Intel Raptor Lake が供給不足。AI PC向けのLunar Lakeなどが売れていないため
Intelは2025年4月24日に2025年第一四半期決算を発表しまし、赤字の拡大や追加の人員削減を発表するなどかなり厳しい状況が浮き彫りになっていますが、どうやらIntelが2024年に投入したAI対応CPUであるMeteor LakeやLunar Lakeが想定よりも伸び悩む一方で、2022年に発売されたRaptor Lakeなど旧世代のCPUへの需要が想定外に高まっていることが明らかになっています。
Intelは2024年にMeteor LakeならびにLunar LakeをCore Ultra 100シリーズとして発売し、特にこの中のLunar LakeはWindows向けの新機能であるCopilot+に対応できるAI処理プロセッサ(NPU)を搭載することから各社OEMは『AI対応PC』と言う触れ書きでマーケティングを展開していました。しかし、Intelの決算によるとこれらの『AI対応PC』に必要なMeteor LakeやLunar Lake搭載ノートPCはあまり売れておらず、特にここ最近は世界的なマクロ経済の不透明感や関税問題などへの懸念から消費者はコストが高いMeteor LakeやLunar Lakeなど最新CPUが選ばれにくい傾向にあるとのことです。
一方で、この最新CPUの不調により、消費者は価格が手ごろな一方でCPU性能としては申し分ない旧世代のRaptor Lake CPUを搭載するCoreシリーズやCore iシリーズなどを搭載するノートPCが売れているとのことです。ただ、Intelにとってこれは想定外の事態だったためか、Raptor Lakeの製造に使っているIntel 7プロセスの生産キャパシティーが不足していることも明らかにしています。また、IntelとしてIntel 7を外部ファウンドリーとして使う計画や、今後の製品展開で用途拡大が行われる可能性は低いため増産には踏み切れず、Intel 7を使うRaptor Lakeなどの製品については今後もしばらくの間は供給不足に陥る可能性を指摘しています。
『AI PC』を巡っては、IntelやAMDが2024年後半に積極的なマーケティングを展開しましたが、最近はその勢いがやや下火になっている印象です。また、AI PCの核となるNPUについても、現状ではその活用用途が限定的であり、多くの消費者にとって、高価な『AI対応PC』を購入する必要性を感じる場面はまだ少ないと言わざるを得ません。そのため、IntelのMeteor Lake、Lunar Lake、そして今後登場するArrow LakeといったAI対応CPUの販売を本格的に押し上げるには、AI機能を活用した『キラーアプリ』の登場が待たれます。しかし、現時点でその兆候は乏しく、Intel自身が示唆するように、当面はRaptor Lakeへの需要が続き、供給不足も解消されないという状況が続く可能性がありそうです。
なお、Raptor Lake世代に関しては、ノートPC向けでは現在主に廉価モデルで採用されていますが、デスクトップ向けには、近い将来P-Coreを12コア搭載すると噂されるRaptor Lakeベースの新CPU『Bartlett Lake』の投入も囁かれています。今回のIntel 7プロセスの供給不足が、こうした新製品の投入計画にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目されます。
Financial Results | Intel
コメント