Intel Nova Lake でAVX-512相当の命令セットが復活?
かつてのIntel製CPUは特定のアプリケーションやワークロードにおいて絶大な性能向上をもたらす命令セットの『AVX-512』をサポートしており、競合のAMD Ryzenに対する1つのアドバンテージでもありました。しかし、このAVX-512は第12世代Alder Lakeからコンシューマー向けCPUに限りAVX-512対応は打ち切られました。
このAVX-512の対応打ち切りは表向きにはP-Core側は対応できるものの、E-Core側が対応できないためとIntelは明らかにしていますが、実際にはサーバー向けXeonとの差別化など製品戦略上の都合で打ち切られたと見られていましたが、Intelはこの動きを改め、2026年投入予定のNova Lakeから再びAVX-512に相当するAVX 10.2をコンシューマー向けCPU含めて対応させる可能性があることが明らかになりました。

Intelが公開した最新のソフトウェアパッチ「oneDNN v3.9-rc」のリリースノートによると将来的に登場するコンシューマー向けのCoreプロセッサにおいてIntel AVX 10.2の512-bit命令セットへの初期サポートが追加されたことが明らかにされています。
このAVX 10.2はIntelが2023年に発表した新しい命令セットで、AVX-512に搭載されているすべての機能を網羅した命令セットになっているため、このAVX 10.2への対応することは実質的にAVX-512にも対応できることになります。
なお、このリリースノートでは「将来的に登場するCoreシリーズ」としか書かれていませんが、Intelが開発中の将来CPUは2026年投入のNova Lakeにあたるため、恐らく同CPUからAVX 10.2への対応が行われると考えられます。
AMDへの対抗。52コアCPUと組み合わせてハイエンド市場を狙う?
Intelがコンシューマー向けCPUでAVX-512のサポートを打ち切った後に投入されたAMDのZen 4世代のRyzen 7000シリーズではAVX-512へのサポートが追加され、そのあとのZen 5世代でも継続的にAVX-512へのサポートは続けられています。一方で、Intelは上位のXeonとの差別化のためArrow LakeでもAVX-512サポートは行われておらず、さらにハイパースレッディング廃止などAMD製CPUに対する弱点を自ら作ってしまった側面がありました。
しかし、今回Nova Lakeなど将来的に登場するCPUでAVX-512含むAVX 10.2へのサポートが行われることでAMDに対して機能面で劣っていた点が改善されると言えます。また、Nova Lakeでは16P+32E+4LPEなど多コア構成のCPUも計画されており、これらのCPUでは動画エンコードや3D モデリングに最適ですが、AVX 10.2と組み合わせることでより高い性能も期待できます。そのため、この52コアモデルに加え、AVX 10.2への対応により特にハイエンド市場においてIntelはAMDに奪われたシェアの挽回を狙っていると考えられそうです。
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