Intelでは2022年初夏までに初めてのディスクリートGPUであるArcシリーズの第1世代製品『Alchemist』をリリース予定ですが、この中でデスクトップ向け最上位モデルとなるACM-G10 GPUを搭載したAlchemist A770のベンチマークが出現しました。
Intel初のGPU、Arc Alchemist
IntelではNVIDIAやAMDに対抗するために、Arc Alchemistと呼ばれるディスクリートグラフィックスカードの開発を進めている事を発表しており、当初は発売は2022年4月頃と予定されていましたが、4月時点では6月から7月頃登場が有力視されています。
このArc Alchemistについてはエントリーモデル向けのACM-G11 GPUとミドルレンジからハイエンド向けのACM-G10の2種類のGPUが存在しており、ACM-G11には最大で128基のExecution Unit(EU)、ACM-G10では最大512基のEUが搭載されています。今回、この中でハイエンドモデルと見られるACM-G10 GPUを搭載したArc Alchemist A770の製品名と共にGeekbenchベンチマークが出現しました。
ベンチマーク結果はGeForce RTX 2070相当。動作クロックは2.4 GHz
今回出現したのはArc Alchemistの中で最上位モデルと見られる512基のEUを搭載したモデルのベンチマークと見られており、Intelの第9世代CPUであるCoffee Lakeを搭載したテスト機に搭載されているようです。CPUにはCore i5-9600K、OSにはWindows 11が搭載されています。
ベンチマークのスコアはOpenCLで85585ptを記録しています。この記録に最も近いグラフィックスカードはNVIDIA GeForce RTX 2070の85818ptとなっています。IntelがArc Alchemistでは最上位モデルの512基のEUを搭載するモデルではNVIDIA GeForce RTX 3070程度の性能を目指していますがRTX 3070のOpenCLスコアは132922ptと言うことで65%程度の性能しか有していないようです。
なお、Arc Alchemistの仕様としてはVRAMを16GB搭載すると見られており、Geekbench上でも12.7GBと近い数字になっています。仕様より数GB減っているのは恐らくVRAMがデバッグやテストのため他の用途に割り振られている可能性や単純にドライバーの問題で正常に動いていないだけのようです。動作クロックについてもGeekbench上では記録されており、値は2.4 GHzになっています。Intelではラップトップ向けのArc Alchemistを発表した際にデスクトップ向けモデルのティザーを出しましたがその際に出現した動作クロックは2.250 GHzと表示されていたため、実機においてはさらに高い動作クロックでの動作が可能なようです。
最上位モデルはA770で16GBと8GBあり。A780は登場しない可能性が高い
Arc AlchemistについてはACM-G10(SoC1)の最上位モデルがGeForce RTX 3070やRadeon RX 6700 XTを競合に見据えたモデルになると見られていますが、商品名については最上位モデルは『A780』になるという話が出ていました。ただ最新の情報によるとArc Alchemistについては最上位モデルは恐らく『A770』になる見込みのようです。ただ、動作クロックなどを引き上げた特別版をA780として名付ける可能性は残されているようです。
また、Arc Alchemist A770は今回Geekbenchに出現したモデルはVRAM 16GBを搭載したモデルでしたが、廉価版として8GBのVRAMを搭載したモデルも用意される可能性があるようです。
Arc Alchemistについては過去に何度かGeekbenchが出現していますが、スコアはNVIDIAやAMD製のグラフィックスカードに比べると低い状況になっており、発売を目前にしたこの時期でもスコアが低いことから恐らくOpenCLについてはあまり高いパフォーマンスが期待できない設計になっているのかもしれません。
ただ、OpenCLの性能がゲーミング時のパフォーマンスに直結する訳では無いため、実際に使った際のパフォーマンスがどれぐらいあるのかは様々なゲームでベンチマークなどを行わないと分からない状態と言えそうです。
Arc Alchemistの発売まであと1~2ヵ月ぐらいと見られているため恐らくグラフィックスカード本体は各社AIBなどへサンプル品が渡っていると見られています。そのため、近い内にゲーミングでの性能など何か参考になりそうなリークなどが出現するものと見られています。
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