NVIDIA GeForce 576.02 ドライバでGPU温度監視が出来なくなる危険な不具合が見つかる
NVIDIAのGeForceドライバに関しては2025年1月30日にGeForce RTX 5000シリーズのサポートなどを含めた572系ドライバの配信を開始したものの、RTX 5000シリーズのほかにRTX 4000シリーズなど多くのグラフィックカードで黒画面やBSoD、ゲームのクラッシュなど安定性に問題がありました。そのため、2025年4月16日のGeForce RTX 5060 Ti発売と同時に、これら不具合の修正を含めたメジャーアップデートである576.02ドライバの配信を開始し、完全修正には至らずとも安定性の向上が図られていると言われています。
しかし、どうやらこの576.02ドライバですが、GPUの安全かつ安定動作に必要なGPU温度情報が特定の条件下で読み取れなくなる不具合が確認され、ホットフィックスドライバーの配信もされたようです。

MSI Afterburnerの開発をしているUnwinder氏やRedditなどで576.02ドライバを適用後にMSI AfterburnerやWindowsタスクマネージャーなどのハードウェアモニターツールでGPU温度情報を取得するのに使うAPI『NvAPI_GPU_GetThermalSettings』が正常に動作しなくなる不具合が起きていることが確認されているようです。特にこの不具合はスリープモードからの復帰後に発生しやすいとのことです。
この温度取得APIの異常がもたらす最大の懸念は、GPUの動作クロックや電圧制御に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。GPUは通常、内蔵の温度センサーでGPU温度を監視し、温度が高くなると自動的に動作クロックや電圧を抑制して過熱による破損を防ぐサーマルスロットリングと言う機能を備えています。しかし、APIから取得される温度情報が不正確(例えば、実際は高温なのに低温と報告する)だと、この保護が適切に働かず、GPUが実際の温度に見合わない不必要に高い動作クロックや電圧で動作し続けたり、高温でもファンが低回転でしま回らないなどの危険性があります。これがGPUの安定性や耐久性などに影響を与えるかは現時点では不明ですが、リスクがある状態であるのは確かなようです。ちなみに、576.02適用後にGPU性能が数%向上したと言うのも温度情報が不正確だったため、不適切に高い動作クロックで動いていた可能性も指摘されているようです。
GPU monitoring utilities stop reporting GPU temperature after waking PC from sleep [5231307]
GeForce Hotfix Display Driver version 576.15
なお、NVIDIAはこの温度取得APIの読み込み不具合についてホットフィックスドライバーとして576.15を4月22日3時頃に配信を開始しています。現時点で、このAPIの不具合がどのような影響を与えるのかは明確にはなっていませんが、温度監視と言うGPUの信頼性に関わる機能であるため、576.02にアップデート済みのユーザーは可能な限り早く576.15にアップデートしておいた方がいいかもしれません。
NVIDIA GeForce 576.02 WHQL driver download | Guru3D
GeForce Hotfix Display Driver version 576.15 | NVIDIA
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