IntelではSapphire Rapidsと呼ばれる次世代Xeonを2022年から本格的に市場投入を行います。これに合わせてAMDのThreadripperに対抗する目的で『Fishhawk』と呼ばれるSapphire RapidsをベースとしたHEDT CPUを投入するようで、その情報がリークされました。
IntelがThreadripperに対抗する製品を投入へ
IntelではCascade Lake-Xと呼ばれるHEDT向け製品を2019年末頃に発売をしていますが、この製品はRyzen Threadripper 2000シリーズに対抗する事を目的に投入が行われました。しかし、このCascade Lake-Xの発売から2021年の今に至るまでIntelではHEDT向け製品の更新が行われておらず、現在はAMDのRyzen ThreadripperがこのHEDT市場を圧倒しています。
そんな、Intelですがリーク情報を扱うYoutuberであるMoore’s Law is Dead氏によると、2022年からRyzen Threadripperに対抗する製品を投入するようで、比較的詳しいリーク情報を入手したとの事です。
HEDT向けであったCore-Xと言う名称は廃止。Xeon-Wに統合へ
IntelのHEDTについて、Moore’s Law is Deadでは複数の信頼できるソースから情報を入手したようです。
それらをまとめると・・・
- HEDT向け製品については2022年Q3からQ4に登場予定
- HEDT向けの他にワークステーション向けも登場し、PCIeレーン数などの多さはThreadripperを圧倒する
- Sapphire Rapids-Xの登場によってAMDが放置していたThreadripperについてテコ入れが必要になるぐらい競争力を有する
そしてこのSapphire Rapids-Xについては、Cascade Lake-X世代まではHEDT向け製品はCore-Xと言う名称でブランディングが行われていましたが、Sapphire Rapids-X世代からはXeon Workstationブランドで登場するとの事です。
Sapphire Rapids-Xは2つのラインアップで登場。最大56コアを搭載
Sapphire Rapids-Xについては2022年下半期に登場する予定との事でまだ情報の多くは変わる可能性があるとの事。ただ、現時点で判明している事としては、Sapphire Rapids-Xでは2つのラインアップが登場する予定で、一つは高価なハイエンドワークステーションでの採用を想定したモデル、そしてもう一つが一般コンシューマーも想定したメインストリーム向け製品の2つとなっています。
ハイエンドワークステーション向けSapphire Rapids-Xについて
現行のIce Lake-Xの後継モデルとして投入が行われる
- 最大56コアのGolden CoveアーキテクチャーCPUを搭載し、ブースト時は4.0GHzを超える動作を記録
- 最低12コアのモデルが存在する事が確認されているが、最低何コアになるかは不明
- 最上位モデルのTDPは350Wになる見込み
- 8チャンネル EEC DDR5をサポートし、16スロットすべて埋めると4400 MT/s、半分でも4800 MT/sを発揮
- PCI Express Gen5.0を112レーン搭載
- CPUは1つのマザーボードに付き、最大1つのみしか搭載できない
- サーバー向けのSapphire Rapids-SPに搭載されるアクセサレーターの一部は無効化される可能性あり
- Ice Lake-Xの後継モデルという事で価格帯については$3000から$5000台になる見込み
メインストリーム向けSapphire Rapids-Xについて
このモデルは2019年に発売されたCascade Lake-XやXeon-Wの後継として投入が予定されています。
- コア数に関しては最大で28から36コアに留まる見通し
- 一部モデルではブースト時の動作クロックは4.5GHzから5.0GHzに及ぶ
- TDPについては動作クロックにもよるが、270Wから400W。ただ、定格では最上位モデルでも300Wを下回る
- 8チャンネルの場合はEEC非搭載のDDR5となり、4チャンネルの場合はEEC搭載のDDR5になる。Intelはこの点はまだ決めかねているとの事
- PCI Express Gen5.0を56レーン搭載
- Alder Lakeの時と同じように、Sapphire Rapids-XについてもCascade Lake-Xとほぼ同じ価格帯での投入が予定されている。そのため、価格としては$1000から$3000になると見られている
HEDTを求める人はまだまだ我慢が必要
HEDT向け製品として最も最近登場したのは2019年に登場したAMD Ryzen Threadripper 3000シリーズとIntel Cascade Lake-Xシリーズとなっており、これ以降は一部モデルの追加などはあったものの、新アーキテクチャを採用した新モデルの登場は2年程度ありません。そして、残念ながら2022年になってもSapphire Rapids-Xは2022年末、Ryzen Threadripper 5000シリーズについては法人向けを対象としたPROモデルのみの登場となるためHEDTを組む事を検討している方は1年以上待つか、今ある製品で組むしかないようです。
なお、Moore’s Law is Deadによると、AMDはThreadripperの登場にはあまり積極的では無く、Intelから動きが無い限り何も登場させないのではないかと見ています。この理由としては、AMDではThreadripperと同じCPUを持つサーバー向けEPYC Milanで既に多くの利益を出せており、同時にThreadripperは現時点では対抗できる製品がIntelには無いためEPYC Milanの生産量を減らしてまで、またコストをかけてまで積極的に投入するべきモデルでは無いと判断されているのではないかと推察しています。ただ、リークの通りSapphire Rapids-Xが登場となれば、AMDのお尻に火が付くと見られており似たようなタイミングでThreadripper 5000シリーズや3D V-Cacheを搭載したThreadripperなどが登場するかもしれません。
どちらにせよ、HEDTを心待ちにしている人にとってはもう少し我慢が必要になりそうです。
Alder Lake世代のPentiumとCeleronが登場へ。値段は大幅値上げか?
Sapphire Rapids-Xについてはシングルコア性能が非常に高いGolden Coveアーキテクチャーが採用されるとの事ですので、もし56コアのSapphire Rapids-Xが出現すれば、例えRyzen Threadripper 5000シリーズが投入されても、抜かされる事は無いのでは無いかと考えられます。ただ、Moore’s Law is Deadが指摘している通り、AMDではEPYCの売上が伸びているため、HEDT向け製品は後回しにされる傾向にあり、Sapphire Rapids-Xが登場した後にどのような動きをするのか要注目です。