Intelでは2023年後半にノートPC向けに第14世代CPUのMeteor Lakeを、そして2024年にはディスクリートGPUのBattlemage GPUの投入を計画していますが、この新世代CPUとGPUにはAdamantineと呼ばれる新しいキャッシュシステムが搭載されるというリークが登場しました。
IntelがMeteor LakeやBattlemage以降に採用する新キャッシュシステムを開発中。名称は『Adamantine』で現時点では最大512MB程度の容量に。
Intelでは2023年末から2024年にかけてノートPC向け限定にはなりますが、第14世代CPUのMeteor Lakeの投入を計画しています。このMeteor LakeにおいてはIntelの最新鋭製造プロセスであるIntel 4を用いて製造が行われるとともに、CPUやGPU機能などをチップレット化したタイル構造が採用されるなど第12世代CPUのAlder Lakeに近い刷新規模となっていますが、どうやらこの他に隠し玉として『Adamantine』と呼ばれる新しいキャッシュシステムが投入されるようで、これはIntelが開発中のGPU、Battlemageにも反映される見込みのようです。
L4キャッシュに関する情報は過去にLinuxカーネルパッチの中に記述が見つかっていましたが、Moore’s Law is Deadによると、このL4キャッシュは『Adamantine』と呼ばれる新キャッシュシステムでCPUやGPU両方へ反映とアクセスが可能なL4キャッシュとなっており、CPUやGPUに内蔵されているキャッシュとは異なるレイヤーに搭載され、より高速、大容量なキャッシュが提供可能になるとのことです。また、現在IntelはMeteor Lake向けに128MBから512MBのAdamantineキャッシュを搭載した試作機が用意されており、このAdamantineキャッシュを用いてMeteor Lakeに内蔵されている内蔵GPU性能は飛躍的に向上させることを計画しているようです。
特に、CPU内蔵GPUではGPUのコア数を増やしても、専用メモリーを持たない事から帯域幅がボトルネックとなるため、GPUも利用できるキャッシュを備える事で帯域幅のボトルネックを解消し、グラフィックス性能の向上を可能にしているようです。
なお、Intelでは将来的にこのAdamantineを数GB搭載する事も計画しているようです。
このAdamantineについては特許情報も登場しており、公開情報によるとL4キャッシュは通常のキャッシュよりアクセス時間の短縮が可能なほか、キャッシュ情報がCPUリセット時にも保持が可能となっており起動時間の短縮やセキュリティーの向上が可能となっているとの事です。具体例としては自動車のIVI(ナビやメーターなどのインフォテイメント)でリアビューカメラに2秒以内に切り替える事や、家電機器、産業用ロボットなど新しい分野でこのAdamantine搭載のSoCが利用可能になるとも示されています。
この特許情報自体はセキュリティー強化のために、起動までの手順のスリム化と高速化に関する特許であるため、CPUやGPUパフォーマンス向上を目的としたものにはなっていませんが、この中にはADMつまりAdamantineの記載が出てきており、内蔵GPUを指す『Gen 12.7 64 EU』やCPU Complex内に記載されているRWC(Redwood Cove)や(CMT)CrestmontなどMeteor Lake CPUの構成が記載されているため、過去に登場したLinuxパッチ情報やMoore’s Law is Deadの情報の通り、Meteor LakeにL4キャッシュであるAdamantineが搭載される可能性は非常に高いと言えそうです。
AMDではStrix PointやStrix Haloで内蔵GPU性能を飛躍的に高める事でIntelから高価格帯ノートPCの顧客を奪う計画だったと言えますが、Intelも収益の柱でもあるノートPC向けCPUを採用する顧客を取られないためにMeteor Lakeではこのような隠し玉を用意していると言えそうです。Adamantineについて128MBから512MBのL4キャッシュを持つようですので、CPUとしてはAMDの3D V-Cacheのようにゲーミング時のパフォーマンス向上に使える他、GPUでは上述の通り帯域幅の狭さを補う存在としても使えるため、システム全体の性能を底上げする事も可能になると考えられます。Meteor Lakeについては開発遅延など懸念が出ていますが、予定通り2023年末までに登場すればIntelの不調を打ち返すような大ヒットCPUとなるポテンシャルはあるのかもしれません。
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