NVIDIAのGeForce GTX 1650は2019年4月に発売がされたNVIDIAのエントリー向けグラフィックスカード、GeForce GTX 1650は地味な存在ながらもSteamハードウェアサーベイでは最も人気のグラフィックスカードに輝いているモデルです。今回はこのGeForce GTX 1650の仕様、性能やコスパと適正価格を解説をしていきます。
NVIDIAのエントリーモデル、GeForce GTX 1650
NVIDIAのGeForce GTX 1650は2019年4月24日から販売が開始されたNVIDIAのエントリー向けグラフィックスカードです。
このグラフィックカードは市場で使われている大まかなPC構成を集計した調査結果、Steamハードウェアサーベイの2022年11月集計結果にて最も導入されているグラフィックカードに輝いており多くのユーザーが使う人気No.1のグラフィックスカードと言えます。
Steamで最も人気グラボはNVIDIA GeForce GTX 1650。性能がデフレ
仕様面ではCUDAコアは896基を搭載し、メモリーは4GBのGDDR6またはGDDR5を128-bitのバス幅で接続された構成になっています。
GPU自体はGDDR5を搭載するモデルにはTU116を搭載し、GDDR6を搭載するモデルにはTU117またはTU106が搭載されますが、有効化されているCUDAコア数には変わりはありません。
帯域幅がGDDR5では128GB/s、GDDR6では192GB/sと広げられておりよりGDDR6モデルではより高いパフォーマンスを発揮できる仕様になっています。
最近のエントリー向けグラフィックスカードではPCIe Gen 4対応という事でバス幅を8レーンや4レーンに絞る例がありますが、GTX 1650の地味に嬉しい仕様として、バスインターフェイスにはPCIe Gen 3 x16レーンを使用しているためPCIe Gen 3までに対応した古めのマザーボードでも性能を余すことなく利用する事が出来ます。
また、消費電力も75Wという事でPCIe6pinなど電源コネクターを別に接続する必要が無いため配線の取り回しがしやすいです。
GPU名 | GeForce GTX 1650 | GeForce GTX 1650 GDDR6 | GeForce GTX 1650 GDDR6(Rev2) | GeForce GTX 1650 Super | GeForce GTX 1660 | GeForce GTX 1660 Super | GeForce GTX 1660 Ti |
---|---|---|---|---|---|---|---|
搭載GPU | TU117 | TU117 | TU106 | TU116 | TU116 | TU116 | TU116 |
製造プロセス | TSMC 12nm | TSMC 12nm | TSMC 12nm | TSMC 12nm | TSMC 12nm | TSMC 12nm | TSMC 12nm |
ダイサイズ | 200mm2 | 200mm2 | 284mm2 | 284mm2 | 284mm2 | 284mm2 | 284mm2 |
CUDAコア | 896 | 896 | 896 | 1280 | 1408 | 1408 | 1536 |
TMUs / ROPs | 56/32 | 56/32 | 56/32 | 80/32 | 88/48 | 88/48 | 96/48 |
Tensor / RTコア | N/A | N/A | N/A | N/A | N/A | N/A | N/A |
ベースクロック | 1485 MHz | 1410 MHz | 1410 MHz | 1530 MHz | 1530 MHz | 1530 MHz | 1500 MHz |
ブーストクロック | 1665 MHz | 1590 MHz | 1590 MHz | 1725 MHz | 1785 MHz | 1785 MHz | 1770 MHz |
浮動小数点演算 | 3.0 TFLOPs | 3.0 TFLOPs | 3.0 TFLOPs | 4.4 TFLOPs | 5.0 TFLOPs | 5.0 TFLOPs | 5.5 TFLOPs |
VRAM容量・仕様 | Up To 4 GB GDDR5 | Up To 4 GB GDDR6 | Up To 4 GB GDDR6 | Up To 4 GB GDDR6 | Up To 6 GB GDDR5 | Up To 6 GB GDDR6 | Up To 6 GB GDDR6 |
VRAMバス幅 | 128-bit | 128-bit | 128-bit | 128-bit | 192-bit | 192-bit | 192-bit |
VRAM速度 | 8.00 Gbps | 12.00 Gbps | 12.00 Gbps | 12.00 Gbps | 8.00 Gbps | 14.00 Gbps | 12.00 Gbps |
帯域幅 | 128 GB/s | 192 GB/s | 192 GB/s | 192 GB/s | 192 GB/s | 336 GB/s | 288 GB/s |
TGP | 75W | 75W | 75W | 100W | 120W | 125W | 120W |
発売時最安値(定価) | ¥19,980 | ¥18,480 | ¥18,480 | ¥19,980 | ¥29,980 | ¥27,990 | ¥35,980 |
発売日 | 2019/4/1 | 2020/4/1 | 2020/7/1 | 2019/11/1 | 2019/3/1 | 2019/10/1 | 2019/2/1 |
ゲーミング性能は十分。1080p中画質程度なら多くのゲームで60fps程度
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2020年頃に発売がされたゲーム20タイトルを1080p最高画質および1440p最高画質で計測した結果はGTX 1650はエントリーモデルとあって、グラフの中では下位に位置していますが2022年に発売されたAMD Radeon RX 6400並みの性能は有しています。
フレームレートも1080pであれば平均30fps以上は出せていますので画質を落とすなど対応をすればほとんどのゲームはプレイが可能と言えそうです。
なお、1440pでは当然ながら30fpsを割る平均フレームレートを出しており、画質を落としてもVRAMがGDDR5やGDDR6でも速度が遅く、バス幅が128-bitと狭いため画質を最低限にしても60fpsでのプレイは厳しいと言えます。
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Call of Duty MWIIやBattlefield 2042、Apex Legends、Cyberpunk 2077、Escape from Tarkovなど人気のゲームを1080p解像度で最高画質、中画質のプリセットで計測した結果がこちら。
Cyberpunk 2077やFlight Simulator 2020を除けば画質設定を中画質プリセットに変更すれば概ね60fpsに近いフレームレートでのプレイが可能と言えます。ただ、CoD MWIIやBF2042など最新ゲームでは中画質でも激戦区などで戦う場合は30fpsを割り込む場合があります。
Valorant(グラフにはありませんがどの設定でも150fps越え)やApex Legendsなど比較的軽めのタイトルであれば中画質以下でプレイすれば安定して60fpsを維持できるため、比較的軽いゲームに特化するのであれば不自由は無いと言えます。
なお、ここで示されているベンチマーク結果はGTX 1650 GDDR5モデルでの結果です。GDDR6モデルでは5~10%程度パフォーマンスが上がる場合がありますが、元々が低めのフレームレートであるため大きな差は感じられないと言えます。
価格は発売当初は2万円切り。2023年現在は2.2万円から3万円に値上がり気味
定価(最安値):19,980円 (Palit GTX 1650 STORMX OC 4G GDDR5)
定価(最高値):25,700円 (ASUS DUAL GTX 1650 O4G GDDR5)
現在最安値 GDDR5:22,000円 (Palit GTX 1650 STORMX OC 4G GDDR5)
現在最安値 GDDR6:22,727円 (玄人志向 GTX 1650 E4GB GDDR6)
発売時点 | 2023年1月時点 | 変動幅 | |
---|---|---|---|
為替レート(USD/JPY) | 111 | 132 | 119% |
定価最安値からの変動 | 19,980 | 22,000 (GDDR5) | 110% |
GeForce GTX 1650については2019年4月1日に発売が開始され、当初は19,980円での販売が行われていましたが、マイニングバブルとグラフィックカード不足だった2021年頃には3万円台中頃まで価格が高騰しました。
しかし、マイニングバブルやグラフィックカード不足が解消された2022年中頃には18,000円台にまで下落するもその後は為替レートや輸送費、資材費高騰に伴って価格は高騰。
結果2023年1月時点ではGDDR5/GDDR6モデル共に最安値は2.2万円前後で販売される一方で、ASUSやZOTACなど他のAIB製は2.5~3.0万円台と発売当時に比べると概ね10%ほど値上がりしての販売となっています。
GTX 1650は発売から既に4年近く経過しているグラフィックスカードでもありますのでVEなどコストカットも相当進んでいると言えます。ただ、発売当時から為替レートは19%円安に振れている一方で、発売時からの価格変動は10%に抑えられているため適正価格で販売されていると考えられます。
コストパフォーマンスは中の下。同じ金額ならRadeon RX 6500 XTの方が優れる
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コストパフォーマンス面においては、GTX 1650はエントリーからミドルレンジ向けGPUの中では中の下レベルとなっています。
1フレーム辺りのコストを計算するとGTX 1650は576円となっており、同じ2万円台で購入が出来るRadeon RX 6500 XTは1fps辺り459円と25%高いコストパフォーマンスとなっています。また、GTX 1650より8000円高価なGTX 1660 Superは1fps辺り422円と36%優れたコストパフォーマンスを記録しているため、数千円ほど奮発して2.8万円で販売されているGTX 1660 Superを購入した方が得と言えます。
結論:ゲーミングPC入門には丁度良い性能。ただし将来性は無し。
人気のPCゲーム(ApexやValorantなど)は快適に動作する
NVIDIA製グラフィックカードの中で2万円台買える数少ないカード
ロープロファイルと補助電源不要
GeForce GTX 1650についてはSteamで人気No.1に輝いています。このグラフィックカードは価格が2万円と安く、カジュアルに人気のPCゲーム(ApexやValorantなど)をプレイするには必要十分な性能が確保できているため、多くのユーザーが買う理由は納得できます。
ただし、多くのPCゲームがプレイ出来る性能を2万円で得られるのは魅力的にも見えますが、コストパフォーマンス面ではよりコスパの高いRadeon RX 6500 XTや数千円多く払えばGeForce GTX 1660 Superなどより良い選択肢がある事は忘れない方が良いでしょう。
また、GTX 1650については発売が2019年4月と発売から間もなく4年が経過するグラフィックカードである事に加え、性能面でもグラフィックに力を注いだ最新のゲームは快適にプレイが出来ないため、2年ぐらいしたら買い替える羽目になる可能性がある事を買う際は心にとめておいてください。
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