AMDでは2022年1月にZen 3+ CPUとRDNA 2を組み合わせたRyzen 6000シリーズAPUをCES2022にて発表、登場しているモデルは主にRyzen 5以上のハイエンドモデルで、高いCPUとGPU性能を武器に高価なハイエンドラップトップで採用がされていますが、今回Ryzen 6000シリーズのエントリーモデルがGeekbench上に出現したようです。
Zen 3+とRDNA 2 GPUを搭載するエントリー向け4コアモデル
AMDではCES2022にてCPUにZen 3+アーキテクチャ、GPUにRDNA 2アーキテクチャを搭載したRyzen 6000シリーズAPUをラップトップ向けに発表をしました。このRyzen 6000シリーズに搭載されるZen 3+はRyzen 5000シリーズに搭載されているZen 3に対して6nmにプロセスを微細化すると共に、若干ながら改良が加えられたアーキテクチャになっており、数%の性能向上と消費電力の低下が見込まれています。
GPU側では従来までのVegaアーキテクチャーから最新鋭のRDNA 2アーキテクチャーのGPUが最大12基搭載され、グラフィック性能については大幅な強化が行われています。
このRyzen 6000シリーズについてはRyzen 9、Ryzen 7、Ryzen 5の3つのシリーズが登場しており、下位モデルとなっているRyzen 5 6600ではCPUとGPUのコア数は6コアとスペックとしては高めで実際にRyzen 5 6600系が搭載されているラップトップも高価なモデルが多くなっています。
そのため、エントリーモデルではRyzen 6000シリーズが採用されていることはあまりありませんでしたがAMDではRyzen 3向けに4コアを搭載したRyzen 6000シリーズを開発中のようで、そのGeekbenchベンチマークが出現しました。
性能は第11世代 Core i5-1145G7と同等レベルに。HPの法人向けPCに搭載
ベンチマークはHP製のシンクライアント向けモバイルラップトップであるHP Mobile Thin Clientと呼ばれる端末で行われており、この端末はシンクライアントということでリモートでメイン端末にアクセスするものになっています。ただ、OSとしては通常のPCのようにWindows 11が搭載されている状態でベンチマークが行われています。
今回出現していCPUはRyzen 3系CPUになると見られていますが、名称は現時点では試作品ということでEng Sample 100-000000552-40_Yという試作コードが登録されています。
仕様としては4コア8スレッドでベースの動作クロックは2.90 GHz、ブーストクロックは最大4.15 GHzと比較的高めになっています。キャッシュ系ではL3は8MBとなっています。
スコアとしてはシングルコアは1321pt、マルチコアは4261ptとなっています。
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マルチコアスコア性能が最も近いCPUとしてはIntelの第11世代CPUのCore i5-1135G7のシングルコア1273pt、マルチコア4133ptとなっており、2年前に登場したミドルレンジモデルにエントリーモデルが追いついたという見方が可能です。
グラフィックス性能は3コアで11コアのVega並の性能に
グラフィックス性能についてはRyzen 6000シリーズの売りでもあるRDNA 2を搭載していますが、エントリーモデルということでコア数は最大12CUから3CUへ大幅に減らされています。
しかし、パフォーマンス面ではGeekbenchのOpenGLでは13755ptを記録しており、11基のCUを搭載するVega 11の14198ptやIris Xe Graphicsに対して5%以内とほぼ同等レベルの記録を残しています。
AMDではRyzen 6000シリーズについては一部のゲーミングラップトップや通常のラップトップに搭載されたモデルは出ているものの、価格は20万円近いモデルが多く手頃な価格でRyzen 6000シリーズが搭載されたラップトップは皆無という状態となっていました。そのため、AMDとしてはその状況を改善するとともにIntelのシェアを取るため4コアのみ搭載するRyzen 6000シリーズを発売すると見られています。性能的にはCore i5-1135G7並ということでオフィス用途から軽い動画編集レベルであれば対応が可能で、実用的なグラフィックス性能と合わせると非常に使い勝手の良さそうなラップトップ向けCPUとなりそうです。
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