業界団体が2028年にはHDD容量が60TBに達すると予測。今後も主流ストレージに?
コンシューマー向けPCなどでは一昔前まで主流だったHDDは、より高速かつ軽量なSSDに置き換えられてきており、需要が低迷しています。一方でエンタープライズ向けにおいては、高速かつ低消費電力なSSDがメインストリームになりつつありますが、依然として容量あたりの単価が高いため、SSDへの完全な置き換えは進んでいません。
また、HDDも技術刷新は止まっておらず、最近ではHAMRのようなレーザー熱を用いて大容量化を行う技術が本格的に導入されており、3.5インチサイズのHDDでは2025年には40TBに迫る容量のHDDも登場予定です。しかし、この容量増加は今後も続く見込みで、電気・情報工学分野の学術研究団体であるIEEEは2028年にはHDDの容量が60TBに達するとともに、出荷台数も増加する方向であることを明らかにしています。
IEEEが示す最新のHDD開発ロードマップによると、HDDの容量はHAMR技術により飛躍的に高まると予測しており、2022年までは最大22TBだった容量は2025年には最大40TB、2028年には60TBに達し、2037年には3.5インチHDD1台で100TBの容量を実現できる可能性があることを示しています。また、同時に市場規模も各種ファイルの大容量化や高度化に伴い、大容量HDDの需要は伸びると見込んでおり、2022年には1.6億台規模だった市場規模は2028年には2.08億台、2037年には3.59億台にまで伸びると予測しています。
なお、このIEEEの報告はあくまで予測であるため、HDDを開発するSeagateやWestern Digital、東芝といった各企業の開発力にかかっていますが、Seagateは2025年に40TB HDDを投入することを明らかにしているため、予測精度は低いとは言えなさそうです。
ただ、HDDの回転速度自体は今後も7200rpmを維持するとみられているため、容量が増えることによるシーケンシャル読み書き速度は向上するものの、シークタイムの増加によるIOPS性能の低下などは改善されない見込みであるため、高速アクセスが必要な用途はSSD、大容量データはHDDといった形で棲み分けが行われることになりそうです。
IEEE Roadmap Outlines Development of Mass Digital Storage Technology | IEEE Xplore
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