NVIDIAは GeForce RTX 5060 の性能に自信なし? 発売日付近でレビュー掲載されないよう細工に出る
NVIDIAは2025年5月19日(日本では20日)にミドルレンジ向けグラフィックスカードのGeForce RTX 5060を発売することを正式発表していますが、このRTX 5060についてNVIDIAは性能面で相当自信がないのか、海外の著名なレビューアーからは同社が発売日近辺でRTX 5060のレビュー掲載を意図的に困難にするような、異例とも言える対策を講じているとの指摘が出ています。
NVIDIAのGeForce RTX 5060はRTX 5000シリーズとして最多販売モデルとしてラインアップされるミドルレンジ向けモデルで、仕様はCUDAコアを3840コア搭載し、動作クロックは最大2.5 GHzに設定されることから、先代のRTX 4060に設定されていた3072コアのCUDAコアから25%増えることで大幅な性能向上が期待されていました。
GeForce RTX 5060 Ti 8GB版をPCIe Gen 4で使うとGen 5時より性能が10%以上低下
GeForce RTX 5060 Ti 8GB版の詳細レビューが登場。地雷モデルと言える性能
ただ、VRAM仕様が貧弱で、バス幅は128-bitとなり28GbpsのGDDR7を搭載するものの容量は8GBのみラインアップしていることから、先に発売されたRTX 5060 Ti 8GB版と同様に、一部タイトルではVRAM容量不足に陥るほか、PCIe Gen 4環境ではGen 5環境に比べて性能が10%以上低下することが懸念されています。そのため、5月19日に設定されたレビュー解禁日には、この8GBというVRAM容量が性能のボトルネックとなる点が厳しく評価され、全体として芳しくないレビュー結果になる可能性が高いと見られています。
Context, Nvidia are trying to hide the RTX 5060, just as they did the 8GB 5060 Ti. The strategy here is to release it the week of Computex when most of the tech media are in Taiwan attending the show. They're also blocking reviewers from accessing the driver early to evaluate the…
— Hardware Unboxed (@HardwareUnboxed) May 8, 2025
こうした厳しい評価を予測しているのか、NVIDIAはこのRTX 5060のレビューが発売日近辺に集中しないよう、意図的な情報統制、あるいは『欺瞞工作』とも受け取れる対応を取っているとHardware Unboxedは批判しています。
具体的な手法の一つとして挙げられているのが、ドライバの提供タイミングです。RTX 5060のレビュー用サンプル自体は発売前にレビューアーへ送付されているものの、動作に必要なグラフィックスドライバの提供が発売日当日(5月19日)まで行われないというのです。これにより、レビューアーは発売日以降にしか十分な検証を開始できず、結果として発売日近辺でのレビュー記事公開が物理的に困難になります。
さらにHardware Unboxedが『卑怯とも言える』と指摘するのが、発売日とレビュー解禁日の日程設定そのものです。5月19日はは台湾で開催される大型イベントである『Computex 2025』の前日にあたり、Hardware Unboxedに加え、Linus Tech TipsやGamers Nexsusといった世界的に影響力のある多くのテック系メディアやインフルエンサーはこの時期にComputexへの取材のため台湾に滞在している可能性が高いとのことです。そのため、Hardware Unboxedも複数のRTX 5060のサンプルが既に手元にあるものの、詳細なレビューが公開できるのはRTX 5060が発売されてから数週間後になることを明らかにしています。
NVIDIAはRTX 5060に似たことをRTX 5060 Ti 8GB版でも行っており、この時はAIBに対してインフルエンサー向けに8GB版の発送は発売日以降にしか行わないように制約を加えていました。しかし当時は、一部のレビュワーが独自ルートで製品を入手し、発売後数日でレビューを公開したため、VRAM容量に起因する性能問題が早期に露呈しました。そのため、NVIDIAはこの反省を踏まえてか、今回のRTX 5060では、発売直後に多数のレビュー記事が出回らないように、より周到な対策を講じているように見えます。さらに、仮に一部でレビューが公開されたとしても、Computex 2025開催期間中の他のニュースに埋もれ、批判的な内容が目立たなくなることを狙っている可能性も考えられます。
なお、日本では冒頭の通りGeForce RTX 5060は5月20日に発売予定で、先に登場したRTX 5060 Tiと同様、おそらく抽選販売などは行われず、一般販売が開始されるものと予想されます。しかし、恐らくこのNVIDIAの対策により発売日時点で信頼できる詳細なレビュー記事はほとんど存在しない可能性が高いでしょう。ただ、NVIDIAがここまでしてレビュー掲載を遅らそうとしている背景には、販売に悪影響を与えるほどの性能上の懸念があると考えられるため、たとえRTX 5060の購入を検討していても第三者による詳細なレビューを確認してから購入を判断するのが賢明と言えそうです。
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