IntelのArc Alchemistについてはキャンセルされる噂や大手AIBが生産を取りやめるなど悪いニュースが立て続けに出ていますが、Arc Alchemistで搭載されるAV1エンコーダーについては低ビットレートでも高い画質でエンコードが可能なようで配信者にとっては最適な存在になるかもしれません。
Intel Arc Alchemistで初搭載となるAV1エンコーダー
Intelから間もなく発売がされると見られているディスクリートGPUのArc Alchemistでは当初想定されたシェアや収益を確保できない可能性がありキャンセルされる可能性や、大手AIBが生産を取りやめるなど悪いニュースが立て続けに出ており、発売自体が危ぶまれているような状況にあります。
そんなArc Alchemistですが、実はこのグラフィックカードではNVIDIAのGeForce RTX 3000シリーズやAMDのRadeon RX 6000シリーズには搭載されていないAV1エンコーダーが搭載されています。このAV1とはH.264やH.265と言った動画の圧縮方式でH.265などとの大きな特徴はオープンソースでライセンス料が不要かつH.265やその次のH.266並みに優れた圧縮効率を誇る動画圧縮方式になっています。
今回、Arc Alchemistに搭載されているAV1エンコーダーの実力について海外のYoutuberが検証しているのですが驚くぐらい素晴らしい結果を出せているようです。
H.264のCPUエンコード並みの画質も実現するAV1エンコーダー
AV1エンコーダーの紹介をしているEposVoxではGPUエンコーダーのNVIDIA NVEnc H.264とAMD AMF H.264、Intel QSV H.264とCPUでエンコードするX264 Very SlowとArc Alchemistに初搭載されるAV1エンコーダーの実力値を検証しています。
検証方法としてはNetflixなどで使われている映像評価方法であるVMAFが使われており、グラフ上ではオリジナルに対する忠実度がパーセンテージで示されています。100%ならオリジナルと同じで、ノイズが入るなどするとオリジナルと異なるという事で数字が小さくなって行きます。
Apex Legendsの動画においてはArc AlchemistのAV1エンコーダーは3500kbpsのビットレートにおいては80%近いスコアを出しており、CPUでのエンコードであるX264 Very Slowを上回り、NVEncやAMFなどGPUエンコーダーに対しては大幅な差を付けています。
画質的には3500kbpsのAV1エンコーダーの画質はNVEncの6000kbpsと同等であるため、AV1エンコーダーを使えばNVEncの約半分のビットレートで配信しても同じ画質になるなど配信者側そして視聴者側にとってもメリットがあります。
また、これは低ビットレートのみならず6000kbpsや8000kbpsにおいてもAV1エンコーダーはX264 Very Slowに迫るようなスコアを出しておりNVEncやAMFに対しても大きな差をつけた結果となっています。
Apex Legendsのプレイ画面を3500kbpsでエンコードしたワンシーンではNVEncでは全体的にぼやけた画質になっていますが、AV1では画面全体のディテールが保たれた画質になっています。
ただ、AV1エンコーダーにも弱点はあるようで、SPLITGATEにおいては3500kbps状態ではどのエンコーダーよりも優れた結果を出せていましたが、6000kbpsや8000kbpsなどビットレートが上がるにつれてスコアが伸び悩み、6000kbpsからNVEncやAMFにも劣る結果になってしまっています。この辺りはドライバーやエンコーダーの調整不足と見られており、今後の改良などで徐々に修正が入っていくものと考えられています。
Arc Alchemistについては発売が延期されすぎて発売前から既に期待外れのような雰囲気も出ていますが、今回のAV1エンコード画質については他のグラフィックカードに比べて圧倒的であり配信者などにとっては選択肢としてArc Alchemistはアリかもしれません。
ただ、NVIDIAやAMDも次世代GPUで同じくAV1エンコード機能を搭載するとなるとArc Alchemistのアドバンテージは完全に無くなってしまう状態です。
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