P-Coreのみ搭載 Core i9-14901KEのベンチマーク登場。P-Coreを8コアで16コア搭載のCore i9-12900KSを超える性能を発揮
Intelは現行のRaptor Lake Refreshモデルに対してE-Coreをすべて廃止し、P-Coreのみ搭載する『Eバリアント』CPUを合計11モデル投入すると発表しました。今回、このEバリアントの中で最上位モデルでオーバークロックも可能なCore i9-14901KEのGeekbench 6ベンチマークの結果が登録され、想像以上に高い性能が明らかになりました。
Core i9-14901KEは8コアのP-Coreのみ搭載し、16スレッドで構成されるCPUです。カタログスペックでは動作クロックはベースが3.8 GHz、ブースト時は最大5.8 GHzですが、今回のベンチマークでは最大5.5 GHzに設定された状態で計測が行われています。このCPUはTDPが125Wに設定されているため、オーバークロックが可能なCore i9-14900Kとほぼ同じ仕様になっています。
計測に使用されたPCはCloudSkyと呼ばれるサーバー向け製品を取り扱うメーカー製のマザーボードを搭載しているため、サーバー向け製品のサンプルとしてベンチマークが掲載されていると見られています。ただ、このCore i9-14901KEはオーバークロックが可能な仕様になっているため、サーバー向け以外にもコンシューマー向けとして登場する可能性が指摘されています。
Core i9-14901KEのベンチマーク結果は、シングルコアで3018ポイント、マルチコアで16308ポイントを記録しています。
CPU | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|
Core i9-14900K | 3086 | 20863 |
Core i9-13900K | 2983 | 20189 |
Core i7-14700K | 2946 | 19209 |
Ryzen 9 7900X | 2926 | 17850 |
Core i7-13700K | 2842 | 17649 |
★Core i9-14901KE | 3018 | 16308 |
Core i9-12900KS | 2672 | 16104 |
シングルコア性能はCore i9-14900KのP-Core側と動作クロックなど仕様が変わらないため、同等レベルの性能を発揮しています。現時点で登場しているIntel CPUとしては上位で、上にはRyzen 9000シリーズぐらいしか存在しないレベルになっています。
マルチコア性能としてはCore i9-14901KEには16コアのE-Coreがないため、Core i9-14900Kに対して約20%劣る性能になっています。しかし、性能自体は非常に高く、8P+8E構成のCore i7-13700Kに8%劣る程度で、Core i9-12900KSに対しては若干上回る性能を発揮しています。P-Coreを8コアのみ搭載という構成ですが、非常に高い性能を示しています。
第12世代デスクトップ向けCPU以降に投入されているハイブリッドアーキテクチャーではP-Coreに加え、省電力かつ高効率なE-Coreを備えていますが、最適化されていないワークロード、例えば一部のゲームではE-Coreが邪魔をして性能が下がったり、E-Coreに電力が使われる分、P-Coreの動作クロックが下がるなどのデメリットが生じる場合もあります。
そのため、このCore i9-14901KEではE-Coreがないため、これらのデメリットが解消され、ゲーミング時のパフォーマンスの向上が期待できるCPUになっています。さらに、E-Coreがない分、CPUの価格も下がることが期待できるため、仮にコンシューマー向けにこのCore i9-14901KEが発売された場合、注目を集めるCPUになるかもしれません。
Core i9-14900KはE-Coreを16コア搭載することでベンチマークで高い性能を発揮していますが、ゲーム重視で使う場合にはE-Coreの有無はそれほど重要ではないケースも多いです。そのため、Core i9-14901KEでE-Coreがない分、Core i9-14900Kより安価で発売されれば魅力的なCPUとなるでしょう。LGA1700はライフサイクル末期であり、Raptor Lake系CPUの信頼性には傷がついてしまいましたが、再び人気を戻せる起爆剤になるかもしれません。このCore i9-14901KEが一般販売されることに期待したいところです。
CloudSky GR_SERVER0001 (Core i9-14901KE) | Geekbench 6
コメント