Intel Nova Lake も52コアCPUにも大容量キャッシュを搭載?
Intelは2026年に、次世代CPUとして「Nova Lake」を市場に投入する予定です。これまでの情報では、このNova Lakeには2つの主力モデルが用意されると見られていました。一つは、多コア化を推し進めた最大52コア(16P+32E+4LPE)構成のモデル。もう一つは、AMDの3D V-Cache技術に対抗する大容量キャッシュ「bLLC (Big Last Level Cache)」を搭載した、ゲーミング性能重視のモデルです。
しかし今回、Intelがこれら2つの特徴を併せ持つ、「52コア+bLLC」という究極の構成を備えた最上位モデルの投入を計画している可能性が、新たなリークによって示唆されました。

Chiphellに掲載されたリークによると、IntelはNova LakeでbLLCを備える8P+16Eコアを2つ備えた製品の投入を計画しているとのことです。
AMDが3D V-Cacheを2個載せしたRyzen 9000X3Dを計画中。192MBのL3キャッシュ搭載
そして、数日前にリークされたAMDの3D V-Cacheを2つ搭載したRyzen 9000X3DシリーズはこのIntelに対するけん制として投入が急遽決定されたようです。
CPU全体では300MBを超えるキャッシュ容量を実現する可能性も?
Nova Lakeは、「Compute Tile」と呼ばれるCPUコアのブロックを組み合わせる設計が採用されています。今回のリークが示唆する「52コア+bLLC」モデルは、bLLCを搭載した「8P+16E」構成のCompute Tileを2つ搭載する形になると考えられます。
このbLLCの実装方法については、2つの可能性が考えられます。
可能性①:各Compute TileにbLLCを搭載
bLLC化されたCompute Tileは合計144MBのL3キッシュを備えると言われているため、仮にbLLCがAMDの3D V-Cacheのように各Compute Tileに搭載されている場合はこれらを2つ搭載することでL3キャッシュはCPU合計で288MBに達し、L2キャッシュがArrow Lakeと同じ容量だとしてもCPU合計では368MBに迫る可能性があります。
この容量はRyzen 9 9950X3DのL2+L3キャッシュ合わせた容量である144MBに対して約2.5倍です。また、噂されている3D V-Cacheを2つ搭載するモデルはL2+L3キャッシュ合わせて208MBになるため、これらに対しても1.8倍になります。
可能性②:ベースタイルにbLLCを搭載
もう一つの可能性は、Compute TileやSoC Tileなどの土台となるベースタイルの上に、キャッシュ層を加えると言う構造です。これは過去にAdamantineキャッシュと言う名前でMeteor Lakeで検討されていた技術に近いです。
IntelもCPUに巨大キャッシュ搭載を検討中。ただしコスト高のためサーバー専用に
このような構造の場合はCompute Tile2つでL2+L3合計で152MBに加え108MBのbLLCを1つ合計260MBと言う可能性もあります。ただ、それでもキャッシュ容量としては現行のRyzen 9 9950X3Dを大きく上回る数字になります。
Intelの収益の柱はコンシューマー向け製品。本気でデスクトップ市場を取り戻したい?
Intelが2025年に投入したArrow Lakeは特にコンシューマー・デスクトップ向けは市場の期待に応えられず競合のAMDに対してシェアを失っている状況が市場での販売状況やSteamハードウェア・サーベイなどで現れています。

2025年7月24日に発表されたIntelの2025年第二四半期決算においてもデスクトップ向けCPU含むCCG (Client Computing Group)の売上高は伸び悩んでいるほか、営業利益率も低下しており、これは高単価なハイエンド製品が売れにくくなっていることを示唆します。
しかし、この決算資料は同時に、Intelの売上高の大部分が、このCCG部門からもたらされているという事実も示しています。CCGは、データセンター向けCPUを扱うDCAI部門の2倍以上の売上高と、約3倍の営業利益を稼ぎ出しており、まさにIntelの「生命線」とも言える事業です。
この生命線を守り、再び成長軌道に乗せるためには、Arrow Lakeで失った市場シェアを、次世代のNova Lakeで是が非でも取り戻す必要があります。
そのためにIntelはAMDに対抗するために出せる製品はすべて出し切る方針と考えることもでき、今回のリークで登場したNova Lakeの52コアCPUに対してbLLCも備えたCPUを計画するに至ったと考えられますが、対するAMDもZen 6世代では大幅なアーキテクチャー刷新を予定しているため、特に2026年に登場するCPUに関しては今まで以上に性能やスペックが大きく引き上げられる可能性が大きく、目が離せない世代になると言えそうです。
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