IntelではNVIDIAとAMDが大多数のシェアを持つグラフィックスカード市場へ参入すべく、Arc Alchemsitと呼ばれるグラフィックカードを2022年中に投入を予定しており、最近のリークでは8月末までに発売がされると見られていましたが、どうやらこの話は中国のみの話で、他の地域では更に発売が遅れる可能性があるようです。
出るのか謎なArc Alchemist
Intel confirms desktop Arc will be China exclusive at launch – VideoCardz.com
IntelではNVIDIAやAMDに対抗するために、Arc Alchemistと呼ばれるディスクリートグラフィックスカードの開発を進めている事を発表しており、CES2022の段階では2022年Q1(3月まで)に発売する事をアピールしていましたが、製造元であるTSMCのキャパシティーやドライバーの調整などに時間を要しているためか、2022年4月中にはデスクトップ向けのArc Alchemistについては情報が出ていませんでした。
しかし、続報として5月初旬にwccftechがArc Alchemistのデスクトップ向けアッパーミドルレンジとエントリーモデルのGPUが6月から7月にかけて発売がされるというリーク情報を入手していましたが、その後にドライバー関連の最適化に手間取っており最悪の場合8月末まで遅れるのでは無いかと言う情報が出現しています。
そんな、Arc AlchemistですがIntelが公式に発売が遅れている事を認め、発売時期が夏終わりに予定されている事や、中国でまずは先行発売され、他の地域での発売は後回しになるという更に悪いニュースが入ってきました。
IntelがArc Alchemistの遅れを認める。ドライバーとロックダウンが影響
Engineering Arc – 5/9/2022 – Intel Communities
IntelのArc Alchemistの発売が遅れている事に対して、Intelのビジュアルコンピューティング副部門長であるLisa Pearce氏がIntelのブログにて状況を語っています。
Intel Arc Alchemistについて最新状況についてはIntelはOEM各社と発売に向けて前進しており既にモバイル向けArc AlchemistについてはSamsung製ラップトップに搭載され、韓国国内での発売が開始されています。今後はOEM各社と連携して世界各国での販売も計画していますが、一方でソフトウェア関連の準備遅延および中国でのロックダウンによるサプライチェーンに乱れによる影響を受けている状況にあります。
ただ、このような制約かでもSamsungやLenovo、Acer、HP、ASUSなどのOEMパートナーではラップトップ向けにArc 3シリーズGPUを搭載するモデルを発表し、発売に向けて準備を進めています。また、今後はArc 5、Arc 7などを搭載したモデルについても準備中で初夏を目途に発売がされると見られています。
Arc Alchemistの最新状況については主にラップトップ向け製品を主眼に置いた回答をしていますが、遅れの主な原因はソフトウェア関連(恐らくドライバーと見られています)と中国でのロックダウンによるものとの事です。ソフトウェア関連についてはリークで何度か言われていた通りでドライバー開発に手間取っていると見られており、これらはデスクトップ向けArc Alchemistの発売にも大きな影響を与えているものと見られています。
発売は生産地に近い順で中国先行に。パーツとしての発売は9月になる可能性も
Intelのブログにて、Arc Alchemistのデスクトップ向けの発売時期についてもLisa Pearce氏は語っていますがここ数週間出現しているリーク通り、かなり遅れるようです。
ラップトップ向けGPUと異なり、デスクトップ向けGPUでは様々なメモリーやマザーボードとCPUとの組み合わせで動作確認する事が必要なため、まずは組合せが限定されるOEM製PCから発売が出来るように準備を進めています。
発売については2022年Q2を目途に、まずはエントリーモデルであるA3シリーズを中国のOEM製PC向けに発売をします。また、パーツ単品での販売はその後すぐに中国での発売を予定しています。中国で先行して発売する理由としては、部品供給そして需要の関係から決定されています。
デスクトップ向けのA5およびA7シリーズについては夏終わり頃に世界各国で販売されるOEM製PC向けに供給が開始され、その後パーツ単品での販売が世界各国で行われる予定となっています。
このように段階的に発売を行う事で、Intelとしてはお客様へ効率的に販売が出来ると考えています。
デスクトップ向けArc AlchemistについてはエントリーモデルのA380がQ2、つまり6月までにリリースはされるものの、主に中国で販売されるOEM製PC向けに供給されるに留まるようです。また、パーツ単品での販売はその後と言う事で早くても7月となりそうです。
最も期待されているであろう、ミドルレンジのA5シリーズおよびA7シリーズについては中国先行とはならないものの、こちらもOEM向けが先行で供給が行われ、その予定が”Later this Summer”つまり夏の終わりとなっており、パーツ単品での販売はOEM向けに発売がされた後という事で最悪の場合、9月以降になる可能性が高いと言えます。
Intel初のグラフィックスカードは失敗に終わる可能性。AIBとの信頼関係にも影響
Intel Arc AlchemistについてはGPUの在庫がほとんどなかった2021年頃に発表がされ、手に入りにくく価格が高いNVIDIAやAMD製グラフィックスカードの救世主としてユーザーからは期待されていた存在でした。発売も2021年頃は2022年初旬発売予定という事で、もしこの通りにリリースがされていれば、GPU在庫が不安定でNVIDIAやAMD製GPUの価格は依然として高かったため、多少のリスクを冒してでも安く、手に入りやすいならIntel製GPUも選択肢に入っていたと見られます。
しかし、結局は2022年初旬には発売がされず、その間にGPUの在庫状況や価格は大きく改善がされている状態にあります。
今回Intel公式から早くても7月、遅いと9月頃に出るような発言がされたという事で恐らくこの時期にはGPUの在庫状況や価格はほぼ正常に戻っていると考えらる他、NVIDIAやAMDの次世代グラフィックスカードの発表と被る可能性もあり、被ってしまえばArc Alchemistは1世代遅れの製品となってしまうため、発売早々非常に厳しい販売を強いられる事となりそうです。
IntelはArc Alchemistの発売に向けて、AIB各社と連携をして発売準備を進めているようですが、2021年12月頃に出現したリークでは「Intelグラフィックス部門のマネージメント能力が欠如している事が非常に心配」と言われていましたが、このように何度も発売が遅延してしまうとArc Battlemageなど次世代製品に対してAIBが関心を示さなく可能性もあり、Intelのグラフィックスカードは発売前からかなり困難な状況に陥っているようです。
Arc Alchemistについては年100万台出荷するなどCEOのPat氏も発言するなどして、GPU在庫不足の救世主な雰囲気を出していましたが、結局GPUの在庫が改善してしまったタイミングでの発売となる可能性が非常に高くなったようです。Intel公式による発言のため、9割方正しいと見られますが、売れ筋となるミドルレンジのA5シリーズやA7シリーズが8月以降発売となると、NVIDIAのRTX 4000やRadeon RX 7000を超えられるような機能がArc Alchemistに無いと見向きもされない存在になる可能性があります。
IntelではArc Alchemistが当初予定より大幅に遅れていますが、他に高い収益が期待できるサーバー向けのSapphire Rapidsも遅れている状況にあり、その遅れが原因で商機を逃している所を見るともったいないですし、株主からの非難も免れない気がしますね・・・
コメント
コメント一覧 (1件)
日が変わるごとに発売予定が一ヶ月ずつ伸びていってる!?
・・・えぇと、さすがにここまでのパターンは過去にも見た記憶がないような
それはさておき、もはや完全に周回遅れもいいところ