Intelでは第12世代CPUであるAlder LakeからAVX-512をコンシューマ向けCPUからは完全に無効化する対応を行いましたが、AMDがコンシューマ向けCPUのRyzenにてAVX-512に対応したことから、Intelでは将来的に登場するコンシューマ向けCPUから再びAVX-512に対応する可能性があるようです。
AVX-512を無効化したIntelが再びコンシューマ向けで有効化する可能性。
AVX-512はIntelが提唱した命令セットで科学的シミュレーションや財務分析、人工知能やディープラーニングなどでパフォーマンスの向上が可能となるもので、2017年に発売されたSkylake-Xでコンシューマ向けCPUとしてははじめて対応しました。このAVX-512はその後に登場するRocket Lakeなどでも対応が行われていましたが、Intelの第12世代CPUであるAlder LakeからはP-CoreとE-Coreの内、E-CoreがAVX-512に対応出来ないことからAVX-512自体が完全に無効化されました。ただ、P-Core側はAVX-512には対応しているため、E-Coreを無効化すればAVX-512の利用は可能だったのですが、Intelとしてはエンタープライズ用途では価格が高いXeonの購入を促すために、コンシューマ向けでAVX-512は一切使えないように後に登場するステッピング変更や第13世代 CPUのRaptor Lakeで対応が行われました。
しかし、Intelではこれまで頑なにコンシューマ向けでAVX-512を無効化していましたが、次世代CPUとなるMeteor Lakeやその次に登場予定のArrow LakeにおいてAVX-512が再び復活する可能性があるようです。
AVX-512 is coming back to client. It’s just taking a while :/
— Longhorn (@never_released) April 28, 2023
Amazon AWSのクラウドエンジニアである@never_released氏によると、IntelではAVX-512をクライアント(コンシューマ向けCPU)に戻す計画があるとのことです。ただ、具体的な時期については明言はされていません。
Intelでは2023年末から発売するMeteor LakeでE-Core非対応の大きな原因と表向けに言われていたE-Coreのアーキテクチャーが今までのGracemontからCrestmontアーキテクチャーに完全刷新される予定となっています。また、このCrestmontはサーバー・データセンター向けのメニーコアCPU、Sierra Forestでも採用されることが予定されているため、AVX-512への対応は行われる可能性が非常に高いといえます。
そのため、このCrestmontアーキテクチャーをE-Coreに採用できるタイミングでIntelではAVX-512をコンシューマ向けCPUで復活させる可能性があるようです。
4. AVX256 plus in the consumer-grade.
— Raichu (@OneRaichu) April 28, 2023
ただ、IntelがAVX-512を復活させることはハードウェア上では可能でも商品戦略上は行わないという可能性もあるようです。リーク情報などを扱うOneRaichu氏によると、IntelがAVX-256 Plusと呼ばれるAVX-512に近いものを用意する可能性があるようです。
AVX-512有効化を行う背景にはAMDの動向も
Intelでは第12世代のAlder Lake登場以来、コンシューマ向けモデルでAVX-512は非対応を貫いており、マザーボードメーカー各社にはAVX-512を無効化するように呼びかけるなど異常なこだわりも見せていました。しかし、Intelがこの態度を軟化させる背景にはAMDの存在があるようです。AMDでは2022年から発売したZen 4アーキテクチャーからはAVX-512に対応しています。また、AVX-512の利用用途についてもAlder Lakeが登場した際にはコンシューマ向けではエミュレーターや動画編集ソフトで若干高速化が行われる程度でしたが、今後はAI用途でも使われる可能性があることからIntelは方針を変更した可能性がありそうです。
ただ、OneRaichu氏が言うようにサーバー・データセンター向けで対応しているAVX-512とは別の形で何かしらの制限を課したバージョンをコンシューマ向けでは登場させることで差別化を図る可能性もあるようです。特にIntelがAVX-512の制限を課した背景には、本来であれば高い金額を払ってくれるはずのエンタープライズ用途でコンシューマ向けCPUを活用されにくくするためでしたので、Intelの商品戦略上、変な制約がかけられたAVX-512となる可能性はありそうです。
コメント
コメント一覧 (4件)
ぶっちゃけいらんやろ
相変わらず守銭奴である事を隠そうともしない経営方針ですね
ブレずに「最大限搾り取る」事を推し進めた結果が今に繋がってる事に、そろそろ気付こうよ
変な制限をかけるくらいなら、要らなくね
なんだかわからんがゲームやネットしたいだけの一般人には不要な機能だってのはわかった