Intelが2023年1月12日にデフォルト設定で最大6.0 GHzで動作するRaptor Lake-S最上位モデル、Core i9-13900KSを発売し、その価格や性能、そして驚異的な消費電力について明らかになりました。
Intel Core i9-13900KSが発売開始。価格は12.4万円からで消費電力は最大320Wに。
Intelでは2022年10月に発売したRaptor Lake-Sシリーズの最上位モデルとしてCore i9-13900KSを既に発表していますが、このCore i9-13900KSが2023年1月12日に発売が開始されました。
Core i9-13900KSについてはCore i9-13900Kをベースとしているため、コア数やキャッシュ容量などに変更ありませんが、P-Core側の動作クロックはTurbo Boost 3.0時には最大5.8 GHzで動作、Thermal Velocity Boost時は最大6.0 GHzで動作する設定になっています。この6.0 GHzと言う数字は市販されているIntel製CPUとしては初めて達成する領域になります。
ベースの動作クロックについてもP-Core側は変更が加えられており、Core i9-13900Kより200 MHz高い3.2 GHzでの動作が基本となっています。この設定によってCPUのベースTDPについては125Wから150Wと引き上げられています。また、MTPについてはCore i9-13900Kと同じ253Wに設定がされていますが、電力制限を解除する設定である『Extreme Power Delivery Profile』を適用すると消費電力は最大320Wで動作するとの事です。この320Wでの動作はIntelの保証範囲内であるとの事です。
ちなみに、320Wと言うと2022年11月16日に発売がされたNVIDIAのGeForce RTX 4080と同じ消費電力となります。
ベンチマークは最大6%高いスコアを記録するも、ゲーミング性能は4%増しに留まる。Ryzen 9 7950X3Dに対抗は難しい?
通常、IntelやAMDでは新しいCPU、特に最上位モデルとなるとレビューサンプルをメディアに向けて送付し、発売前にレビューを掲載してもらうという事をよくしますがIntelのCore i9-13900KSについては6.0 GHzと言う話題性のある製品にも関わらず発売前にレビューサンプルが送付される事は無かったようですが、Hardware UnboxedではフライングでCore i9-13900KSを入手したようで、発売日に合わせる形でCore i9-13900KSのレビューを掲載しています。
Cinebench R23においてはCore i9-13900KSはCore i9-13900Kに対してシングルコアでは6%、マルチコアでは5%高いスコアを記録しています。また、BlenderやPhotoshopなどクリエイティブ用途でのパフォーマンスは1~5%台の向上を記録しているとの事です。
ただ、ゲーミングにおいては最大6.0 GHzと言う高い動作クロックによりCore i9-13900Kより1.8%高い平均フレームレートを出せてはいますが、クリエイティブ用途のように5%に届かない伸びになっています。
消費電力についてはデフォルト状態ではCore i9-13900Kより素性の良いダイが使われている事もあり高い動作クロックでありながら低い電圧での動作となっているとの事です。そのため、システム全体での消費電力はCore i9-13900KSの方が高い動作クロックであるにも関わらずCore i9-13900K並みの性能となっています。
V-Cache搭載Ryzen 7000シリーズは2月発売。Core i9-13900Kより最大24%高速
なお、AMDでは2023年2月14日を目途に3D V-Cacheを搭載したRyzen 9 7950X3D、Ryzen 9 7900X3D、Ryzen 7 7800X3Dを発売しますが、この中で最上位のRyzen 9 7950X3DについてはCore i9-13900Kを最大24%上回るゲーミングパフォーマンスを発揮すると言われていますので、オーバークロックで9 GHzを超えたいという方以外にこのCPUを買う意味はあまり無いように考えられます。
余談:Intelの2002年に立てた目論見では6.0 GHzは2005年に達成できるはずだった
Core i9-13900KSがデフォルト設定で6.0 GHzに達成するのは市販されているCPUとしては世界で初めてなのですが、Intelが2002年に立てた目論見ではこの6.0 GHzは2005年ぐらいで達成できるはずだったようです。
ちなみに、このスライドで『2010年頃に出現する10nmでは30 GHzに達成している』とコメントしているのはIntelの現CEOのPat氏(当時はCTO)だったようです。残念ながら10nmはIntelの予想より約10年遅れの2019年に登場し、30 GHzは恐らく既存のシリコン製半導体では不可能と見られています。
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