Core i9-12900Kが5.2GHzにオーバークロックすると330Wの消費電力を記録したという話がありましたが、P-Coreを全て5.3GHzにオーバークロックしてAIDA64を動かすと400Wを記録する事が判明しました。
Alder Lake-S | Core i9-12900Kを5.3GHzにオーバークロック
Intelでは2021年11月4日に12世代CoreシリーズであるAlder Lake-Sと対応マザーボードであるZ690を発売しますが、発売日が迫ってる事もあり様々な環境でベンチマークが取られ、情報がリークしている状態が続いています。
最近ではAlder Lake-S最上位モデルであるCore i9-12900Kを5.2GHzにオーバークロックしてCPU-Zベンチマークの記録とその時の消費電力が330Wを記録したという話が中国のSNS Bilibiliのユーザーによって掲載されました。
そんなCore i9-12900Kですが、同一ユーザーからまた新たな投稿が行われ今回はCore i9-12900Kを5.3GHzにオーバークロックしてのCPU-Zベンチマークと更にAIDA64ストレステスト時の消費電力について掲載されました。
CPUモデル | P-Core | E-Core | 合計 コア / スレッド数 | P-Core ベース / ブースト(最大) | P-Core ブースト(全コア) | E-Core ベース / ブースト(最大) | E-Core ブースト(全コア) | L3キャッシュ | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Intel Core i9-12900K | 8 | 8 | 16 / 24 | 3.6 GHz / 5.3 GHz | 5.0 GHz | 2.7 GHz / 3.9 GHz | 3.7 GHz | 30 MB | 125W (PL1)~250W? (PL2) |
Intel Core i7-12700K | 8 | 4 | 12 / 20 | TBC / 5.0 GHz | 4.7 GHz | TBC / 3.8 GHz | 3.6 GHz | 25 MB | 125W (PL1)~250W? (PL2) |
Intel Core i5-12600K | 6 | 4 | 10 / 16 | TBC / 4.9 GHz | 4.5 GHz | TBC / 3.6 GHz | 3.4 GHz | 20 MB | 125W (PL1)~250W? (PL2) |
全コア5.3GHzにオーバークロックするとRyzen 9 5950Xを2%上回る
今回、Bilibiliに掲載されたCore i9-12900KのCPU-ZベンチマークはP-Core側を全コア5.3GHzに固定して計測が行われたようです。
P-Core側をすべて5.3GHzに固定してでのCPU-Zベンチマークスコアはシングルコアが869.8pt、マルチコアが12132.5ptを記録しています。前回の5.2GHzで固定した際はシングルコアは851pt、マルチコアは11986.9ptでしたので、前者に対しては2%、後者に対しては1.2%オーバークロックする事で伸びています。
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なお、Ryzen 9 5950Xではシングルコアは648pt、マルチコアが11906ptという事でCore i9-12900K@5.3GHzではシングルは34%、マルチコアにおいては2%ほどスコアで先行しています。
AIDA64動作で400Wを記録、1分以上動作は不可な模様。電圧調整の余地あり
CPU-Zのベンチマークを行った際には約300Wほどの消費電力が記録されたとの事です。CPU-Zに記録されているRyzen 9 5950Xのスコアは恐らく定格のため多くても250W程度の消費電力となるため、マルチコア性能についてはCore i9-12900Kが上回っている状態ですが、ワットパフォーマンスで考えるとRyzen 9 5950Xの方がこのリークのデータだけで見れば優れているようです。
さらに今回はCPU-Zベンチマークの他に、オーバークロックを行った状態でAIDA64ストレステストをを実施しており以下のように記載されています。
Cooling limit! AVX Roar 400W! 12900K Pcore Full Core 5.3G, Ecore Auto 3.7G, Vcore voltage 1.44V.
Even if the CPU-Z test power consumption for a pure SSE is close to 300W, the AIDA64 AVX burner lasts only one minute, and even if the cold drain is soaked in ice water, it will overheat and shut down directly.enthusiastic citizens stroke strange dynamics – beeps (bilibili.com)
まとめると、P-Core 5.3GHz、E-Core 3.7GHz、VCore電圧は1.44Vに設定した状態でAIDA64を動かすと400Wの消費電力を記録したとの事です。
さらに5.3GHzでのオーバークロック状態では1分間の動作で冷却能力の限界に達するようで、強制的にシャットダウンが行われるとの事です。
この投稿主がどのようなCPUクーラーを使っているかは不明ですが、一般的に400WのTDPに耐えられるCPUクーラーと言うと240mm以上の水冷クーラーが必須となりそうです。それでも5.3GHzにオーバークロックして動作させるとヒートスプレッターが放熱できる以上の発熱量が発生するため、どんなに冷やしてもオーバーヒートすると投稿主は語っているため相当な発熱量が予想されます。
オーバークロックを行うと非常に高い消費電力を要求するCore i9-12900Kですが、同じ投稿主によると電圧を調整する事で全コアを4.9GHzで動作させた状態でだいたい220W程度にまで消費電力を抑える事が出来たとも報告しているため、最適化を行えば5.3GHzでも300W中盤ぐらいまでは抑えられるかもしれません。
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Core i9-12900Kについてはオーバークロックを行わなくてもAdaptive Boost TechnologyやThermal Velocity Boostなど温度と電力に余裕があれば限界まで動作クロックを上げる機能が搭載されていますので、手動でのオーバークロックは消費電力の割りに大して性能良化の恩恵を受けられない気がします。
また、P-Coreに採用されるGolden Coveは最新アーキテクチャーである事や、5.3GHz動作で高い負荷をかけると1分も持たないなどオーバークロック耐性については期待をしない方がいいと思います。
Ryzen Threadripperではフルロードで400W程度の消費電力を記録する事はありますが、CPUパッケージの大きさは58.5mm x 75.4mm(4410mm2)と巨大です。そのため、400WでもCPUダイからヒートシンクに熱を移せますが、Alder Lake-Sでは37.5mm x 45.0mm(1688mm2)と大きさが2.6倍も異なります。その状態で400Wもの発熱が発生すれば1分も持たないのが納得できます。もしかしたら、ヒートスプレッターを外してダイを直接冷やせば少しはチャンスはありそうですが、Linus Tech Tipsとかがその内やってくれそうですね。
一方で、全コア4.9GHzでも電圧を下げると220W程度にまで消費電力を抑える事が出来るという話もあるので、もしかしたら、Intelの初期設定では電圧設定などは大きくバッファーを取ってある可能性はありそうです。そのため、性能を維持したまま電圧を下げ、消費電力を下げるアンダーボルトが非常に捗るCPUになるかもしれません。
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