【注意】AMD Ryzen 7 7800X3Dの偽物が出現。ダイなしだが箱やCPU本体を見てもわからない精巧な作りに
AMDのRyzen 7 7800X3Dは、高いゲーミング性能を持つことからソケットAM5対応CPUとして非常に高い人気を誇るモデルですが、この人気を悪用した詐欺が海外で横行しているようで、実際に被害に遭う事例も報告されています。
ドイツのテック系YouTuberであるDer8auer氏によると、ルーマニアの個人ユーザーが新品で購入したRyzen 7 7800X3Dがまったく動作せず、電圧計でパッド部分を計測しても何も反応がなかったとのことです。この偽物のCPUは、OLXと呼ばれる売買プラットフォームを通じて定価より€80安い€300で購入されたものでした。
外観はほぼ同じだがフォントやヒートスプレッダー、基板の薄さに違い
この偽物のRyzen 7 7800X3Dは、見た目は普通のRyzen 7000シリーズとほとんど変わらず、ぱっと見では偽物と判別することが難しい仕上がりです。ただ、細かい点を見ると違いが見受けられます。例えば、基板にあるキャパシターに半透明のノリが付いていなかったり、基板の色がRyzen 7000シリーズで見られる深緑から、Ryzen 9000シリーズで見られる青っぽい色に変わっています。
また、CPU基板部分の厚さも異なり、通常のRyzen 7000シリーズでは基板の厚さが1.3mmあるのに対し、この偽物のRyzen 7 7800X3Dは0.96mmと薄くなっています。そのため、マザーボードのソケットに挿入する際、マウントが非常に簡単に閉まり、触った際の感触も明らかに異なるとのことです。しかし、この点は日常的にRyzen CPUを扱っているDer8auer氏だからこそ違和感を感じられるものであり、初めてRyzen 7000シリーズのCPUを触るユーザーには気づくのが難しいでしょう。
本物と偽物を横並びで比べてみると、ヒートスプレッダーに刻印されている文字が薄くなっていることが分かります。また、Ryzen 7 7800X3Dと書かれているフォントも、本物に比べて若干細くなっており、ヒートスプレッダーの細い足部分も本物に比べると偽物の方が若干太くなっているなど、細かい部分に違いがあります。ただ、これらの違いは、偽物の画像が例えばヤフオクなどに出品されていたとして、見ただけで偽物と判断するのはかなり難しいでしょう。
ヒートスプレッダーの中にはダイはなし。箱とCPU記載のシリアル番号も一致させるなど精巧な偽物
ヒートスプレッダーを外すと、内部にはダイがない状態です。また、ヒートスプレッダーには出っ張りが設けられており、これによってCPU本体を横から見た際にCCDやI/Oダイがあるように見せかけています。これらは非常に悪質な手口です。
偽物CPUでは、よく本物の化粧箱を入手し、その中に偽物のCPUを詰め込む手法が用いられますが、このRyzen 7 7800X3Dの偽物は箱に記載されているシリアル番号とCPU本体に刻印されているシリアル番号が一致しているなど、非常に巧妙に作られています。これにより、ユーザーが購入後にトラブルシューティングを行い、偽物であると判断するまでに時間がかかる仕組みとなっています。
ヤフオクやメルカリは要注意。Amazonなどで購入したRyzen 7 7800X3Dにも注意が必要か?
今回、偽物のRyzen 7 7800X3Dが発見されたのはルーマニアですが、その精巧さから、ルーマニアだけでなく欧州全土、アメリカ、そして日本にもこの偽物が流入し、悪用される可能性が高いと考えられます。特にヤフオクやメルカリなどの個人売買プラットフォームでは、メーカー保証は当然ないうえ、運営体制も脆弱なため、詐欺被害に遭っても当事者間で解決するよう求められることが多く、被害に遭った場合、泣き寝入りする可能性があります。このような個人売買プラットフォームで売られている偽物は、定価よりかなり安く販売されていることが多いため、新品にもかかわらず魅力的な価格で販売されている製品には注意が必要です。
また、CPUを購入する際にAmazonを利用することもあるかもしれませんが、悪質なマーケットプレイスのほか、Amazonが出荷した製品であっても、返品された製品が偽物にすり替えられて再度出荷される可能性も考えられます。そのため、可能であればドスパラやパソコン工房など、初期不良以外の返品を基本的に受け付けない量販店で購入した方が安心です。
AMDのRyzen 7 7800X3Dは非常に人気の高いCPUであり、その価格もそこそこ高いため、このような詐欺のターゲットになったと考えられます。この偽物Ryzen 7 7800X3Dは細かな点で本物と違いがありますが、ぱっと見では見分けがつかないほど精巧であり、化粧箱とCPU本体のシリアル番号も一致させるなど、かなり手が込んでいます。これらのことから、個人レベルの詐欺ではなく、詐欺集団が関与している可能性が高いです。現時点では被害例は少ないようですが、今後日本でも流通してくる可能性が十分考えられるため、少なくともRyzen 7 7800X3Dに関しては、ヤフオクやメルカリなどの個人売買プラットフォームを利用する際、出品者の評価などを十分に確認し、リスクを避けることが重要です。
Beware! Fake Ryzen 7800X3D CPUs are being sold
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