DDR5メモリーについては2021年に発売が開始されて以来、価格が右肩下がりでしたがDDR5を構成する部品であるDRAMとPMICの供給量減少の一方で、AMD、Intelで各社DDR5を主力として扱い始めたことから価格の下落が鈍化し始めていることが明らかになりました。
DDR5の価格下落が鈍化。DRAMやPMICの供給量減少の一方で、IntelやAMDがDDR5主力にシフトによる需要増が原因に
DDR5メモリーに関しては2021年末から販売が開始されたものの、価格がDDR4の2倍近くすることや当時最新鋭のIntel製CPUのAlder Lakeに対応するマザーボードがDDR4とDDR5のどちらかを選択できる構成になっていたことから、トータルコストが安く済むDDR4に人気が集中していました。
しかし、2023年に入るとDDR5の価格は発売当時の半分程度にまで値下がり、DDR4の価格と並ぶのも時間の問題とも見られていましたが台湾のDigitimesによると、DDR5を構成するDRAMやPMICなどの部品供給量が減少している一方で、需要が増えていることから価格の下落が鈍化し、近いうちに横ばいとなる可能性が出ているようです。
DDR5 Price Drops Stalling Because of Supply Constraints: Report | Tom’s Hardware
Digitimesによると、供給側と需要側のバランスが崩れ始めているとのことです。供給側ではDDR5を構成する部品の内、DRAMチップについてはSamsungやMicron、SK HynixなどがDRAM供給量をPC需要の減少から減産を行っている他、特にDDR5向けメモリチップについて出荷の遅延が発生してしまっているようです。、また、DDR5の電圧を制御するPMICについてはサーバー向けのDDR5 RDIMMと既存のPMICの間で互換性の問題が生じているようで、サーバー向けに供給されるPMICについて供給が滞っているようです。このPMICの問題はコンシューマ向けには直接問題を与えるものではありませんが、PMICを製造するメーカーとしてはより収益をあげられるサーバー・データセンター向けの供給を優先するため今後、コンシューマ向けPMICに影響を与え、結果的にDDR5の価格低下のペースに影響を与える可能性が出ています。
一方で、需要側でも変化が出てきているようです。過去にはIntelはDDR4とDDR5に対応するマザーボードを出しており、AMDではDDR5対応マザーボードがありませんでした。しかし、2022年末からAMDはDDR5にのみ対応するRyzen 7000シリーズを発売し、2023年にはエントリー向けマザーボードも発売するなどDDR5を標準的に使うマザーボードが普及し始めています。また、Intelに関しても2023年4月ごろからエントリー向けのH610でDDR5対応化をすすめるとともに、DDR4対応マザーボードについては徐々にフェードアウトさせる方針が明らかになっています。このようなDDR5の需要側でも変化が起きており、2021年から2022年に比べて2023年では需要が大きくなってきているようです。
このように供給側と需要側のバランスが大きく崩れることでDDR5価格については価格下落が最終的には停滞してしまう状況にあり、DDR4並に価格になる時期についても後退する可能性が出てきているようですので、価格が今以上に大きく下がると期待するしないほうが良いと言えそうです。
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