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GMKTec EVO-T1 のレビュー。ゲーミングも可能なIntel Arrow Lake搭載ミニPC

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目次

GMKTec EVO-T1の基本仕様

GMKTec EVO-T1は、主にミニPCを製造・販売するGMKTecが発売した最新鋭のミニPCで、CPUにはIntel Arrow Lake世代のCore Ultra 9 285Hを搭載しています。

価格は、64GB DDR5+1TBストレージモデルが189,999円、64GB DDR5+2TBストレージモデルが198,999円です。

CPUCore Ultra 9 285H (TDP 45W)
グラフィックスArc 140T (8EU)
メモリーDDR5-5600 GT/s = 64GB
ストレージPCIe Gen 4 NVMe SSD 1TB
(PCIe Gen 4 2280スロットが合計3つ)
OSWindows 11 Pro
インターフェイスフロント側
– USB3.2 Gen2 Type-A x 3
– USB3.2 Gen2 Type-C (PD/DP)
– 3.5mm ステレオジャック
リア側
– USB2.0 Type-A x 2
– 2.5Gbps イーサーネットポート x2
– USB 4
– Display Port 1.4 x 1
– HDMI 2.1 x 1
– Oculink(PCIe Gen4 x 4)
ワイアレス機能Wi-Fi 6E / Bluetooth 5.32
サイズ幅154 x 奥行き151 x 高さ73.6mm
電源19V ACアダプター
価格189,999円~(セール中 146,999円)

今回のレビューはGMKTecからEVO-T1の提供を受けています。

パッケージと同梱物

箱はシンプルなデザインになっていますが、サイズはかなり巨大で一般的なミニPCが横に2つ収まるぐらいのサイズになっています。(届いたとき何が来た?と驚いたぐらいです。)

これは、本体だけでなくACアダプターやケーブル類、マウントなどをPCと同サイズの内箱に収め、それらを横並びにして収納しているため。開けてみると無駄な空間は意外と少なく、梱包はしっかりしています。

同梱されている付属品はACアダプターの他に、長さ100cmのHDMIケーブル、モニターの裏面に本体を設置するためのマウントが入っています。

ACアダプターは最大148W出力に対応していますが、アダプターのサイズは小型なのは非常にポイントが高いです。

GMKTec EVO-T1のデザインと品質、拡張性について

ここではGMKTec EVO-T1のデザインや品質そしてミニPCではあるものの気になる拡張性について解説します。

デザインと品質:プラスチックと金属部品の組み合わせ

EVO-T1はほぼ正方形の筐体形状ですが、コの字型の金属製シュラウドを採用。これにより、一般的なミニPCとは一線を画す外観になっており、デザイン性と吸気効率を両立しています。

筐体はプラスチックですが、コの字型のシュラウド部分は金属でできており、ゴールド色のサンドブラスト加工がされているため触った際の質感も良好です。

筐体とインターフェース類との隙間などは一定で品質は良いと言えます。前面はUSB3.2 Gen2 Type-Aを3口とUSB3.2 Gen2 Type-Cを1口、3.5mmジャックと電源ボタンがあります。

後面インターフェイスは、USB Gen3.2に対応するType-Aポートが2つとDisplay Port 1.4とHDMI 2.0、Oculink(PCIe Gen4 x 4)、USB 4をそれぞれ1ポート、そして2.5Gbps対応のイーサネットを2ポート搭載しています。

拡張性はNVMe SSDを3本搭載できるなど高め

本体内部へアクセスするには最初、コの字型のシュラウドを取り外す必要がありますが、このシュラウドは底面の足自体がネジになっている部分を外す必要があります。これは足部分を回すことで取り外すことが出来るため、ここまではツールレスでアクセスできます。

そのあとは本体筐体部分の側面にあるネジを取り外すことで内部へアクセスすることができますが、プラスチックの爪などで固定されているポイントは無いため、ネジを取り外せばそのまま簡単に取り外せます。

内部はPCIe Gen 4 NVMe SSDに対応するM.2スロットが3本あり、すべて2280タイプに対応しています。そのため、4TBのNVMe SSDを使えば最大12TBまでストレージを追加できます。また、SO-DIMM DDR5も簡単にアクセスできるところにレイアウトされているため、拡張性はかなり高めになっています。

GMKTec EVO-T1の各種パフォーマンスについて

内蔵のCore Ultra 9 285H

GMKTec EVO-T1に内蔵されているCPUはIntelのArrow Lake世代であるCore Ultra 9 285Hを搭載しています。このCPUはP-Coreを6コア、E-Coreを8コア、LPE-Coreを2コアの合計16コア備えたCPUになっています。

動作クロックはP-Coreが最大5.4 GHz、E-Coreは最大4.5 GHzに設定され、TDPは定格は45Wになっています。ただ、EVO-T1では最大80Wでの動作が可能になっているため、各種ベンチマークは最大値の80Wで実施しています。

GPU側はArc 140Tを内蔵しています。このArc 140TはArc Alchemistの改良版アーキテクチャーになっており、Xeコアを8基、Execution Unitは1024基搭載しており、バス幅は64-bit、そして動作クロックは最大2.35 GHzで動作します。

GMKtec EVO-T1のCPUパフォーマンス

CPU性能は最新鋭のArrow Lake世代と言うことで非常に高い水準に位置しており、シングルコア性能は競合でもあるRyzen AI 9 HX 370を上回る性能になっています。

マルチコアではTDPが45W設定の場合はRyzen 9 8945HS並みで、同じ消費電力設定のRyzen AI 9 HX 370より17%ほど劣る性能になっています。一方で、TDP 80W設定にすると同等性能にまで伸ばすことが出来ますが、電力効率の観点ではCore Ultra 9 285HよりRyzen AI 9 HX 370の方が優れていると言えそうです。

ただ、性能自体は非常に高いレベルにあり、CPUを酷使するレンダリングやエンコードなどの作業も快適に実行することが可能なレベルになっています。

PCMark 10のスコア:4Kの動画編集も可能なレベル

PCMark10においては合計6852ポイント記録されています。

ウェブブラウジングなど日常用途での性能を図るEssentials、Wordやエクセルなどオフィス用途での性能を図るProductivityは9,000~10,000ポイントを記録しているため、これら用途で不満に思うことは無いと言えます。

RAW画像や動画編集、3Dのレンダリングなどを評価するDigital Content Creationにおいては10,542ポイントと高いスコアを記録しているため、動画編集や3Dモデリングなど一般的に言うと重い作業も快適に作業ができる水準に達しています。

GMKtec EVO-T1のゲーミング性能

3DMark TimeSpyにおいてはGraphics Scoreが3536ポイントを記録しており、デスクトップ向けのGeForce GTX 1650並みの性能を発揮しています。また、ノートPC向けグラフィックカードで言うとGeForce RTX 2050などにも迫っており、CPU内蔵GPUとしては非常に高い性能と言えます。

ゲームでのパフォーマンス

ゲームタイトル画質設定平均FPSLow 1%
Apex Legends1080p High65.1 FPS41.8 FPS
Cyberpunk 20771080p High20.8 FPS15.3 FPS
F1 20251080p High42.1 FPS31.1 FPS
GTA V1080p High40.5 FPS31.1 FPS

FSRなどなしで1080p解像度の高画質設定で各種ゲームを15分程度、プレイした際のフレームレートは上記のようになっています。Cyberpunk 2077は非常に重いゲームであるため20fps程度しか出せていませんが、画質設定を下げれば40~50fps程度までフレームレートを伸ばすことが可能と言えそうです。

他のゲームでは高画質設定では60FPSを割り込んでいますが、画質設定を調整すれば平均60FPSも叩き出せると言えるため、メジャーなタイトルからインディーズタイトルまで幅広いゲームを楽しむことが出来るグラフィックス性能を有しています。

GMKtec EVO-T1の消費電力と長時間の負荷を与えた際の動き

EVO-T1に内蔵されるCore Ultra 9 285Hは定格の消費電力は45Wに設定されておりこの状態での最大消費電力は54Wに設定されています。ただ、EVO-T1のBIOS設定では静粛性重視の最大35W設定、バランスモードである最大54W設定、そして性能重視の80W設定の3つがありますが、今回のCinebench R23ベンチマークの10分間耐久は80W設定で実施しています。

この10分間耐久の間に動作クロックはP-Coreは最初は4.5 GHzに到達していますが、そのあとは4.1 GHz程度、E-Coreは3.6 GHz程度で動作します。PCの冷却性能を測る指標となるCPU温度は80℃で横ばいとなっており、CPUの消費電力が80Wで動作していてもサーマルスロットリングなどは見られず適切な冷却性能を兼ね備えていることが分かります。

内蔵されているSSDの性能

内蔵されているSSDはCrucial P3 Plus CT1000P3PSSD8と呼ばれるPCIe Gen 4対応の1TB NVMe SSDを搭載しています。このSSDは公称値が読み取り5000 MB/s、書き込み3600 MB/sとなっていますが、ベンチマークでは読み取りが5194 MB/s、書き込みが4731 MB/sを記録しており公称値以上の性能を発揮しています。なお、この速度は日常作業に加え、ゲームのローディングでも快適に動かすことが出来ます。

GMKtec EVO-T1の日常での使い心地と使い勝手

PCではパフォーマンスなどが重要でもありますが、毎日使うという点で気になる使い勝手や使い心地について取り上げて行きます。

ミニPCで気になるライセンス問題は問題なし

ミニPCで気になるWindowsライセンスについて、EVO-T1はOEMライセンスとして正規ライセンス認証がされています。

BIOS設定が無制限状態

BIOS画面は一般的にユーザーが触れられる箇所は制限されていますが、EVO-T1はすべての機能、設定が開放されており、P-CoreやE-Core、LPE-Coreの一部コアだけ無効化すると言った普段はできない設定や、PL1/PL2の設定、メモリータイミングなど自作PCでも見られないBIOS設定も存在しています。

そのため、設定を細かく触りたいユーザーにとってはかなり貴重なミニPCと言えますが、BIOS設定についてあまりわかっていないユーザーには危険な項目でもあるため、これは一長一短と言ったところです。

GMKtec EVO-T1の最終評価:性能と拡張性が非常に高い

  • ゲーミングもそこそこできるGPU性能
  • メモリーのデフォルト容量が64GB
  • 最大3本のNVMe SSDやOculink対応など拡張性が高い
  • Performanceモードでは性能のさらなる向上が可能
  • ミニPCにしてはサイズがかなり大きい
  • カードリーダーが無い
  • Wi-Fi 6Eまで対応

EVO-T1はミニPCとしてIntel Arrow Lake世代のCore Ultra 9 285Hを搭載することでCPU性能、グラフィックス性能共に高く、Apex LegendsやCall of Duty Black Ops 6など人気のPCゲームも設定次第では快適に動くほか、Cyberpunk 2077など重いと言われているゲームも画質設定を調整すれば30fps程度で動作するなどゲーミングも試したいと思って購入しても期待を裏切らない性能になっています。

PC自体の性能も6P+8E+2LPEのコア構成が採用されているため、画像や動画編集など負荷がかかる作業も快適に行うことができます。

また、拡張性についてはNVMe SSDを最大3本搭載できるほか、Oculinkにも対応しているため外付けでGeForce RTX 5060などデスクトップ向けグラフィックスカードを付け加えてゲーミングPC並みの性能に引き上げるなど自由度も高くなっています。

デザインはミニPCでありがちな正方形の箱から脱却し、造形に拘ったデザインになっておりこの点は良いのですが、全体的にサイズが大きくなっている点が少々気になるほか、サイズが大きい割に他にミニPCで備わっているSDカードリーダーが無いなど少し残念な点もあります。また、Arrow Lakeなど最新世代のCPUを備えるにも関わらずWi-Fi 6Eまで対応など疑問に思う仕様も存在しています。

ただ、製品全体としては個性的なデザインのほか拡張性、そしてCPUのTDPを80WまでT引き上げても必要な冷却性能が確保されているなど完成度は高いため性能や拡張性が高いミニPCを求めている人にとってEVO-T1は検討してみても良い製品であると言えます。

この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、加えて経済やマーケティングなどの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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