RTX 3080でゲームがクラッシュする不具合が発生中

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9月17日に発売開始されたRTX 3080ですが、各カスタムGPUメーカーが出すRTX 3080の一部でゲームが落ちるなどのトラブルに見舞われているようです。この原因として海外のテック系サイトでは、GPUメーカーがNVIDIAが提示した仕様と違うコンデンサーを使ってしまった事で発生している可能性が指摘されています。

RTX 3000シリーズの最新情報はこちらへ

目次

続報(最新ドライバー適用で不具合低減が確認

NVIDIAがリリースした最新のGeForce 456.55ドライバーを適用した場合、Crash To Desktop不具合の減少または完全な解消が報告されています。ただし、PC Worldの記事によると、このドライバーではブーストクロックを2GHz以下に抑制していると見られています。

NVIDIAドライバダウンロード

一部RTX 3080でCrash To Desktop (CTD)不具合が発生中

9月17日の発売当初、全世界で極度な品薄状態となったRTX 3080。そのため、発売当日やその近辺で入手できたのは一部のレビュアーや運のいい人だけに留まっていました。
しかし、レビュアーや一部の運の良い人達の間でベンチマークやゲーム中にデスクトップに戻されてしまう(ゲームが落ちる)現象である『Crash To Desktop (CTD)』が発生している模様です。

問題発覚までの時系列の流れ

  1. 9月15日:GPUメーカーであるColorfulがシステムが不安定になる不具合を一部の予約ユーザーへメールを送付(非公式)
  2. 9月17日:RTX 3080を購入できた一部ユーザーの間でCTD問題が発生。この時点ではレビュアーなどからこの問題が発表されてはいなかった模様。
  3. 9月23日:ドイツのPCパーツレビューサイトであるComputerBaseでBoostClockが2GHz以上などある値を越えると、ゲームが落ちてしまう問題について記事がリリース。
  4. 9月25日:igor’s LABにてこの問題に関する分析記事が掲載
  5. 9月26日:一部のカスタムGPUメーカーが公式声明をリリース

CTDの原因はNVIDIAが定めるガイドライン外のコンデンサーに替えた事?

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ignor’s Labsに掲載されている図面。赤のPOSCAPsが5つ、緑のMLCC1セット(10個)

この問題の原因と言われているのが、GPUチップの裏に付けられているコンデンサー仕様と見られています。RTX 3080では、バックプレート付きのデザインでもこのGPUチップ裏のコンデンサーが露出している事が多く、すべてのモデルで大きなコンデンサー6つが搭載されています。

このコンデンサーは電圧が安定するように電圧を整流する役割を担っておりより、高いクロックでの動作では特に重要となります。

この問題が最初に報告された際には多くのユーザーがブーストクロックである2GHzを越える動作をしており、この電圧整流の必要性が非常に高い領域での話でした。

ガイドラインではPOSCAPsを5つ、MLCC1セットだったが・・・

カスタムGPUを各メーカーが作る際、NVIDIAが示すガイドラインに沿って設計する事が推奨されています。NVIDIAでは、RTX 3080ではPOSCAPsを5個、MLCCを1セット(10個)と言う組み合わせがガイドライン図面で出されていました。しかし、多くのGPUではPOSCAPsを6つ装備し、MLCCを1セットも装備しないメーカーが多く、結果的にオーバークロック耐性が非常に低い個体が出来上がったと見られています。

根本的な原因はチェック時間不足

一部のサイトでは、GPUメーカーは利益を優先してPOSCAPsを多く装備したような見方がされていますが、一概にそうとも言えません。MLCCとPOSCAPsの違いですが以下のようなメリットとデメリットがあります。

MLCC

  • 小型(+)
  • 低コスト(+)
  • 高電圧耐性(+)
  • 高クロック耐性(+)
  • ハンダ割れ(ー)
  • 高温耐性への悪さ(ー)

POSCAPs

  • 大きい(ー)
  • 高コスト(ー)
  • 高電流耐性(+)
  • 高温耐性(+)
  • 高クロックに弱い(ー)
  • 高電圧に弱い(ー)

メリット・デメリットを見ると、POSCAPsやMLCCはどちらが優れているという物ではなく、双方のバランスは特性を見計らいながら試作品を製作し確認するようなモノになります。
しかし、NVIDIAからカスタムGPUメーカーに設計図が送られてきてから発売までの時間は短く、十分な仕様検討や実機での安定性の確認ができません。

実際に、EVGAは以下のような声明を出しており、確認時間不足が示唆されるような声明になっています。

Recently there has been some discussion about the EVGA GeForce RTX 3080 series.

During our mass production QC testing we discovered a full 6 POSCAPs solution cannot pass the real world applications testing. It took almost a week of R&D effort to find the cause and reduce the POSCAPs to 4 and add 20 MLCC caps prior to shipping production boards, this is why the EVGA GeForce RTX 3080 FTW3 series was delayed at launch. There were no 6 POSCAP production EVGA GeForce RTX 3080 FTW3 boards shipped.

But, due to the time crunch, some of the reviewers were sent a pre-production version with 6 POSCAP’s, we are working with those reviewers directly to replace their boards with production versions.
EVGA GeForce RTX 3080 XC3 series with 5 POSCAPs + 10 MLCC solution is matched with the XC3 spec without issues.

翻訳

弊社での量産前品質確認試験にて、POSCAPs6個を装備した仕様では実環境での動作に問題がある事が判明しました。設計部門は約1週間に渡り原因究明を実施した結果、POSCAPs4個、MLCC2セットに設計変更を実施し、量産仕様に適用する事となりました。そのため、EVGA GeForce RTX 3080 FTW3シリーズの発売が遅延する事となりました。

一方で、限られた時間しかなかった事から一部レビュアーにはPOSCAPs6個を装備したモデルが送付されています。弊社では送付されたレビューユニットを量産仕様に交換を実施し、問題が発生しない事を確認しています。

ASUSは公式発表はしていないものの、RTX 3080の発売がEVGA同様に遅れています。しかし、コンデンサーはPOSCAPs4つ、MLCC2セットを装備しているとされている事が確認されています。
ASUSも恐らく事前テストなどで安定性に問題がある事が判明し急遽設計変更をするために発売が遅れている可能性が高いです。

一方で、最も確認時間が取れていると考えられるNVIDIA製のFounders EditionではPOSCAPs4個、MLCC2セット(20個)とガイドラインとは異なる仕様ですが、CTD問題は報告されていないなど、この確認時間の長さがCTD問題の大きな要因と考えられます。

RTX 3080を持っている人、これから買う人はどうするべきか

RTX 3080を持っいる人は・・・

この問題の多くはブーストクロック時に2.0GHzを越える領域で発生しています。

そのため、MSIのAfterburnerなどで50MHz程度のアンダークロックやPower Limitを95%程度に抑えるだけで改善される事が報告されています。

既にRTX 3080を持っておりこのCTD問題に悩んでいる方が居るとしたら、現時点ではこれしか解決法は見つかっていないようです。

50MHzのアンダークロックでパフォーマンスに大きな影響が出るとは考えられず、ゲーム途中で落ちるよりは性能を犠牲にした方がベターなのでこれが最も現実的な方法と思われます。

メーカーによってはリコールに踏み切る可能性が出てきていますので、最新情報を公式ページなどで確認する事をお勧めします。

これからRTX 3080を買おうと考えている人は・・・

これからRTX 3080を買おうと思っている方は以下のRedditのGPUメーカーのコンデンサー仕様をまとめたサイトを見る事をお勧めします。

The possible reason for crashes and instabilities of the NVIDIA GeForce RTX 3080 and RTX 3090 | Investigative | igor´sLAB : nvidia

現時点で、POSCAPs6個は安定性に大きな問題が出る事は確認されているため、ここでPOSCAPsとしか書かれていないGPUは購入候補からは外した方が今は無難かもしれません。

この問題はRTX 3090でも起きているとされていますが現時点では発売間もないため情報が少ないです。

RTX 3000シリーズですが、発表時点での期待値が高かった分様々な粗相が重なっている所が気になります。日本では大きな問題になりませんでしたが、アメリカでは転売ヤーがbotを駆使し、対策を全くしていなかったNVIDIA公式販売サイトの在庫をほぼすべてかっさらわれたり、そもそもリリース時の在庫が無いに等しかったりと発売時にユーザーを怒らせるミスを重ねていました。そして、今回運よく発売日に手に入れたユーザーからはCTD問題が報告されてしまうなど、非常に急いでリリースした事が感じられます。今後、RTX 3070が10月15日に発売が予定され、VRAM増量版も近々用意されるとされていますが、このCTD問題が発売日などに影響してくるのかまた、既にPOSCAPs6個で出したメーカーは、POSCAPsとMLCCのバランスを適正化した商品を改良版としてユーザーに分かる形で出すのかどうかが気になる所です。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 日本語のページの中では一番正確に解説されていると思いました。
    デタラメ記事やtwitterが多い中、英語ページを見せても読んでもくれない人が多いので、日本語ページ助かります。
    ところで、9/28のGeForceドライバ456.55で問題解消との噂です。(ご存知だとは思いますが)

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