サムスン Galaxy S25シリーズは最大30%の値上げ? 原因はExynos 2500の搭載先送りとSnapdragon 8 Gen 4全面採用
サムスンは2025年初めに次世代フラッグシップスマートフォンとして、一部モデルに同社のフラッグシップチップセットであるExynos 2500を搭載する予定でした。しかし、Exynos 2500が製造される3nm GAAプロセスの歩留まりが極度に低いことが問題となり、2025年初めに登場するモデルはすべてSnapdragon 8 Gen 4を搭載する方向で検討されています。この変更が原因で、Galaxy S25シリーズの販売価格が現行のS24シリーズに比べて30%程度引き上げられる可能性が浮上しています。
サムスンはGalaxy S25シリーズにおいて、次世代フラッグシップチップセットであるExynos 2500を開発中で、製造プロセスには最新鋭の第2世代3nm GAAプロセスが使用されます。これにより、チップセットの電力効率が大幅に向上し、性能も同時期に登場するSnapdragon 8 Gen 4に匹敵することが期待されていました。しかし、この第2世代3nm GAAプロセスの歩留まりは2024年6月時点で20%以下とされており、量産に必要な60%に遠く及ばない状況にあります。そのため、サムスンは次期ハイエンドモデルであるGalaxy S25シリーズについて、すべてのモデルでQualcommのSnapdragon 8 Gen 4を搭載する方向に変更したようです。
Linkedinの匿名版のSNSとも言われているBlindに投稿された情報によれば、サムスンがSnapdragon 8 Gen 4を全面的に採用することはほぼ決定している状況で、この決定によりGalaxy S25シリーズの価格が上昇する見込みです。Snapdragon 8 Gen 4が先代のSnapdragon 8 Gen 3に対して30%以上高価な供給価格であることが影響し、この高価なチップセットのコストが販売価格に転嫁される可能性があるとされています。
Snapdragon 8 Gen 4については、すでに高価とされていたSnapdragon 8 Gen 3の$200から25%以上値上げされ、$250程度になると予想されています。また、5GモデムのSnapdragon X80モデムを内蔵したバージョンではさらにプレミアが付くと言われています。さらに、スマートフォンに必要不可欠なDRAMやNANDといったメモリ半導体の供給価格も最近大きく値上がりしており、サムスンが行うコスト削減だけでは採算が取れないと見られています。
現行のGalaxy S24シリーズでは、エントリーモデルのGalaxy S24が124,700円、最上位モデルのGalaxy S24 Ultraが189,700円で販売されています。仮に20%値上げされると、Galaxy S25は約15万円、Galaxy S25 Ultraは23万円程度になるため、AppleのiPhoneやGoogleのPixel 9シリーズに比べてかなり高価な価格帯となります。そのため、競争力が競合モデルに対して大きく低下する可能性がありますが、サムスンがGalaxy S25シリーズの採算性悪化を受け入れて販売台数を重視するのか、あるいは採算性を重視して高価でありながらカメラ機能やディスプレイ画質の向上で競争力を維持するのか、今後の動向に注目が集まります。
スマートフォンの価格はNANDやDRAMといったメモリ製品の供給価格高騰に加え、AI対応でより多くのDRAM搭載が必要になるなど、コスト高騰要因が増えています。このような状況でコスト競争力を維持するために、サムスンは自社開発のExynos 2500を搭載することでGalaxy S25シリーズに高い競争力を期待していたはずです。しかし、計画の要となるExynos 2500の導入が不可能となったため、サムスンは大幅な計画変更を余儀なくされ、その結果、Galaxy S25シリーズの大幅な値上げが検討され始めているようです。ただ、Galaxy S25シリーズのライバルであるiPhoneシリーズの価格動向もサムスンは注視していると考えられるため、iPhoneが値上げすればGalaxy S25シリーズも同程度の値上げが行われる一方で、iPhoneが価格を据え置きにすれば、Galaxy S25シリーズの値上げ幅は縮小される可能性があり、今後の価格動向は非常に流動的だと言えます。
yamazaki | X (Twitter)
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