GeForce RTX 5090 をAI用に魔改造する工場の姿が捉えられる。GPUやVRAMを抜き取り再実装

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GeForce RTX 5090 をAI用に魔改造する工場の姿が捉えられる。GPUやVRAMを抜き取り再実装

米国の輸出規制によりNVIDIAの最上位グラフィックカードのGeForce RTX 5090は中国では生成AI学習などに用いられるFP4処理は無効化されたGeForce RTX 5090 Dやまもなく帯域幅を1.34 TB/sに、VRAM容量を24GBに制限したGeForce RTX 5090 D v2など生成AI用途で使えないように細工が施されています。

そのため、小規模なAI開発を行う個人や企業では通常のGeForce RTX 5090に対する需要が非常に高いのですが、この高い需要を背景に、一般販売されているGeForce RTX 5090を生成AI用に最適化形態に魔改造する工場が中国に存在するようで、その工場の内部が初めて明らかにされました。

中国のBilibiliに掲載された動画では密輸されたゲーミング用のGeForce RTX 5090を生成AI用に最適な2スロットのブロワー型クーラーを搭載したGeForce RTX 5090に魔改造する工場の内部を取材していますが、その様子は多くの人が想像する手作業による改造ではなく、一般販売されるグラフィックカードの製造に用いられるような機械を用いて自動化するなどかなり洗練されたプロセスになっている様子が明らかになっています。

なお、密輸されたGeForce RTX 5090が生成AI用のGeForce RTX 5090に魔改造される流れは以下の通りです。

  1. GPUとVRAMチップの取り外し: 密輸されたゲーミング用のGeForce RTX 5090の基板から心臓部であるGB202 GPUチップとGDDR7モジュールが専用の機械によって精密に取り外されます。
  2. AIサーバー向けカスタム基板への再実装: 取り外されたGPUとVRAMは、AIサーバーでの利用に最適化された、ブロワーファン搭載の新しいカスタム基板にはんだ付けされます。この基板は、サーバーラック内での配線を容易にするため、電源コネクタが基板の端に配置されるなど完全オリジナル設計になっています。
  3. 再テストと出荷: AI用GPUに生まれ変わったGeForce RTX 5090は、自動化されたテストベンチで動作確認が行われ、梱包された後、中国国内のAI関連企業へと出荷されていきます。

このように魔改造される背景には冒頭で紹介した通り、中国がAIを軍事利用することで米国の安全保障に懸念があるとして規制が施されています。そのため、中国向けに出荷されるGeForce RTX 5090はFP4処理などが無効化されたGeForce RTX 5090 Dやまもなく発売されるGeForce RTX 5090 D v2ではFP4処理無効化に加え、帯域幅を1.34 TB/sに制限するなどAI性能が大きく制限されています。そのため、密輸し、魔改造されたGeForce RTX 5090は余分なコストがかかったとしても工場を作って出荷できるほどの力強い需要があると言える状況で、中国でも既にビジネスとして確立されているようです。

なお、密輸されるグラフィックカードが一体どこから流れてきているのかなど不明ですが、日本などが密輸元などであった場合、価格高騰や最悪の場合は規制強化など日本の消費者にとっては不利益が被られないかが心配されるところです。

ソース

RTX5090的显卡是怎么生产的,超泰涡轮5090显卡生产全过程超泰 | Bilibili

https://www.bilibili.com/video/BV1Px8wzuEQ4

この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
自作PC歴は10年以上、加えて経済やマーケティングなどの知識もあるため、これらを組み合わせて高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 中国は性能低いとはいえ国産GPU作れるからこういう装置はあるんだろうな

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