Intel Nova Lake リーク情報まとめ|性能・アーキテクチャ・発売日について
Intelは2026年に現行Arrow Lakeの後継モデルにあたるNova Lake CPUの開発を進めており、コンシューマ向けでAMDに押され気味のシェアの挽回を狙っていますが、ここではこのNova Lakeについて公式発表までの間に現時点で明らかにされているリークや噂などの情報を一挙にまとめて紹介していきます。
最終更新日:2025年8月24日
現時点で判明しているNova Lakeのリーク情報まとめ
仕様 | デスクトップ向け | ノートPC向け |
---|---|---|
登場時期 | 2026年10月~12月 | 2027年1月~3月 |
製造プロセス | Intel 18A | Intel 18A |
P-Core | Griffin Cove | Griffin Cove |
E-Core | Arctic Wolf | AArctic Wolf |
コア数 | 8P+16E+4LPE = 28コア 16P+32E+4LPE = 52コア | 不明 |
プラットフォーム | LGA1954 | ー |
注目機能 | bLLC(巨大キャッシュ) | |
内蔵GPU | Arc Celestial (Xe3) | Arc Celestial (Xe3) |
Nova Lakeの最新リーク情報一覧
Nova Lakeアーキテクチャ|Arrow Lakeからの進化点
Nova Lakeは現行のArrow Lakeと同じくハイブリッドやタイルアーキテクチャーを共有するなど設計思想を共有していますが、2021年に発売されたAlder Lake以来変えられていなかったP-Coreの最大コア数の増加に加え、大容量キャッシュを備えるモデルの発売など競合のAMDに対抗した変更が多く盛り込まれると言われています。
アーキテクチャーは大幅刷新。コア数は最大52に増加しE-Coreの役割も拡大?
Nova LakeはP-Core側にはGriffin Cove、E-Core側にはArctic Wolfと呼ばれるCPUコアがそれぞれ搭載されます。この中で特にE-CoreのArctic Wolfについては従来までのE-Coreに付けられていた〇〇mont系からコードネームが大きく変えられています。そのため、従来までP-Coreを動かすほどではない処理でE-Coreを動かして省電力化を図ると言った役割が大きく変わる可能性があり、P-CoreをサポートするまたはE-Core単独でも比較的高いパフォーマンスを発揮するアーキテクチャーになる可能性があります。
実際にAVX 10.2と呼ばれるAVX-512の機能を含んだ新しい命令セットにArctic Wolfは対応すると見られているため、よりP-Coreに近い機能を持ち合わせると見られています。
また、製造プロセスはTSMC 2nmを活用する微細化によりコア数も大きく増える見込みで、デスクトップ向け最上位モデルでは8P+16EのComputeタイルを2つ搭載することで16+32E (+SoCタイルに4LPE)で合計52コアと言うモンスタースペックの製品が登場すると言われています。Intelのデスクトップ向け製品ではE-Core数が2022年に発売されたRaptor Lakeで変わっていますが、P-Coreのコア数まで手が付けられるのは2021年発売のAlder Lake以来となるため、大幅な性能向上が期待されています。
Intelのコンシューマー向け製品初の大容量キャッシュモデルが投入へ
Intelの競合にあたるAMDでは特にゲーミング性能向上効果が高い3D V-Cacheと呼ばれるL3キャッシュを大容量化した製品を投入している状況で、2025年時点で発売されているRyzen 7 9800X3Dは高いパフォーマンスを背景に非常に高い人気を誇っています。一方のIntelはこのような大容量キャッシュ搭載製品を投入できていませんが、Nova Lakeでは新たにbLLC (big Last Level Cache)と呼ばれる大容量キャッシュを投入予定です。
このbLLCは8P+16EのCompute Tileに144MBのL3キャッシュを含む設計になっていると言われており、キャッシュ跨ぎなどの懸念が無いCompute Tileを1つしか持たない製品はゲーミング向けに投入される予定になっています。また、この製品に加えて、8P+16Eを2つ搭載する最上位モデルでは288MBのL3キャッシュを備えるなどコンシューマー向けCPUでは見た事が無いような大容量キャッシュを備えた製品をIntelは発売することを計画していると言われています。
製造はTSMC 2nmがメイン。Intel 18Aは極めて限られた製品にのみ採用
Intel製CPUは自社ファウンドリーを持つことから同社製ファウンドリーでNova Lakeが製造される可能性もありました。しかし、歩留まりの問題なのかほとんどの製品はTSMC 2nmの第二世代版にあたるN2Pプロセスで製造される見込みで、Intel 18Aが採用されるのは4P+0E構成のエントリー向け製品のみに留まると言われています。
Nova Lakeの性能|ラインアップとスペック
登場予定のラインアップとスペック
Nova Lakeはデスクトップ向けからノートPCまですべてのラインアップをカバーする計画になっています。
フォームファクター | コードネーム | コア数 | 登場時期 |
---|---|---|---|
デスクトップ向け | Nova Lake-S | 最大52コア (16P+32E+4LPE) | 2026年秋 |
ノートPC向け | Nova Lake-H | 最大28コア (8P+16E+4LPE) | 2027年1月以降 |
ノートPC向け 低消費電力 | Nova Lake-U | 最大28コア (8P+16E+4LPE) | 2027年1月以降 |
ノートPC向け 内蔵GPU強化型 | Nova Lake-AX | 最大28コア (8P+16E+4LPE) | 2027年後半? |
デスクトップ向け:Nova Lake-S
デスクトップ向け製品にはハイエンドからエントリーまでフルラインアップで投入されることが予定されています。
Intel Nova Lake のスペックや構成が判明。52コアモデルは性能が最大80%向上?!
最上位モデル (Core Ultra 9/Ultra 7)
最上位モデルはbLLCを内蔵した8P+16EのCompute Tileを2つとSoCタイルに4LPEを搭載した最大52コア構成となり、現行の24コアに対して2倍以上にコア数が増えることになります。また、L3キャッシュは144MBx2となるため288MBとAMDのRyzen 9 9950X3Dをも上回るキャッシュ容量を持つ製品になると見られています。
ハイエンドモデル (Core Ultra 7)
ハイエンド向けではAMDのRyzen 7 9800X3Dなどゲーミング向けの3D V-Cacheに対抗する製品がラインアップ予定で、これにはbLLCを内蔵した8P+16E+4LPE構成となり、28コア構成になります。また、L3キャッシュ容量は144MBとなり、これはRyzen 7 9800X3Dの96MBを超え、Zen 6で噂されるRyzen 7系の3D V-Cache版と同じ容量になると見られています。
エントリーモデル (Core Ultra 5 / Ultra 3)
Core Ultra 5以下のエントリー向け製品にはbLLCを搭載しない8P+16E+4LPEの他に、4P+8E+4LPE、4P+0E+4LPEなどが投入される見込みです。これらの製品はコストパフォーマンスを重視したゲーミングPCやオフィス用途を想定した製品になっています。
デスクトップ向けNova Lakeの性能
デスクトップ向けのNova Lake-Sの性能はbLLCを搭載しない8P+16E構成でArrow Lake-Sの同一コア構成のCPUと比較するとシングルコアは16%、マルチコアは12%ほど向上するようです。
また、大容量キャッシュを搭載するbLLC版ではシングルコアは20%、マルチコアは23%向上するなど大幅な性能向上が見込まれているようです。
52コアを搭載する製品に関しては24コアのArrow Lakeと比べるとマルチコア性能は80%向上すると言われており、特に動画エンコードやレンダリングなどにおいては非常に高い競争力を発揮するようです。
なお、Arrow Lakeで問題となっていたゲーミング性能はbLLC非搭載版では10~15%ほど、bLLC搭載版では30~45%ほどの性能向上が期待されているため、Zen 6世代の3D V-Cache搭載製品にも対抗することが可能と考えられています。
ノートPC向け:Nova Lake
ノートPC向けNova Lakeには高性能ノートPC向けのH/HXの他に、薄型ノートPC向けに消費電力を抑えたP/U/UL、グラフィックス性能を大幅向上させたAXなどがラインアップされる予定になっています。
Intel Nova Lake のノートPC向けのラインアップが判明。最大28コア搭載でZen 6に対抗
高性能ノートPC向け:Nova Lake-H
主にゲーミングノートPCなどに搭載されるのがNova Lake-Hになります。この製品はTDPが28W~45W程度で動作する製品になり、コア構成は8P+16E+4LPEが最上位構成になるようです。
薄型ノートPC向け:Nova Lake-U
薄型ノートPC向けにはNova Lake-Uが投入予定で、TDPは15W程度に抑えられています。コア構成は現行Arrow Lake-Uや2025年に投入されるPanther Lakeは最大16コア構成になっていますが、Nova LakeではNova Lake-Hと同じく最大28コアに増える可能性があり、薄型ノートPCでも大幅な性能向上などが期待されています。
内蔵GPU性能重視のノートPC向け:Nova Lake-AX
AMDは内蔵GPU性能を大幅強化したStrix HaloなどHalo系APUを投入していますが、Intelも対抗する製品を投入予定で、これがNova Lake-AXと呼ばれる製品になっています。
Nova Lake-AXは8P+16E+4LPEとコア構成は他のノートPC向けNova Lakeと同じですが、内蔵GPUにArc CelestialベースのXe3Pアーキテクチャを採用し、Xe3Pコアを24コア備え、バス幅は256-bitそして最大10667 MT/sで動作するLPDDR5xをオンボードで備えると言われています。
Intel Nova Lake-AX のスペックリーク。Xe3コアを24基搭載するが発売は不透明
同製品については2027年後半ごろに発売されると言われているものの、仕様的にコストが非常に高くなることが見込まれる一方で高性能な内蔵GPUを備えたノートPCに対する需要はStrix Haloのラインアップを見る限り、あまり高くないため、発売するかは不透明とも言われています。
Nova Lakeの発売時期と対応ソケット
Intelのロードマップから見る登場時期
IntelはNova Lakeについて2026年に投入予定であることを決算発表などでも明らかにしていますが、例年デスクトップ向け新製品は秋、ノートPC向けは年初に発売するスケジュールであるため、デスクトップ向けは2026年秋ごろにハイエンド製品を中心に発売し、2027年はじめにデスクトップ向けのエントリーモデルに加え、ノートPC向けも発売すると見られています。
対応ソケットはLGA 1954へ刷新。最低でも4世代先までサポート?
デスクトップ向けのNova Lake-Sでは対応ソケットはArrow Lakeと同時に登場したLGA 1851からLGA 1954へ変更される見込みで、現行マザーボードとの互換性はなくなります。
IntelのCPUソケットはAMDに対してサポートの短さが不評となっていましたが、LGA 1954では長年の方針を改め、Nova Lakeの他に、2027年に登場予定のRazer Lake、Titan Lake、Hammer Lakeなど最低でも4世代のCPUをサポートするなどAMDのCPUソケット並に互換性を維持することを目指して開発されているようです。
メモリーはDDR5を継続
Nova Lakeが登場する2026年には次世代メモリでもあるDDR6も市販化されると見られていますが、Nova LakeではノートPC向けにLPDDR5が使われるという話が出ているため、デスクトップ向けもDDR5が使われると見られています。ただ、Nova Lakeではより高速なDDR5へのサポートが行われると見られているため最高性能を発揮するにはより高速なDDR5への買い替えなどが必要になるかもしれません。
Nova LakeはIntelの本気。発売まで待ってもいいかも
Nova Lakeはデスクトップ向けでは最大52コア化されるほか、bLLCなど新しい大容量キャッシュ構造など今まで以上にAMDを意識した製品になっているため、2~3年以内にCPUのアップグレードを考えている人はこのNova Lake登場まで待ってみてもいいかもしれません。
ただ、対するAMDもZen 6は順当に性能を引き上げて来るほかコア数の増加やI/Oダイの刷新、3D V-Cacheの容量増など変更規模がZen 2以来の大幅刷新と言われているため、Zen 6に対してどれだけの競争力を持つのかなど最終判断は発売後のレビューなどまで待って比較する必要があると言えそうです。
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