MENU
カテゴリー

Intel 18Aプロセスの歩留まりはサムスン超え。しかし金融機関はCPU事業に厳しい視線

リンクの一部には広告が含まれています。
目次

Intel 18Aプロセスの歩留まりはサムスン超え。しかし金融機関はCPU事業に厳しい視線

Intelは、TSMCの2nmに迫る先進プロセス「Intel 18A」を開発しています。このプロセスは同社の次世代製品を支える重要な技術ですが、金融機関の調査によると、その開発は順調に進んでおり、すでにサムスンの2nmプロセス「SF2」を超える歩留まりを実現しているようです。しかしその一方で、肝心のCPU事業には懸念が持たれています。

金融機関のKeyBancによると、Intel 18Aプロセスの歩留まりは2025年7月時点で55%に到達しており、これは前四半期から5%の大幅な改善となります。この55%という数値は、競合の同クラスの製造プロセスに対してかなり優位な状況にあり、サムスンの2nmプロセスを上回る水準であるほか、業界トップであるTSMCの2nmプロセスとも同等レベルにあるとのことです。KeyBancはさらに、Intel 18Aの歩留まりが2025年第4四半期までに70%に達するとの見方を示しており、商業生産に耐えうる水準への到達に楽観的な予測をしています。

しかし、ウェルズ・ファーゴなどの金融機関は、たとえこの製造プロセスが順調に立ち上がったとしても、Intelの収益を支えるCPU製品の開発状況が芳しくないとして、同社に厳しい見方をしています。ウェルズ・ファーゴは、Intel 18Aの歩留まり改善という好材料がありながらも、収益の大部分を稼ぎ出すCPU製品の開発遅れを危惧しているのです。

事実、Intelが2024年から2025年の主力製品として投入した「Arrow Lake」は市場で苦戦しており、決算では2世代前の「Raptor Lake」の販売が好調であることから、Arrow Lakeの販売不振が浮き彫りになっています。また、収益性の高いサーバー向けとして2024年秋に投入された「Granite Rapids」も、搭載されている「Redwood Cove」コアが競合のAMD Zen 5アーキテクチャに対して性能面で劣ることから、発売から半年足らずで価格を30%値下げする事態に追い込まれています。

そのため、2025年から2026年にかけて投入される次期製品に期待が集まります。しかしウェルズ・ファーゴによると、コンシューマー向けの「Panther Lake」は2025年末に発売される可能性はあるものの、本格的な出荷は2026年上半期にずれ込む見込みです。このため、短期的な利益への貢献は限定的で、Intel全体の利益率は当面、低空飛行が続くと同行は予想しています。

特に、収益性の面でサーバー向けCPU新製品の「Diamond Rapids」は期待値は高いものの、具体的な販売時期は不透明でいつIntelの利益に貢献できるのか、また競合のAMDが2026年に投入するZen 6より先行して発売できるのかが焦点となるようです。

特に、AMDが2026年に発売すると言われているZen 6搭載EPYCは予定通り開発が進んでいると見られており、I/Oダイの大幅刷新により性能の大幅向上が予想されています。一方でDiamond Rapidsに関してはCPUコアは2024年終わりに発売されたLunar LakeやArrow Lakeに搭載されているLion Coveが使われています。そのため、実質的に2年前のアーキテクチャーで戦うことになるため、早く投入しなければ競争力が低いCPUに成り下がる懸念があります。

Intelは「IDM 2.0」戦略のもと、Intel 18Aを外部に提供するファウンドリー事業を展開し、CPU販売とは別の収益源を確保しようとしています。しかし、この事業はまだ道半ばで確立しておらず、Intel 18A自体の外部提供についても再検討が示唆されるなど、不透明感が漂います。そのため、Intelは収益の柱でもあるCPUをタイムリーに市場投入することが求められています。しかし、現状は当初の予定に対して新製品投入が遅延したり、見直されたりすることが多く、特に将来のロードマップを示すことが重要なエンタープライズ向けCPUの分野では、ロードマップそのものを描けない、あるいは描けてもスケジュールから遅れることが常態化しています。

こうした状況を踏まえると、たとえIntel 18Aの歩留まりが順調に向上したとしても、それだけでは安心できないとする金融機関の警鐘は的を射ていると言えますが、Intelがこれらの懸念を払拭し、再び市場の信頼を勝ち取れるのか、今後の動向が注目されます。

ソース

Ray Wang | X

https://twitter.com/rwang07/status/1945455886324887927

Is it still too early to underwrite a full turnaround? | Street Insider

https://www.streetinsider.com/dr/news.php?id=25058044

この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、加えて経済やマーケティングなどの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
プロフィールはこちら

コメント

コメントする

目次