GPUの販売価格は2021年から長らく定価の2倍付近で売られる事がデフォルトとなっていましたが、2022年1月から販売価格は下落方向に向かい始めています。そして2022年3月初旬に集計された記録によるとGPUの販売価格はまだ下落傾向にあり、販売価格の記録が開始された2021年1月以来、過去最低を記録したようです。ただしこれは欧州だけで日本だけで日本は蚊帳の外のようです。
1年かけてGPUの販売価格が過去最低を記録
GPUの販売価格は2021年では定価に対して最大3倍、平均では2倍程度の価格で取引される事が常態化している状態となっていましたが、2022年に入ってからGPU高騰のキッカケでもあったEthereum価格の下落すると同時にエネルギー価格の高騰などによってマイニングは下火となります。また、NVIDIAやAMD各社がエントリー向けモデルを投入するなど市場には多くのGPUが供給される状態にもなっています。
そんな中、3D Centerが2021年1月17日以来まとめている欧州でのGPU販売価格、在庫量調査の最新版でもある3月6日付のデータが公開され、記録が開始されて以来GPU販売価格が過去最低を記録したようです。
Graphics card price trend 2021-2022 in 🇩🇪🇦🇹, updated March 6, 2022
👉 AMD now (at average) +35% over MSRP (-10PP), nVidia +41% (–16PP).
👉 –6PP come from weaker $/€ rate.
👉 If rate falls more, only Americans get further reductions, Europeans not.https://t.co/xuDV2CZrTB pic.twitter.com/4bwoEaSTK4
— 3DCenter.org (@3DCenter_org) March 7, 2022
NVIDIAは定価の1.41倍、AMDは1.35倍にまで下落。在庫量も減らず
3DCenterでは2021年1月から月に2回ほど、ドイツやオーストリアのパソコンパーツ販売店で売られているGPUの販売価格をまとめていますが、2021年は最高で3倍程度、平均販売価格は定価の2倍程で推移していましたが2022年から下落に転じます。また、2022年は記録される度にGPUの販売価格は下がっていき、2022年4回目の調査に当たる3月6日付の調査結果ではGPU販売価格は記録され始めた2021年1月17日以来、過去最低の販売価格を記録しました。
記録としては、NVIDIA製GPUでは定価に対して1.41倍ほど、AMDでは1.35倍程度にまで落ち着いており下落のペースもほとんど衰えを見せていない状態になっています。
また、2022年に入ってから改善傾向に向かっている在庫状況ですが、こちらは先月2月13日付の調査よりも更に在庫量が積みあがっている状態になっており、GPU販売価格は下がっているが、まだまだ売れていないという状態のようです。
欧州では下落。一方で日本のGPU価格にはほとんど変化なし。
欧州やアメリカではeBayなどフリマサイトでもGPU販売価格が下がっているとの事ですが、日本での販売価格についてはほとんど変化が見られない状態になっています。
GeForce RTX 3080に関しては玄人志向のモデルを例に挙げると2022年3月8日現在は146,800円で販売がされています。この価格は12月時点に記録されている154800円に比べると安くはなっていますが、2021年8月時点では一時的に129800円、平均でも140981円であったため今回の欧州での販売価格のように最安値に近いという状況ではありません。
また、この玄人志向のGeForce RTX 3080は発売当初は11万円前後で販売されていたため、この時の価格が定価と考えるとまだまだ高値と言う状態になっています。なお、画像が2枚に分かれているのは2021年6月頃からLHRモデルに置き替えられたためです。
アッパーミドルレンジであるGeForce RTX 3070に関してはサンプルとしてMSI製のモデルを取り上げます。このRTX 3070は現在の販売価格は最安値109799円となっていますが、2021年8月頃に記録されている104800円に比べると若干高い状態になっています。また、RTX 3070が発売された当初は72380円という事で物価上昇やAIBの価格改定などを考えても当初から1.5倍は異常なため恐らくまだ高値でも売れると見てこのような販売価格に設定されているようです。
ミドルレンジモデルであるGeForce RTX 3060ではASUS製をサンプルとして取り上げるとこのモデルは現在76800円が最安値となっていますが、こちらも2021年秋頃に6万円台中盤での販売が行われていたため、2022年3月時点で大きく値を下げているとは言えない状態になっています。
RTX 3060は発売がされたのがGPU販売価格が大きく上昇し始めていた2021年初旬であったため、発売当初から高い価格での販売がされていますが、その時から価格が明確には下がっていますがRTX 3070が発売当初は7万円台で販売されていたと考えるとまだまだ高い水準と言えそうです。
GPU販売価格は下がっているという情報が最近ずっと流れていますが肝心な日本についてはあまり変化はないようです。ただ、海外と同じく価格.comやAmazonなどを覗いてみると在庫なしのモデルは非常に少なく、在庫は豊富にあるようです。今後、NVIDIAやAMDではGeForce RTX 4000シリーズやRadeon RX 7000シリーズなど新モデルを投入する事は確実で、売り時を間違えると多くの在庫を抱える事となります。
そのため、価格も徐々に下がると考えたいところですが、欧州や北米ではAIBから直接仕入れて販売している事がスタンダードな一方で、日本では販売代理店経由で販売される事が多いです。
そんな販売代理店を噛むと手数料が販売価格に上乗せされてしまいますが、AIBが値下げした際にその損失を埋める在庫補填と言う量販店側へのサービスが上乗せされているため、特に価格変動が激しいRTX 3000シリーズやRX 6000シリーズではあまり値下がりがしない可能性はあるかもしれないです。
「アスク税」とは何か ~ゲーマーのためのグラフィックスカード流通事情講座
在庫補填については過去に4Gamer.netで記事が書かれているため見て見ると面白いかもしれないです。ASK税に関して言えば日本語サポート費用も入っているため一概に悪とは言えないですが最近のGPUは価格変動が非常に激しいのでこの在庫補填がどれぐらい販売価格に乗っているのかは非常に気になる所ですね。
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