GEEKOM GT1 MEGA の基本的な仕様について
GEEKOM GT1 MEGAは、主にミニPCを製造・販売するGEEKOMの最新鋭ミニPCで、CPUにはIntelのMeteor Lake世代となるCore Ultra 100シリーズを搭載したモデルです。
価格は、Core Ultra 9 185Hと32GBのRAM、2TBストレージを搭載したモデルが139,900円ですが、当ブログ専用クーポンコード「GT1Megagzl5F」を利用することで132,905円で購入することが可能です。
CPU | Core Ultra 9 185H @TDP 45W |
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グラフィックス | Intel Arc Graphics (8 Xe) |
メモリー | DDR5 5600MT/s 16GB x 2 = 32GB |
ストレージ | PCIe Gen 4 NVMe SSD 2TB |
OS | Windows 11 Pro |
インターフェイス | フロント側 – USB3.2 Gen2 Type-A x 4 (1つはPD対応) – 3.5mm ステレオジャック リア側 – USB 3.2 Gen 2 Type-A x 1 – USB 4.0 Type-C (PD/Alt-Mode対応) x2 – 2.5Gbps イーサーネットポート x2 – HDMI 2.0 x 2 側面 -SDカードリーダー |
拡張スロット | なし |
ワイアレス機能 | Wi-Fi 7 / Bluetooth 5.4 |
サイズ | 幅135 x 奥行き132 x 高さ47mm |
電源 | 19V ACアダプター |
価格 | Core Ultra 9 185H:139,900円 Core Ultra 7 155H:109,900円 |
パッケージ内容と同梱物
箱は他のGEEKOM製品と同じくシンプルな形状で、蓋部分を持つと自然と本体などを収めた下部の箱が落ちる設計になっています。
同梱されている付属品は、ACアダプターの他に長さ100cmのHDMIケーブル、モニターの裏面にGT1 MEGAを設置するためのマウントに加え、簡単な説明書が入っています。
ACアダプターの大きさは普通ですが、同封されているプラグ部分が日本では一般的ではない3ピンであるため、変換プラグを用意する必要があります。
GEEKOM GT1 MEGA のデザインと品質、拡張性について
ここでは、GEEKOM GT1 MEGAのデザインや品質、そしてミニPCではあるものの気になる拡張性について解説します。
デザインと品質:全面金属筐体で高い質感
外観は一般的なミニPCでよくある正方形デザインですが、一般的なミニPCに比べると一回り大きめの筐体サイズです。筐体はアルミ削り出しで、天板や側面の全周がアルミニウムで仕上げられており、本体を見てもつなぎ目は全くありません。
アルミニウムで作られた外装はサンドブラスト加工が施されており、触った質感は非常に高級感があります。また、USBや電源ボタンの合わせもズレておらず、品質感が高まっています。インターフェイスは、前面にUSB Gen3.2対応のType-Aポートが4つとオーディオジャックがあります。
後面にはUSB 4.0対応のUSB-Cが2つ備えられており、そのうち1つはUSB-PD対応のため、ここにUSB-Cケーブルを差し込めばACアダプターなしで動作可能です。その他に、USB3.2 Gen2とUSB2.0対応のType-Aポートをそれぞれ1つずつ搭載し、HDMIポートと2.5Gbpsまで対応するイーサーネットポートが2つずつあります。
こちらは並べ方が整っており良いのですが、コネクター部にはプラスチックのカバーが付いているため、プラスチック部に金属製コネクターを強くこすりつけると傷がつく可能性があります。神経質な方は、差し込む際に本体にコネクターが引っかからないよう注意が必要です。
拡張性:SSDやメモリーの交換は可能。M.2 SATA SSDの追加も可能に
本体底面にあるすべり止めを剥がすと4つのネジが現れ、これを外すことで筐体内部へアクセスできます。ただし、外した直後はWi-Fi用アンテナを固定する巨大ブラケットがあるため、メモリーやSSDなどにアクセスするにはさらにこのブラケットも外す必要があります。
本体底面のすべり止めは両面テープで固定されていますが、突起も付けられているため、何回か外してもすべり止めが取れない構造になっています。
また、本体底面を開ける際に引っ張る方法がなく、開けにくいですが、付属のVESAマウント固定用ネジを少し差し込んで引っ張ることで簡単に底面を開けることができます。
拡張性としては、2つのSO-DIMMスロットが設けられており、このスロットは1枚あたり32GBのメモリーモジュールまで対応し、最大64GBのDDR5を搭載することが可能です。また、PCIe Gen 4に対応するNVMe SSDが元々搭載されており、その下にWiFiモジュールが収められています。PCIe Gen 4 SSDは冷却のためシリコンパッドが備えられているなど、冷却にはかなり力が入っています。
内部には追加のM.2 SATA SSDの追加も可能で、Type2242サイズの搭載が可能です。なお、Type2230サイズも入りますが、固定するブラケットがType2242向けの位置にあるため固定することができません。そのため、Type2230を使用したい場合は延長アダプターなどが必要になります。
GEEKOM GT1 MEGA の各種パフォーマンスについて
内蔵のCore Ultra 9 185Hについて
今回提供されたサンプルモデルにはCore Ultra 9 185Hが搭載されており、ベンチマークもすべてこの最上位CPUで行われます。このCore Ultra 9 185HはIntelが2023年末に投入したMeteor Lake世代のCPUで、Intel製CPUでおなじみのハイブリッドアーキテクチャを採用するほか、タイルアーキテクチャを採用し、6P+8E+2LPEの合計16コア構成となっています。
動作クロックはベースが2.3 GHzで、スペック上のブーストクロックは最大5.1 GHzに設定されています。ただし、放熱関係の問題から5.1 GHzでの動作は稀で、全コア動作時は約3.3 GHzで動作しています。
GPU側にはArcグラフィックスで構成される8コアのXeコアを備えています。動作クロックが最大2.4 GHzで動作する設定になっています。
GEEKOM GT1 MEGA のCPUパフォーマンス
CPU性能は2023年末に発売された6P+8E+2LPEの合計16コア構成のCore Ultra 9 185Hを搭載しているため、シングルコア、マルチコア共に非常に高いスコアを記録しています。シングルコア性能は動作クロックが低めであるため、Ryzen 7 7800X3DやCore i5-12600Kなどのデスクトップ向けCPUに劣るほか、AMDのRyzen 9 8945HSにも劣っています。
一方でマルチコア性能はコア数が多いためスコアは高めで、Ryzen 7 7800X3Dに迫り、Core i5-12600Kなどのミドルレンジ向けデスクトップCPUを超える性能を発揮しています。また、同じ消費電力帯のAMD製APUにも勝る性能を発揮しているため、ミニPCの中では高い性能かつ、ミドルレンジのデスクトップPCと遜色のない性能が期待できます。
PCMark 10のスコア:4Kの動画編集も可能なレベル
PCMark10においては合計6992ポイント記録されています。
各項目においてはウェブブラウジングや各アプリの起動など日常用途の快適性を表すEssentialsでは10159ポイントと高得点を記録しているため、日常的な使用で不満に感じる部分は無いと言えます。
Wordやエクセルなどオフィス用途での性能を示すProductivityにおいては8732ポイントでこちらも高得点を記録しています。
RAW画像や動画編集、3Dのレンダリングなどを評価するDigital Content Creationでは10,954ポイントを記録しています。特にPhoto Editingは16,811ポイントと高得点を記録しており、RAWやPhotoshopなどを使用した画像編集は快適に作業可能です。
GT1 MEGA のゲーミング性能
3DMark TimeSpy
3DMark TimeSpyではGraphics Scoreが3,574ポイントを記録しており、デスクトップ向けGeForce GTX 1650に迫る性能を示しています。
Apex Legends
Apex Legendsで比較的激しい戦闘が多めのチームデスマッチをプレイした場合、1080pですべての設定を「高」に設定した際のフレームレートは50~60fpsとなり、設定や解像度を下げれば常時60fpsを目指すことが可能な性能です。また、Apex Legendsよりも軽いゲーム、例えばValorantやLeague of Legendsなどでは120fpsを目指すことも可能です。
個人的にIntel製グラフィックスの性能にはあまり期待していませんでしたが、ドライバー類も改善されてきており、性能が向上している印象です。
消費電力と長時間の負荷を与えた際の動き
GT1 MEGAに内蔵されるCore Ultra 9 185Hはデフォルト状態ではTDPが45Wに設定されていますが、BIOS設定でPerformanceモードに切り替えることでTDPを最大65Wで動作させることも可能です。
デフォルト状態のTDP 45WではCinebench R23は最初の数秒間はブースト動作として70Wで動作し、その時の動作クロックは全コアで3.3 GHz、CPU温度は100℃に達します。ただし、ブースト動作の制限時間である60秒後にはTDP 45Wでの動作に移行し、それに伴い動作クロックは2.5 GHzに下がり、CPU温度も85℃を目標に動作するモードに移行します。
一方、TDP 65Wで動作するPerformanceモード時はTDPを可能な限り70Wに近づける制御に切り替わり、CPU温度も100℃で張り付く動きになります。そのため、動作クロックも全コア動作で3.3 GHzを100秒以上維持しています。ただし、ミニPCということで冷却性能には限界があり、120秒以降はTDPが一時的に60W前後に落ちますが、CPU温度に余裕が生まれればまた70Wで動作するなど、Performanceモードでは冷却性能の限界を使った動きになります。
内蔵されているSSDの性能
内蔵されているSSDはCrucial製P3 Plusと呼ばれるPCIe Gen 4対応NVMe SSDが搭載され、容量は2TBになっています。
このP3 Plusは読み取り性能が約5,000MB/s、書き込みが約4,000MB/sと、PCIe Gen 4として最速の分類には入りませんが、日常的な使用で困ることは全くありません。
GT1 MEGA の日常での使い心地と使い勝手
PCではパフォーマンスなどが重要ですが、毎日使用するという点で気になる使い勝手や使い心地について取り上げます。
ライセンスは正規版でなんとリテール版を搭載
ミニPCで気になるWindowsライセンスについて、GT1 MEGAではRETAIL_Channelと記載されているライセンスが使用されており、正規ライセンスが採用されていることが確認できます。一般的にこのようなミニPCはOEMライセンス、つまりミニPCのハードウェアにライセンスが紐付けられていますが、GT1 MEGAでは購入者にライセンスが付与されるため、将来的にこのミニPCを処分する際にこのライセンスを使用して他のPCにWindowsをインストールすることが可能です。
TDP65Wモードはファンノイズが大きいが通常モードより持続性能が15%向上
ミニPCでは一般的にファンノイズを抑えるため、TDPが低めに設定されています。このGT1 MEGAもデフォルト状態ではTDPが45Wに設定されています。この45Wでも性能は十分ですが、より高い性能を得たい場合にはBIOSでPerformanceモードを選択することでTDPを65Wにまで高める設定が用意されており、これは魅力的です。特にPerformanceモード時はCinebench R23を10分間動作させ続けるなど持続的に負荷を与える作業では性能の伸びが大きく、デフォルト状態に対して約15%の性能向上が見られます。そのため、レンダリングや動画編集などではPerformanceモードを選択することで性能を大きく上げることができます。ただし、背反としてファンノイズは大きくなりますが、15%の性能向上が得られるのであれば許容範囲と言えます。
USB-PDでの電源供給に対応
GEEKOMの製品の多くはUSB-PDでの電源供給に対応していない製品が多く、ACアダプターが必須でした。しかし、GT1 MEGAではUSB-PD接続に対応しているため、USB-Cケーブル1本で動作させることが可能です。ただし、Core Ultra 9 185Hの消費電力は比較的大きいため、最低でも100W程度の電力供給が可能なUSB-C充電器またはモニターが必要になります。
GEEKOM GT1 MEGAの最終評価:性能高めで文句なしだが、少し謎な仕様も
- TDPが45Wと65Wで選択可能。65W時は超高性能
- ストレージ2TB、メモリー32GBと大容量構成
- リテール版Windowsを搭載
- USB-PDでの動作に対応
- ファンノイズが若干大きい(性能と背反)
- 前面にUSB-Cコネクターがない
GEEKOM GT1 MEGAはCore Ultra 9 185Hを最大65Wで動作させることが可能なため、デスクトップ向けCPUにも迫るような高い性能を持ったミニPCです。また、グラフィックス性能もIntel製ドライバーの最適化が進んでおり、Apex Legendsなどの人気タイトルでは比較的快適にプレイすることが可能です。動画編集やレンダリングなど仕事用途から、軽いゲームをプレイする娯楽用途まで、幅広く対応できる万能なミニPCと言えます。
ただし、最新鋭CPUを搭載することから価格は13万円と比較的高価ですが、同様のCPUを搭載するノートPCはより高価格であることや、GT1 MEGAには32GBメモリーと2TBストレージが搭載されているため、持ち運びが不要で、主に自宅やホテルなど電源とモニターがある環境で使用する場合には、同等性能を持つノートPCより価格が抑えられ、コストパフォーマンスも優れています。
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