベースにアレンジされていくものと見られています。
なお、リークによるとE-Core開発チームはテキサス州のオーステンに拠点があるとのことですが、AMDの開発チームも同じ場所にあります。そのため、人材面での交流や引き抜きなども容易になるため、まだまだ先ですが2028年以降にIntel製CPUは大きな変化が見られると考えられ、その出来栄えに注目と期待が集まります。
AMD、Intel的下一代CPU的PPT都显示了强劲的性能提升,是在吹牛吗? | 知平
https://www.zhihu.com/question/1920608785766028968/answer/1922041831182569570
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