IntelがCore i5-12400をCore 5 120にリネームして再投入
Intelは2023年以降、CPUのブランド名を一新し、上位モデルを「Core Ultra」、主流モデルを「Core」シリーズとして展開しています。この新ブランド名はノートPC向けから先行して導入され、デスクトップ向けでは2024年に登場したArrow Lake世代の製品が「Core Ultra 200」シリーズとして発売されました。
しかし、ここに来てIntelが、3年以上前に発売されたAlder Lake世代のCPU「Core i5-12400」を、現行ブランド名にリネームした「Core 5 120」として再投入したことが明らかになりました。
Core 5 120とCore 5 120Fの中身はCore i5-12400系
Intelの公式ホームページには、「Core 5 120」と、その内蔵グラフィックス無効版である「Core 5 120F」の2モデルが新たに追加掲載されています。製品ステータスは「Launched」となっており、2025年の第3四半期にすでに出荷が開始されている模様です。
これらのCPUの仕様は、6個のP-Core(高性能コア)と0個のE-Core(高効率コア)で構成される6コア/12スレッドのCPUで、L2キャッシュは7.5MB、L3キャッシュは18MBを備えています。
CPU | アーキテクチャ | コア/スレッド (P+E) | 最大クロック | L2キャッシュ | L3キャッシュ | PBP/MTP (W) |
---|---|---|---|---|---|---|
Core 5 120 | Alder Lake? | 6 / 12 (6+0) | 4.5 GHz | 7.5MB | 18 MB | 65 / 110 W |
Core i5-12400 | Alder Lake | 6 / 12 (6+0) | 4.4 GHz | 7.5MB | 18 MB | 65 / 117 W |
スペックを比較すると、Core 5 120は2022年1月に発売されたベストセラーCPU「Core i5-12400」と酷似していることがわかります。最大ブーストクロックが0.1GHz向上し、最大消費電力(MTP)がわずかに引き下げられている点を除けば仕様は同一です。このことから、Core 5 120はCore i5-12400をベースにしたリネーム製品であり、実際の性能もほぼ同等であると考えられます。
Intelの公式ページではCore 5 120の製品コードが「Raptor Lake」として掲載されています。しかし、その中核をなすP-CoreはAlder Lake世代の「Golden Cove」であるため、本来はAlder Lakeと表記するのが正確です。これは、同様にGolden Coveを使いながらもRaptor Lake世代として扱われているCore i5-13400やCore i5-14400と同じ区分方法を踏襲しているものと見られます。
なお、現時点でCore 5 120の一般向け市場での販売は確認されておらず、主にPCメーカー向けのOEM供給に限られている可能性があります。しかし、P-Coreのみを搭載した「Bartlett Lake-S」といった新シリーズがコンシューマー向けに登場するとの噂もあり、このCore 5 120も近日中に一般販売される可能性は否定できません。
なぜこのタイミングでAlder Lakeを投入?
Intelは2025年秋以降に次世代CPUの投入も計画している中で、なぜ3年も前のCPUのリネーム品をこのタイミングで市場に投入するのでしょうか。
その背景には、高いコストパフォーマンスと製造コストの安さが挙げられます。
Core i5-1x400シリーズは、手頃な価格で十分な性能を発揮することから、コストを重視するユーザーから長年高い支持を得てきました。今回ベースとなったCore i5-12400も、旧世代とはいえ成熟した「Intel 7」プロセスで製造されるため、製造コストを安く抑えられます。
一方で、現行のArrow Lake世代にも後継モデルとして「Core Ultra 5 225」などが存在しますが、これらはTSMC 3nmプロセスなどが活用されているため製造コストが高く、Intelにとって利益率は低いと考えられます。
そのため、Intelとしては、販売価格を2万円台に設定可能で利益率も確保しやすいCore i5-12400ベースのCore 5 120を投入することで、エントリー向け市場での存在感を改めてアピールし、シェア拡大と収益性向上を両立させる狙いがあると推測されます。
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