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Intel 18Aプロセスに深刻な問題か。次世代CPU「Panther Lake」の歩留まりが10%以下と報道

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Intel 18Aの歩留まりが低調。Panther Lakeの歩留まりは10%?!

Intelは現在、自社開発の最先端プロセス「Intel 18A」の量産立ち上げに向けて開発を進めています。このIntel 18Aは、同社が成長の柱と位置付けるファウンドリー(半導体受託製造)事業の成否を占うだけでなく、2025年末に投入予定の次世代CPU「Panther Lake」の製造にも使われる極めて重要な製造プロセスです。

しかし、このIntelの未来を担うはずのプロセスが、品質面、特に歩留まりに関して深刻な問題を抱えている可能性が浮上しました。

ロイター通信が複数の情報筋から得た情報として報じたところによると、Intel 18Aが深刻な低歩留まり状態から改善できていないとのことです。その内容は非常に深刻で、Intel 18Aで製造されたPanther Lakeチップの歩留まり(ウェハーから取れる良品チップの割合)は、2024年末時点で約5%、2025年夏時点でも約10%程度にしか達していないとされています。

小さなダイサイズでも低い歩留まり、問題の深刻さを示唆

Panther Lake (114mm2)が5%の歩留まりだった場合のシミュレーション (赤=不良ダイ、緑=良品ダイ)

一般的に半導体製品はダイサイズが大きければ大きいほど歩留まりは悪化するのですが、Panther Lakeは過去のリークでCPUチップのダイサイズが14.3mm x 8mm (114.4mm2)とかなり小さいことが明らかにされています。しかし、そのような小さなダイサイズで低い歩留まりしか出せないことが事実だとすると、製造に深刻な問題が発生していると言えます。

また、これが事実だとすると問題はPanther Lakeだけにはとどまりません。Intelは、Panther LakeのCPUコアを流用して、よりダイサイズが巨大になるサーバー向けCPU「Diamond Rapids」や「Clearwater Forest」などよりダイサイズが大きいサーバー向け製品も計画していますが、この歩留まりが事実であればこれらの製品をIntel 18Aで製造することは困難となり、莫大な開発費の回収もままならなくなるなど、Intelが描く未来の計画が根底から崩れ落ちることになります。

野心的過ぎた計画が仇になった可能性。幹部も懐疑的?

ロイターの報道に対し、IntelのCFOであるDavid Zinsner氏は「実際の歩留まりは報道されている数字よりも良い」と述べ、Panther Lakeも計画通りに発売するとコメントし、報道内容を否定しています。

ただ、Intel 18Aに関してはファウンドリー事業を見越して競合のTSMC 2nmに対して優位性を確保すべくRibbonFETと呼ばれる新しいトランジスタに加え、電力供給もPowerViaなど新技術を多く投入していることから開発は容易ではないことは確実です。

実際に、ここ最近のIntel 18Aに関するニュースはネガティブなものが多く、2025年7月末の決算発表ではIntel 18Aでファウンドリー事業を行うことを見送り、後継のIntel 14Aプロセスで実施することを検討していることが明らかにされるなどIntel幹部の間でもIntel 18Aの将来性について懐疑的な見方がされている可能性が高いと言えそうです。

Panther LakeはIntelの収益を支える製品

2024年8月に発表された決算の中でIntelは収益性についてArrow LakeやLunar Lakeなど外部ファウンドリー(TSMC)を使う製品は「コスト最適化」されていないなど収益性に問題があることを明らかにしていました。

Intel Meteor Lakeの歩留まりに問題。次世代CPUもTSMC任せで収益に大きな悪影響に

そして、この決算発表の場で「後継製品のPanther LakeはIntel 18Aで製造されるため、コスト構造が大幅に改善される予定」と明言し、投資家からの期待を集めていました。

しかし、今回の報道が事実であれば、たとえIntel 18Aで製造できたとしても、深刻な歩留まりの低さから十分な出荷量を確保できず、結果として売上も利益も期待できない可能性があります。かといって、バックアップとしてTSMCに製造を委託すれば、高い製造コストにより収益性は改善されず、まさに八方ふさがりの状況に陥ります。

ただ、Panther Lake発売まではあと半年しかない状況ではありますが、技術的な課題を解決し何とかPanther Lakeの量産化に必要な歩留まりまで引き上げることが求められますが、今後の動向には注目が集まりそうです。

この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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