AMDではZen 3アーキテクチャーを搭載したRyzen Threadripper Pro 5000シリーズをコンシューマー向けにまもなく発売を開始する予定で、今回その価格が判明しましたが従来のThreadripper Pro 3000シリーズに比べて価格が大幅に上がっています。
AMD Ryzen Threadripper Pro 5000シリーズ
AMDではコードネームChagallと呼ばれるRyzen Threadripperシリーズの最新鋭モデル、Ryzen Threadripper Pro 5000シリーズを2022年3月8日に発表しました。
Ryzen Threadripper Pro 5000シリーズではコア数は従来までの3000シリーズと同じ64コアが最大となりますが、Zen 3アーキテクチャーを搭載する事でパフォーマンスが大幅向上しています。
このCPUは最初はOEM向けに限定して発売がされており、Lenovo製のワークステーションなどに搭載がされていますが、6月にAMDはこれらのCPUを自作PCなどをターゲットにした単品販売も間もなく開始する事を発表しました。
今回、このRyzen Threadripper Pro 5000シリーズの価格情報についてToms HardwareがAMDから入手したようですが従来の3000シリーズや競合のXeonを大幅に上回る価格設定になるようです。
最上位モデルは1000ドル(約14万円)値上げで6500ドル(約90万円)に・・・
AMDによると3000シリーズの時にはThreadripperにはProと無印版の2種類がありましたが、5000シリーズからはすべてProモデルに統合されるようで、無印モデルについては正式に登場しない事が示唆されました。
なお、Threadripper 3000シリーズの時にはProと無印モデルの間ではメモリーが無印では4チャンネル、Proでは8チャンネルであったり、最大容量が256GBか2TBか、PCIe Gen 4.0のレーン数が64レーンか128レーンかの違いがあり、Proモデルはコンシューマー向けとしてはややオーバースペック気味でしたが、5000シリーズでは選択の余地は無くなっています。
そんな、Ryzen Threadripper Pro 5000シリーズですが、価格は以下の通りになっています。
モデル名 | コア・スレッド数 |
価格(USD/日本円)$1=136円 |
動作クロック(Base/Boost) | キャッシュ(L3のみ) | PCIeレーン数 | TDP |
Ryzen Threadripper Pro 5995WX | 64コア・128スレッド | $6499/883,864円 | 2.7 GHz / 4.5 GHz | 256MB | 128レーン | 280W |
Ryzen Threadripper Pro 3995WX | 64コア・128スレッド | $5489/746,504円 | 2.7 GHz / 4.2 GHz | 256MB | 128レーン | 280W |
Xeon W-3375 | 38コア・76スレッド | $4499/611,864円 | 2.5 GHz / 4.0 GHz | 57MB | 64レーン | 270W |
Ryzen Threadripper Pro 5975WX | 32コア・64スレッド | $3299/448,664円 | 3.6 GHz / 4.5 GHz | 128MB | 128レーン | 280W |
Ryzen Threadripper Pro 3975WX | 32コア・64スレッド | $2749/373,864円 | 3.6 GHz / 4.5 GHz | 128MB | 128レーン | 280W |
Xeon W-3365 | 32コア・64スレッド | $3499/475,864円 | 2.7 GHz / 4.0 GHz | 48MB | 64レーン | 270W |
Ryzen Threadripper Pro 5965WX | 24コア・48スレッド | $2399/326,264円 | 3.8 GHz / 4.5 GHz | 128MB | 128レーン | 280W |
Xeon W-3345 | 24コア・48スレッド | $2499/339,864円 | 3.0 GHz / 4.0 GHz | 36MB | 64レーン | 250W |
価格はRyzen Threadripper Pro 3000シリーズに対して最上位モデルでは1000ドル近く値上げしており、6499ドル、日本円では883,864円とほぼ90万円するCPUとなっています。
従来まで販売されていた無印モデルとなるRyzen Threadripper 3990Xでは同じコア数ではあるものの価格は3990ドル、日本円で542,640円という事で5000シリーズとPro化によって倍近い価格での販売となります。
また、32コア64スレッドのRyzen Threadripper Pro 5975WXでも500ドル近い値上げがされており、3299ドル、日本円で45万円近い価格になると見られています。
CPUだけでなくマザーボードも高価なProモデル
CPUについてはRyzen ThreadripperがPro一本に集約される事で大幅に価格が上がりましたが、Ryzen Threadripperの無印モデルとProモデルの間ではメモリーチャンネルやPCIeレーン数の違いがある事からProモデルを使う際にはProモデル用のマザーボードが必要となっています。
このマザーボードは非常に高価で、通常のThreadripper無印ではTRX40マザーボードが必要で、価格は10万円程度となっていますが、Threadripper ProではWRX80マザーボードが必要で価格は大体30万円程度と大きく跳ね上がります。
そのため、Ryzen Threadripper Pro 5995WXを買うとなるとCPUに90万円、マザーボードに30万円の合計120万円近いコストがかかってしまい、今まで存在していた無印モデルを購入するのに比べて大幅にコストがかかるようになってしまいます。
Ryzen Threadripper無印モデルでは最大64コアのCPUが50万円で手に入るという事でコストパフォーマンスの高いHEDT CPUとして人気がありました。しかし、AMDでは16コア32スレッドで動作クロックが5.0 GHzを超えるRyzen 7000シリーズを間もなく発売予定で、さらにHEDTで求められる高い拡張性もPCIe Gen 5.0を28レーン、PCIe Gen 4.0や3.0を合わせると48レーンとRyzen Threadripper無印モデルに近いスペックになる見込みです。そのため、AMDとしてはRyzen Threadripperについては利益率が高いエンタープライズ用途向けに販売し、コスパが高いHEDTを求めるユーザーに対してはRyzen 7000シリーズの最上位モデルを買ってもらうという方向と見られています。
関連記事:AMD Ryzen 7000と600シリーズチップセットのPCIeレーン数など判明。CPUはPCIe Gen 5を28レーン搭載
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個人用だと自宅にマイクラのサーバー建てるか
一人で将棋を打つ用途にしか向かない。