NVIDIAではここ数年間は2年の一度のペースで最先端プロセスを用いたGPUアーキテクチャーを発売していましたが、コンシューマ向けPCの売上減を背景にTSMC 3nmなど最先端プロセスを使用したアーキテクチャーの投入は2025年まで延期される可能性が出てきているようです。
NVIDIAがTSMC 3nm採用GPUの投入は2025年まで延期される模様。GeForce RTX 5000はTSMC 4nmなどに?
NVIDIAではGTC 2022にて2022年にAda Lovelaceを投入し、2024年には次世代アーキテクチャーを投入することが明らかにされていましたが、最近のコンシューマ向け製品の販売数の激減によって2024年に投入が予定されていたTSMC 3nm採用の新アーキテクチャーが2025年まで延期される可能性が出てきているようです。
NVIDIAでは2022年にTSMC 5nmで製造されるAda Lovelaceアーキテクチャーを搭載するGeForce RTX 4000シリーズを発売し、2023年からはラインアップをメインストリーム向けに拡大する計画のようですが、今までのスケジュールであれば2024年の後半にはGeForce RTX 5000シリーズの登場が見込まれています。
しかし、NVIDIAでは旧世代となりつつあるGeForce RTX 3000シリーズについて在庫を持っている他、RTX 4000シリーズについても価格が大きく高騰したことが原因で想定を大きく下回る売上となっていると言われています。
不調なコンシューマ向けとは対照的にAI向け製品では売上高と収益の拡大が続いており、HPCやAI向けではAmpere A100のほか最新鋭のTSMC 5nmで製造されるHopper H100の出荷が続いています。ただし、需要に対して供給が追いついていないとも見られています。
I’m afraid it won’t use 3nm.
— kopite7kimi (@kopite7kimi) April 10, 2023
このような状況からNVIDIAではコンシューマ向け製品に関してはTSMC 3nmを採用する製品は後ろ倒しとし、次に登場が予定されているBlackwellについてはTSMC 4nmを採用すると見られており、Kopite7kimi氏もBlackwellに関してはTSMC 3nmは使われないとのことです。
TSMC 3nmを使用しないことは、Ada Lovelaceと同じTSMC 5nmか小改良となる4nmを採用することになり、性能の向上代はあまり大きくならない可能性があります。ただし、コスト面では5nmも4nmは3nmのように1.25倍に膨れ上がることはないため、コストパフォーマンス面では大きなアドバンテージになりえるかもしれません。ただし、価格設定は製造プロセスのコスト以外にも収益面も考慮されるため、RTX 4000シリーズよりお得感のあるグラフィックスカードが登場するとは限りません。
AI用途を含めたサーバー・データセンター向け製品においてもTSMC 3nmを採用する製品は早くても2025年初頭の投入になると見られています。これについては、現在のところライバルが居ないことや、3nmを採用した新製品をいち早く出すよりも、Hopper H100の生産と顧客への提供に重点を置くことから2024年には発売せず、2025年に投入を延期する方向のようです。
GPUについてはどうしてもダイサイズが大きくなる傾向になるため、製造プロセスのコストが直接、販売コストに降りかかるためコンシューマ向けでTSMC 3nmの採用を避けるのはある意味正しい判断かもしれません。ただ、GDDR7などコスト高騰要素やNVIDIAの方針もあるため、結局RTX 4000シリーズより安い価格で性能が大きく向上することはあまり期待出来ないかもしれません。
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