Intelのデスクトップ向け第12世代CPU、Alder Lake-SではCore i9-12900Kが最上位モデルに位置しますが、ここからCPUの選別を行った特殊モデルであるCore i9-12900KSが間もなく投入される模様です。
3世代ぶりのKSバリアント、Core i9-12900KS投入へ
Intelでは2021年11月4日よりCore i9-12900Kなど複数のデスクトップ向け第12世代CPUを投入しています。この中でCore i9-12900Kは現時点では最上位モデルに位置しており、P-CoreおよびE-Coreを8コアづつ搭載し、24スレッドまで対応し、動作クロックはP-Coreは全コアブースト時は仕様上は5.0GHzとなっています。
そんな、Core i9-12900Kに対してIntelでは更に動作クロックの向上を狙った特殊モデルであるCore i9-12900KSの投入を近々予定している事がVideocardzが入手したリークより明らかになっています。
末尾に「KS」が付くバリアントについては第9世代CPUであるCoffee Lake-S Core i9-9900KSでリリースがされていますが、その後に登場するComet Lake-S、Rocket Lake-Sなどではリリースされておらず、Alder Lake-Sでリリースされれば3世代ぶりの登場となります。
P-Coreの動作クロックは全コアブースト時で5.2GHz以上に設定される見込み
Core i9-12900KSについては現行のCore i9-12900Kからより高い動作クロックでの安定動作が可能なCPUのみをあらかじめ選別したものが割り当てられるモデルになります。
そのため、VideocardzではこのCore i9-12900KSについては全コアブーストは5.0GHzを超え、5.2GHz程度まで仕様上保証され、1~2コア時のブースト時では最大5.3GHzまで安定しての動作が保証される仕様になるとの事です。
なお、TDPについてはPL1は125Wを据え置く見込みになっていますが、ターボブースト時のTDPであるMTPについては現行と同じく241Wに据え置かれるかは不明となっています。
発表はCES2022で実施へ。投入理由はAMDのRyzen 3D V-Cache?
このCore i9-12900KSについてはCES2022にて発表が行われる見込みになっており、発売もほぼ同時期に行われると見られています。
Intelがなぜ3世代ぶりにKSバリアントを投入するかですが、これはAMDが同じくCES2022にて投入を予定しているRyzen 3D V-Cacheモデルに対する対策と見られています。
Ryzen 3D V-Cacheモデルでは64MBのL3キャッシュを搭載するRyzen 9 5950Xに対して新たに3D V-Cacheと呼ばれる64MBのL3キャッシュ相当のダイを各CPUダイ上に重ねて搭載し、CPU合計では192MBのキャッシュを備えるモデルとなる予定です。この3D V-Cacheを搭載する事でゲーミング時のパフォーマンスは平均15%ほど改善される事がプロトタイプモデルで明らかになっています。
現時点でCPUベンチマークではCore i9-12900KとRyzen 9 5950Xを比較するとRyzen 9 5950Xの方がスコアが有利となっています。一方でゲーミング時のパフォーマンスについてはシングルコア性能が高いCore i9-12900Kの方が有利と言う事がレビューなどで明らかになっています。しかし、差は5%以内に留まっており、AMDが言う通り15%のパフォーマンス向上が実現すればCore i9-12900Kでは歯が立たない事態となります。このような事態を防ぐために、性能を最大にまで引き上げたCore i9-12900KSの投入を計画しているようです。
デスクトップ向けのAMD Ryzen 9 5950Xを搭載したラップトップが登場
TechPowerUPが実施したレビューを見ると、Core i9-12900Kでのゲーミング時パフォーマンスを100%と据え置くと、Ryzen 9 5950Xは98.4%を記録しているため差はあるものの大きくはありません。そのため、3D V-Cacheを搭載したRyzenに関するベンチマークなどのリークはあまり出ていませんが、実際にゲーミング時のパフォーマンスがCOMPUTEXで発表された通り15%も向上するとなると例えIntelがCore i9-12900KSを出しても歯が立たない可能性はありそうですね・・・
まぁ15%はメーカーの発表値ですので若干盛られている可能性はありますが、それでもIntelにとって脅威なのは確実で、出来る限りの対策は行おうとしているという事だけは分かります。