DRAM需要堅調で供給価格が年内に53%、2025年にはさらに35%上昇する可能性
DRAMの供給価格は2023年中頃までは供給過多を背景に下落していましたが、2023年終わりからはAI需要やコンシューマ向けPCの需要が回復し始めたことから、一転して供給不足が目立つようになりました。その結果、2024年第1四半期には前年比で15~20%程度値上がりする状況となっています。
この勢いは衰える気配がなく、市場調査会社のTrendForceによると、AI特需が続いていることでDRAMやNANDフラッシュの需要は堅調に推移する見込みであり、DRAM価格は2024年末までに前年比53%、2025年にはさらに35%上昇することが想定されています。
この大幅な需要増加はAI向けGPUで使われているHBMの影響も受けていますが、サーバー向けのDDR5 DRAMの需要増加、さらにコンシューマ向けのLPDDR5やLPDDR5xの需要も堅調であることが背景にあります。また、DRAMに加えNANDフラッシュの需要も堅調で、具体的な値上がり幅は言及されていませんが、企業向けSSDやスマートフォン用UFSストレージの需要が増えていること、さらにAI向けデータセンターで大量のQLC SSDが採用される傾向が見られています。今回の調査ではNANDフラッシュの供給価格変動についての詳細は言及されていませんが、AI向けデータセンターで使用されていることから、DRAM同様に年内および2025年にかけて大幅な値上がりが予想されます。
AI特需は2024年現在も衰える気配がなく、この調子で2025年も特需が続く可能性があります。そうなれば企業がデータセンターに投資し続けるため、サーバー向けDRAMの需要が衰えず、結果的にDRAMの値上がりにつながるというロジックです。ここで気になるのが、これだけ需要が増えていても供給を大きく増やさないDRAMメーカーです。過去に供給を増やす決定を行っても設備導入など実際に量産を開始するまでのタイムラグがあるため、増産に向けた準備が整った段階ではすでに需要のピークが過ぎているというケースが過去には何度もありました。そのため、サムスンやMicron、SK Hynixも増産には慎重であり、DRAM価格はしばらく値上がり傾向が続くと考えられます。
Memory Industry Revenue Expected to Reach Record High in 2025 Due to Increasing Average Prices and the Rise of HBM and QLC | TrendForce
https://www.trendforce.com/presscenter/news/20240722-12228.html
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