グラフィックカードに搭載されるGDDR6価格が下落、8GBでたったの約4000円に。
GDDR6 price trend : hardware (reddit.com)
NVIDIAやAMDが直近で発売したメインストリーム向けグラフィックスカードのRTX 4060 TiやRadeon RX 7600では8GBのGDDR6のみ搭載しており、最近発売されているPCゲームに対してはVRAM容量が足りないという指摘が多く出ています。
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そんな各社が減らしてコストダウンを行っているGDDR6のメモリーモジュールですが、グラフィックカードの需要急落や2020年から2021年に見られた各PCパーツ系コンポーネントの供給不足が解消されたことで価格が大きく下落しているようです。
DRAMeXchangeと言う市場調査会社がまとめたGDDR6メモリーモジュールのスポット価格については2022年2月時点では1GBで約$13、日本円で1820円で、8GB搭載する場合は$104、日本円で1.5万円前後と5万円程度のグラフィックカードであればその内、30%がGDDR6のコストとなる計算となっていました。
しかし、上述の通り需要急落により2023年6月1日時点では1GB辺りのスポット価格は$3.4、日本円で500円に満たない額になっており8GBを搭載しても合計で$27、日本円で4000円に満たない金額での販売になっています。
また、ここで挙げられているのはスポット価格で、一般的にNVIDIAやAMDではGDDR6を供給するMicronやSamsung、SK Hynixとは長期的な供給契約を結んでいます。そのため、供給価格についてはスポット価格よりもさらに低い価格で供給されていると見られています。
これだけGDDR6の価格が下落しているにも関わらずNVIDIAやAMDではメインストリーム向けグラフィックスカードでVRAM 8GBが選択された事は消費者側からすると怒りを覚える場合もあると思いますが、NVIDIAもAMDもGDDR6を8GBかつ128-bitのバス幅しか搭載していない点についてはこれだけGDDR6の価格が下がると予測していなかった可能性が考えられます。
NVIDIAのRTX 4060 TiもAMDのRadeon RX 7600も両モデル共に発売されたのは2023年ですが、商品企画や設計段階は2020年から2021年頃に遡ると考えられ、その当時はグラフの通りGDDR6の価格は非常に高価でした。そのため、両社ではメインストリーム向けグラフィックスカードでは販売価格をメインストリーム向けとして許容できる範囲に抑えるためにGDDR6モジュールを可能な限り少ない4枚程度にし、容量は8GB、バス幅は128-bitとするという選択を設計段階から行っていたと考えられます。
その結果、RTX 4060 TiやRTX 4060、Radeon RX 7600では8GBが標準となり、16GBはオプションとして提供されるに至ったと見られています。なお、VRAM容量を倍増するオプションがすべてのモデルに用意されない背景としては、バス幅を変えずにVRAM容量を増やすには基板の裏面にVRAMを実装する必要が出てくるのですが、そうなると基板が複雑化し、製造コストが高騰します。そのため、このようなオプションは限られたモデルにのみ提供されるに至っています。
なお、RTX 4060 Ti 8GBは北米価格では$399、RTX 4060 Ti 16GBは$499で両モデルの間で$100の差があります。日本円では前者が7万円に対して、後者は約2万円高価な8.9万円と言う価格差が設けられていますが、今回明らかになったGDDR6価格が低下している事を考えると、基板設計変更による追加コストなどを考慮してもVRAMを16GB化で$100、2.2万円高価になるのは割高な価格設定であることが明らかと言えます。
また、今回のGDDR6価格を見るとRTX 4060 Ti 8GBやRadeon RX 7600などもGDDR6価格が下がった分だけより安く提供する事も可能と言えそうですが、ここはターゲットとする収益率の他に今後登場するエントリーモデルの販売価格などの兼ね合いも含めて価格設定が行われていると見られているため、消費者からすると残念な価格設定となっていると言えそうです。
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