Appleが開発中の自社製5Gモデルのプロトタイプは爆熱。性能もQualcomm製より数年遅れで開発は難航中。
AppleのiPhoneに内蔵されるSoCではApple Siliconなどを自社開発のものを採用していますが、長年4Gや5G通信を行うモデム類に関してはQualcomm製のものを搭載しています。
しかし、Appleではコスト削減と機能の追加などで競争力を向上させる事を目的に自社製5Gモデムの開発を進めており2025年の発売を計画しているiPhone SE4ではじめてこの自社製5Gモデムの搭載を検討しています。しかし、Apple自家製の5Gモデムについて開発が難航しているようでQualcomm製モデムに対して約3年程度技術的に遅れている事がWall Street Journalの取材で明らかになっています。
WSJ: Apple’s 5G Modem Prototypes ‘Three Years Behind Qualcomm’s Best Chip’ – MacRumors
Appleの5Gモデムプロジェクトは『Sinope』と言うコードネームが付けられているのですが、初期のプロトタイプでは性能や発熱など多くの問題を抱えているほか、回路の面積もiPhone 14の大きさに対して半分程度の大きさがあったなど出来としてはあまり良くなかったとのことです。この点は初期のプロトタイプという事で徐々に改善されていくものと考えられていますが、Appleが特に苦しんでいる点が互換性や法規規制です。
通信用モデムでは1個のチップで世界各国に存在する電波法などの法規規制を満足する必要がある他、各地域で微妙に異なる周波数、キャリアが持つ通信機器との互換性など確認項目が多岐に渡り、それだけのノウハウも必要になります。この点についてはAppleは現時点ではQualcommに太刀打ちする事ができず、関係者によると性能面など総合的に見てQualcommの最新鋭モデムであるSnapdragon X75に対して3年程度遅れているとのことです。
冒頭の通り、Appleでは2025年に発売されるiPhone SE4にて自社製5Gモデムの搭載を計画しているとのことですが、Appleでは2023年にQualcommに対して5Gモデムの供給契約を3年間、2026年まで延長する事を明らかにしていますが、プロトタイプの出来栄えや様々なノウハウが必要な5Gモデムについては恐らく2025年に移行する事は困難と考えられ、早くても2026年程度まで遅れる事が予測されています。
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